Starboy / The Weeknd



1stシングルの「(1)Starboy」でDaft Punkと組んだことが話題となった今作のThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)。アルバムで実現したこのコラボは(1)と「(18)I Feel It Coming」の2曲だけですが、この2曲でアルバムをサンドイッチしているため、予想以上にDaft Punkの存在を強く感じることができました。
(1)は典型的な富と名声の詞ながら、未来へ突き進む彼の勢いが感じ取れる一曲。鼻につくくらい成功を自慢しながら後半は内省的な詞も目立つようになりますが、アルバム全般に漂う闇を切り裂くかのようにラストに配置された(18)で最後には晴れ晴れとした気持ちに、そして異常なほど胸を熱くさせられます。
曲単位で見れば(18)と、プロモーションシングル扱いの「(3)False Alarm」は大いに気に入りました。(3)はあの圧倒的な疾走感がクセになります。

Daft Punkを除けば、初期のThe Weeknd作品で貢献していたDoc McKinneyの復活が嬉しいところ。前作のキャッチーさが減退した代わりに主役の個性を強く打ち出すことに成功しているのは彼のおかげかな。
トータルで見ればCashmere Catの存在も大きいですね。本作では4曲に関与しています。最近の話題作では何度も名前を見るようになったプロデューサー、ただ、Kanye WestやTravis Scottのアルバムでもそうだったんですけど、個人的にはいまだに彼の楽曲にピンとくるものがなくて本作でもあまり馴染めていません。Benny BlancoやDiploといった強力な制作陣も主役の個性に負けています。

上に挙げたように制作陣は期待外れな部分もあったものの、その分、The Weeknd自身の魅力を再発見できる内容になっていたので、僕はさほど気にはなりませんでした。そしてゲスト陣は面白いチョイス。ヒップホップからのKendrick LamarとFutureは想定内としても、Lana Del Reyがここまでハマるとは…。

というわけで、前作の大ヒットを受けてリリースされたThe Weekndのニューアルバムは、リピートを促される充実作になっていました。単に充実作といっても近年のKendrick LamarやBeyonceのようなメッセージ性の強さに惹かれるタイプではなく、そのアーティストの音楽のルーツを探ることにワクワクできるタイプ。Kanye WestやDrakeが台頭してきた頃と同じような気分を味わえます。間違いなく彼は今後十年単位でR&B界を引っ張っていってくれるアーティストだと確信させてくれる一作。

★★★★★★★★☆☆

◆前作の評価
「Beauty Behind The Madness」 ★★★★★★★★☆☆

「M A N I A」。楽曲単位でなくアルバム全体の世界観を味わえるビデオです。

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Here / Alicia Keys



Swizz Beatzと結婚し、母親となってからAliciaの心境に変化があったのは間違いありませんが、最近はすっぴんでメディアに登場するなど、より人権や社会問題に真剣に取り組むようになってきました。今年はBeyonceやSolangeがこの路線で高い評価を受けていますけど、Aliciaもまた違う音楽性ながらメッセージ性の強い作品を作り上げてきましたね。
オーガニック・ソウルとまではいかずとも、アーシー(earthy)な香りが全編を覆っています。

最初に衝撃を受けたのは「(5)Kill Your Mama」ですね。アコースティックなサウンドに乗せた痛々しいほどの叫びは以前の彼女のイメージからは程遠いもので圧倒されました。
あとは、数年前に騒がれていた同性愛者疑惑に対する答えともいえる「(15)Where Do We Begin Now」や、混沌とした世界に向けたメッセージソング「(16)Holy War」など、一つ一つの詞に乗る重みが以前とは大きく違います。
重々しいトラックが印象的な「(3)Pawn It All」をはじめとしたヒップホップサウンドが並ぶ前半部は傑作2nd、3rdアルバムのようで、新鮮味はなくてもクオリティは確かですね。

ただ、今回のテーマに最初拒否反応を示してしまったのも事実で…。
通常、この路線になると自然体と言われがちですが、僕はどうしても無理に自然体を装っているように見えてしまったわけです。個人的にも20代の頃の才色兼備のAliciaが好きだったので、その分余計に受け容れるのに時間がかかってしまうのかもしれません。

というわけで最初、今作を星7つ評価としていました。が、このレビューを書くにあたり聴き返してみたら、予想以上に心に沁みてきて驚かされたんですよね。このアルバムの魅力は買い物中や通勤途中で5、6回聞き流すだけでは到底理解できないということなんでしょう。仕事が落ち着く年末年始に改めて聴き込んでみたい1枚になりました。

★★★★★★★★☆☆

◆前作の評価
「Girl On Fire」 ★★★★★★★☆☆☆

「(9)Blended Family (What You Do For Love)」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

24K Magic / Bruno Mars



先行シングルの表題曲「(1)24K Magic」は聴いた瞬間からツボにハマり、アルバムの方向性を見せるのに十分な楽曲でした。このクオリティならと国内盤購入を決めたんですが…。

一言で言えば、及第点超えなれど期待値には届かずといったところ。
今回はこれまで以上にコンセプトがしっかりしていて統一感は過去最高レベル。Brunoの個性もちゃんと出ています。しかし、(1)を含めて全体的に既聴感が強いというか、80年代のファンクやソウルのカヴァーアルバムのようなんですよね。(1)はそれでも現行のEDMともぴたりとハマっているんですが、「(4)That's What I Like」以降ミッドが増えてくると新鮮さが一気に薄れます。

9曲33分というボリュームも物足りませんね。このあたりもアナログ時代の80sっぽいですけど、この時代に聴くのなら50分前後は欲しかったな。

とはいえ、1曲1曲の完成度は高く、当時の音楽に思い入れがある人、または逆に全く聴いてこずに先入観なしで臨める人にとっては満足度の高い作品になるような気がします。
R&BファンとしてピンとくるのはJeff Bhaskerが制作に絡んだ「(7)Calling All My Lovelies」。これも既聴感バリバリなんですけど、これをつまみに何杯でも飲めそうなくらい甘々なトラックで、毎回耳が反応します。

★★★★★★★☆☆☆

◆前作の評価
「Unorthodox Jukebox」 ★★★★★★★★☆☆

「24 Magic」(US4位、UK5位)の日本語字幕付きPV

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review (2016年11月)

A Seat At The Table / Solange ★★★★★★★☆☆☆
前作でオールド・ソウル路線へと進み新境地開拓に成功したSolangeは、今回さらに独自の道を歩み、オーガニック・ソウルのカラーを強めてきました。Raphael Saadiqと組んだのも成功といったところでしょうか。抑えめなヴォーカルがTweetっぽいなと思っていたら、実際にTweetが2曲で参加していました。
女性の地位向上や自立などをテーマに掲げている点は姉Beyonceの最新作とも共通しているものの、異色コラボとバリエーション豊かなヴォーカルワークでアピールしていたBeyonceに比べるとそのアプローチも控えめで、大作感はない分まとまりのよさで勝負といったところ。
とはいえ、前作でいう「Cosmic Journey」のように毛色が違って耳が留まるような曲も欲しかったですね。この統一感で最後まで引っ張るにはやや個性に欠けるかなとは感じました。

◆前作の評価
「Sol-Angels And The Hadley St. Dreams」 ★★★★★★★★☆☆

「Cranes In The Sky」(US74位、US R&B28位)


Joanne / Lady GaGa ★★★★★★☆☆☆☆
Apple Musicにてデラックス盤を聴いています。
ポップ・アイコンとして君臨していたGaGaが正統派ヴォーカリストとしての一面を見せてきた最新作。元々歌唱力も評価されていましたけど、2014年にリリースしたTony Bennettとのコラボアルバムが好評だったことも後押しになったことでしょう。彼女の楽曲には面白いものがたくさんありますけど、アルバム単位での魅力には乏しいところがありましたし、特に3rdアルバム「Artpop」は迷走気味にも思えたので、この路線変更は必要不可欠だったと思います。ナチュラルメイクの彼女を見て、こんなに美人だったんだ…という気付きもありましたしね。
しかし、やはり過去作と比較すると華やかさには欠け、平凡な楽曲もちらほら見受けられます。本作のメインプロデューサーであるMark RonsonといえばAmy Winehouseが真っ先に思い浮かびますけど、ヴォーカルの魅力ではAmyに遠く及ばず、面白いコラボだと思ったFlorence Welchとの「(10)Hey Girl」もやはり相手の個性に負けています。
結局、現時点で最も気にいているというのが既聴感の強い「(4)John Wayne」というのが少し淋しいところ。

◆前作の評価
「Artpop」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Perfect Illusion」(US15位、UK12位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review (2016年10月Part2)

Birds In The Trap Sing McNight / Travis Scott ★★★★★★★★☆☆
前作はスルーしていたTravis Scott。今作は配信のみで全米1位に輝いたし、評判も上々だったので、Apple Music経由で聴いてみました。
全編を包む不穏なビートはKid Cudiのアルバムを初めて聴いた時のよう(実際、2曲でKid Cudiが参加していますが…)。彼のデビューのきっかけになったのがKanye West率いるGOOD Musicとの契約ですけど、いかにもKanyeが気に入りそうなサウンドですね。
世界観が統一されている分、途中で一旦ダレそうになるんですが、Kendrick Lamarの存在が光る「(9)goosebumps」や1stシングルの「(11)pick up the phone」、Drake「One Dance」の流れを汲んだような「(13)guidance」などのアップが終盤に散りばめられているおかげでもう一段階ギアを上げてくれます。



「(11)Pick Up The Phone」(US43位、US R&B12位)


Hard II Love / Usher ★★★★★★★☆☆☆
「自分探し」というタイトルで臨んだ前作はジャンルレスな方向でUsherの新しい側面を見せてはいましたが、従来のファンからは「これじゃない」とそっぽを向かれてしまったんですよね。今作はこれまでの彼らしくR&Bに仕上げてきたけど、ずいぶん地味になってしまったなぁというのが率直な感想。
アルバムとしては良曲の集まった大人のアルバムだとは思うんですよ。前作から4年半ものブランクが空きながらもヴォーカルも相変わらず伸びやかですし、外部から多数のプロデューサーを招きながらも散漫になっていないのは彼の経験の為せる業か。映画の挿入歌である「(15)Champions」だけが浮いている気もしないでもないですけど、これはこれで味があるかな。
ただ、彼には「8701」や「Confessions」といった傑作や、近年でも「Raymond v. Raymond」のような華やかな作品があるわけで、大きな変化がなく単に大人しくなったのでは物足りなさが残ります。セールスも不振にあえいでいますし、これは本当に次回作が正念場になるでしょうね。

◆前作の評価
「Looking 4 Myself」 ★★★★★★★☆☆☆

「No Limit」(US32位、US R&B9位)

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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