孤独のススメ 他

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ ★★★★★☆☆☆☆☆
自分の期待値や背間の評判が低かったせいか、思っていたほど酷くはなかった印象。容姿端麗で知的だけれど地味でパッとしない主人公が、自信に溢れて傲慢なドSイケメンに見初められ、イケナイ関係に陥ってしまうという、女性の願望を具現化した映画。
女性向けの官能小説が原作ということで、ベッドシーンは美しく描く方に重点が置かれていて、刺激は少なめ。目隠しされて縛られて鞭で打たれて…と直球のSMが浅めに繰り広げられます。超絶イケメンなら変態でもOKという思考がいかにも女性的な気がするものの、確かにキレイに描かれている分不快感はほとんどありません。半面、全く興奮もしませんが。
ストーリー的にも淡々としていて可もなく不可もなくでしたけど、終わり方が唐突すぎて、彼女がどうしてあんな決断をしたのか全く理解できなかったところは消化不良でしたね。どうやらこのラストが続編に繋がるようですが、続きを観ようと思わせてくれるほどのクオリティではないな。

孤独のススメ ★★★★★★★★☆☆
おそらく初めての観賞となるオランダ映画。
事前情報からはおじさん同士の友情物語と捉えていたんですが、海外のLGBT関連の賞を受賞したという話を聞いて「これって同性愛映画として捉えられるのか!?」とビックリしました。
主人公のフレッドは、ホームレスの男テオを自分の家に住まわせる、聖書でいう善きサマリア人のような人間ですが、実はそれが善意ではなく自身の孤独を誤魔化すためのものだということが伝わってきます。しかし、会話すらロクにできないテオとの触れ合いが彼の意識を変えていくことに…。
ジュリエット・ビノシュの「ショコラ」もそうでしたが、余所からやってきた変わり者に対する風当たりは強く普通に不愉快な気分になりましたし、ヨーロッパ的なユーモアがピンと来ないところもあって前半は乗り切れなかったんですが、フレッドが抱える孤独感の背景が見えるにつれ面白さも上昇。「This Is My Life」を息子が歌うのをフレッドが聴いている場面では胸が熱くなりました。現在、もしくは将来の人間関係に不安を抱えている中年には確実に刺さってくるはずです。

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました 他

イット・フォローズ ★★★★★★★☆☆☆
ある男と性的な関係を持ってしまったがために、異形の者が見えるようになってしまった19歳の女の子が主人公のホラー。タランティーノが絶賛!などという謳い文句が前面に出ていて、さぞかし斬新な映画なんだろうと期待していたんですが、実際はさほど驚きもありませんでした。アメリカン・ホラーにありがちなゾンビやサイコな内容ではなくて、霊的な存在を匂わせるところが特徴なのかもしれませんけど、日本人からすれば珍しくもありません。
それ(It)とは何なのか、結末まで観ても謎が残りすぎるのも不満。様々な解釈ができる点が魅力なのかもしれませんけど、どんな解釈をしても腑に落ちないんですよね。Itとはエイズをはじめとする性病のことで、この映画はそれに対する警告だという見方が一般的でしたけど、監督自身がそれを否定したそうですし…。
自分は得体の知れない存在よりも、正気を失った人間の方に恐怖を覚えるタイプなので、期待したほどの怖さはなかったな。それでも、前半の得体の知れないものにじわじわ迫られる感覚はドキドキワクワクしましたし、セックス込みで青春物語としても異色の内容だったと思います。
簡単に言ってしまえば、及第点は超えているものの絶賛するほどではないといったところ。音楽は好みでした。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました ★★★★★★★★☆☆
とにかくキャストが超豪華。監督兼主演のジョン・ファヴローはもちろんのこと、ダスティン・ホフマン、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・ダウニー・Jrまでがちょい役に等しい程度に出演している贅沢な映画です。でも重厚なわけではなく、疲れていてもサクッと観られるのが魅力。
そうさせているのは、中盤以降の舞台となるのがマイアミだからでしょうね。キューバからの移民が多いここのポジティブな空気が、燻っていた主人公が再起を賭けるにはもってこいの地だったと思います。キューバの料理と音楽は何とも魅力的。特に、フードトラックで作られる料理が一流レストランで作られるものよりも美味しく映るのが素晴らしい点でした。観賞後は間違いなく分厚い肉にかぶりつきたくなるはず。
展開自体はありがちなものでしたけど、離婚した妻や微妙に関係が上手くいっていない息子との家族関係、ジョン・レグイザモ演じる相棒とのコンビネーションなど、登場人物がみんな丁寧に描かれているため飽きが来ません。SNSの炎上といった今風の題材も違和感なく取り入れられていました。

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アリスのままで 他

ストレイト・アウタ・コンプトン ★★★★★★★★☆☆
90年代に爆発的な人気を誇っていたヒップホップグループ、N.W.Aの伝記映画。僕がブラック・ミュージックを本格的に聴き始めたのは1998年頃。その頃にはメンバーは既にソロでのキャリアが始まっていて僕は浅くしか彼らのことを知りませんでした。ギャングスタラップはあまり得意でないので、一昨年購入した同名のアルバムも、Dr. Dreの復活作もピンと来ず。だから、全米の音楽映画の記録を塗り替えたという謳い文句がなければスルーしていたかもしれません。
しかしこれ、音楽映画としても青春映画としても秀逸な掘り出し物でした。まずよかったのはキャストが本人たちにそっくりなこと。グループのファンなら感情移入必至です。レーベルとの衝突、仲間割れ、人種差別といったところも解りやすく描かれていて、なぜこんなに攻撃的な音楽が生まれたのかがはっきり伝わってきました。さすがにヒップホップに興味がない人にまではオススメはしませんが、彼らのファンでなくてもギャングスタラップ入門教材として価値のある一作です。



アリスのままで ★★★★★★★★☆☆
若年性アルツハイマーを扱った映画。
別に好きな女優ではないんですが、これはジュリアン・ムーアなしでは語れないでしょう。この作品は特に彼女の表情がフォーカスされていて、漠然とした不安から徐々に追い込まれていく様子が描かれています。
自宅のトイレの場所も分からなくなってお漏らししてしまうシーンはショッキングでしたね。アルツハイマーになるとあのジュリアン・ムーアまでもがこんなことになってしまうのか!(現実と虚構が曖昧になっている発言…)という事実が強烈に迫ってきて、物語へ強く入り込めました。だからこそ、病気に苦しんでいるのではなく、闘っているという主人公のメッセージが印象に残ります。
ありがちな記憶障害のラブストーリーではなく、発症してからのリアルな問題を描き、それでいてちゃんとフィクションらしさを残している舵取りの巧さが光りますが、観る人によっては中途半端に映るかもしれません。主人公がジュリアン・ムーアでなければきっとここまでの良作にはならなかったでしょう。


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ザ・ウォーク 他

マジカル・ガール ★★★★★★☆☆☆☆
余命僅かながら魔法少女になることを夢見る12歳のアリシアと、その父ルイスの奇妙な運命を描いた作品。
スペイン映画がどれもそうとは言いませんけど、やっぱりこのテイストはアメリカやイギリスでは出せないよなぁ。日本人としてはオープニング後に流れる長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」で心奪われるわけですが、その後の展開も滅茶苦茶。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」が代表するようなボタンの掛け違い映画は大好物なので前半はワクワクが収まりませんでしたけど、ルイスがバルバラと出会ったあたりから風向きが変わってきちゃうんですよね。バルバラに関してはとにかく説明不足。最後まで観ても理解できない部分の方が多く、そんな彼女が途中からルイスやアリシアに代わってメインになってしまうために物語に入り込めないまま終わってしまいました。
あと、ラストがブラック・ユーモアで片付けられないほどツラくてねぇ。いくら娘のためとはいえルイスに関しては自業自得なのでいいとして、アリシアに関してはもっと幸せな結末を用意してあげてほしかった…。父親からドレスをプレゼントされた時に暗にステッキまでおねだりしちゃうあざとさもあるけども、病に伏せる無垢な少女に対してこの仕打ちはありませんよ。

ザ・ウォーク ★★★★★★★☆☆☆
あらすじだけ聞いた時は3D映像で見られる綱渡りがメインのアトラクション・ムービーかと思っていたんですが、いい意味で裏切られました。予想以上に重厚な人間ドラマ。
最初に断っておくと、フィリップは決して英雄ではありません。やっていることは犯罪だし、これが実話として観ると手放しで面白いと褒める気分にはなれないんですが、ワールドトレードセンターに忍び込んで仕掛けを張る様子はまるでスパイ映画のようでスリルがありました。やっていることはともかく気持ちは純粋だし、才能もちゃんとある。なので、観賞中は不快感に包まれることが一切ありませんでした。
ただ、小さいテレビで観たせいか、映像面では思っていたほどの迫力は感じられませんでした。これはやはり劇場で、3Dで観るべきでしたね。
などといろいろ書きましたが、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットファンとしては、フランス語を話す彼だけでも観る価値があったというもの。ジョゼフの新たな一面を発見できた作品です。

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マジック・イン・ムーンライト 他

マジック・イン・ムーンライト ★★★★★★★★☆☆
マジシャンと霊媒師の対決という、ありがちながら単純明快な設定が魅力のウディ・アレン監督作品。科学で証明できない出来事にはすべてタネがあると信じてやまない天才マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、友人に依頼され評判の霊媒師であるソフィ(エマ・ストーン)の謎を解きに近づくが…といった話。
コリン・ファースはちょっと偏屈でユーモラスな役を演じさせたら世界屈指だと思いますし、エマ・ストーンは素直でキュートな女性というのがぴたりとハマっていました。二人の演技だけでも観る価値があったというもの。特にソフィに心を許してからのスタンリーの豹変っぷりは微笑ましくて、歳の差を感じさせない素敵なカップルでした。
ただ、全体的に淡白で、肝心のストーリーとコメディ要素は少し物足りませんね。「ミッドナイト・イン・パリ」に近いファンタジーの香りも漂わせながら、どちらの要素も及んでいません。主演の二人に魅力を見出すことができなければ平凡なレベルかもしれません。「人生にはウソも必要」というテーマは、個人的にかなり好きですが。



アントマン ★★★★★★★☆☆☆
世界がどんどん広がるマーベル系の中で1.5cmのサイズに縮小するヒーローがかっこいいわけがないと思っていたんですが、庶民的なところが意外なほどかっこよかったです。主人公が前科持ち、でも悪党ではなく娘想いの平凡な男という点も親近感が沸く要素。そしてヒーローになる動機も非常に解りやすいですね。
映像面でも、縮小化と元に戻るアクションを繰り返すだけで、斬新なアクションが生まれています。サイズが変わる時の視覚効果もスピーディーで爽快。敵の体内に入って元の大きさに戻るだけで殺せるじゃないかと思わずにはいられなかったんですが、それだと相当残忍な映像になってしまうから無理か…。それと、迫力に関してはやはりマーベルの他作品には劣るかな。
小さなアリがワラワラと動くシーンもあるので、昆虫が苦手な人は厳しいかもしれませんけど、それ以外は万人が楽しめる王道のアクション作品ではあると思います。
あと、脇役でいつもきらりと光るマイケル・ペーニャは、今回もコメディ部分を担って大安定の存在でした。

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いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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