Music Review(2017年4月Part2)

Future / Future ★★★★★★☆☆☆☆
2月に2週連続でリリースされたFutureのアルバム。先行のこちらは従来のファンに向けた音で固められていますね。というわけで、トラップ系のサウンドが好きならループの中毒性が高い「(7)Mask Off」をはじめ、オススメ曲多し。個人的にはトラップ感薄めの「(4)Draco」の方が好きなんですが、こちらは中毒性があまりないか…。全体的には安定感のある作りです。
ただ、好みの問題なんですけど、やはり彼の声はクセが強すぎて、曲単体では問題なくてもアルバムを通してだと前半でお腹いっぱいになってしまい、後半は聞き流してしまいがちなんですよね。なので今回もヘビロテには至らず。

「Mask Off」(US5位、UK24位)


HNDRXX / Future ★★★★★★★☆☆☆
彼の近作のほとんどを手掛けていたプロデューサー、Southsideの名前は今回「(3)Lookin Exotic」の1曲のみ。RihannaやThe Weekndといった豪華ゲストが参加したこちらは、上の作品に比べるとだいぶ間口が広い作りです。Future自身もラップよりも歌の割合が増して新鮮さもしっかり味わえますし、これまで彼の作品に馴染めなかった自分のようなリスナーを取り込むにも最適な1枚に仕上がっています。
ただ、Futureのアルバムとしては新鮮なんですが、これを彼のアルバムとして受け入れることができないファンも大勢いるでしょう。The Weekndがフィーチャーされた「(2)Comin Out Strong」は良曲なれど完全に彼の曲になってしまっていてFutureはゲストのよう。Rihannaの「(15)Selfish」も同様です。このあたり、フィーチャリングアーティストとしてキャリアを積んだことが仇となってしまっているような気はしますね。

「(5)Use Me」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Tremaine The Album / Trey Songz



Treyくんの7thアルバムは、美女十数名と生活を共にするという内容の「Tremaine The Playboy」というリアリティ・ショウと連動した内容。コンセプト・アルバムという点と、先行シングルを聴く限りでは嫌な予感しかしなかったんですが、なかなかまとまりがあっていいじゃないですか。少なくとも前作「Trigga」や前々作「Chapter 5」よりは好きですね。個人的に、この人はヒップホップテイストの強いトラックよりも繊細でスムーズなR&Bの方が圧倒的に魅力的に映っていて、「Yo Side of Bed」(「Ready」収録)や「What's Best for You」(「Trigga Reloaded」収録)は珠玉の一曲だと思っているので、オーソドックスなR&Bが楽しめるのはかなり嬉しいところ。

とは言っても、このアルバムで一番気に入っているのはアップの「(10)1 X 1」なんですけどね。こういう疾走感のある楽曲がアルバムの後半に入ってくると、集中力が最後まで持続します。

詞の内容はこれまでと同路線。ほぼ全編に渡ってセックスについて歌いつつもファンの子にも手を出しちゃう「(3)#1 Fan」や、自らのプレイボーイっぷりに悩む「(5)Playboy」、動物のように盛り合う「(9)Animal」など、冷静に聴くとツッコミどころ満載なのもR&Bの面白さ。まぁ、過去にはコンドームを買いに走る「Store Run」といった珍曲を書いた人なので、この程度では驚きませんがね。

アップだろうがスロウだろうが、彼のヴォーカルの乗り方は実にスムーズ。R&Bのメインストリームでここまで万人受けする声の持ち主は、Usher以来でしょう。R&Bには欠かせないエロ要素を混ぜながらもR.Kellyのような変態臭はないので、世の男子は共感しやすいでしょうし、女子もすんなり世界に浸れるんじゃないかな。
コンセプトアルバムながら従来のイメージを覆すような要素がないのは物足りませんけど、王道のR&B界では最も現役感の強いアーティストだと思っているので、あと5年くらいはこの路線で突っ走っていってほしいものです。

★★★★★★★★☆☆

◆前作のレビュー
「Trigga」 ★★★★★★★☆☆☆

「(7)Song Goes Off」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年4月Part1)

Gang Signs & Prayer / Stormzy ★★★★★★★★★☆
グライムシーンの新星と言われる23歳のデビューアルバム。北米以外のブラックミュージックには疎く、UKとなると何となく遠ざけてしまう僕ですが、何の気なしにApple Musicで試聴してみたら大ハマり。CDまで買ってしまいました。
「(5)Big for Your Boots」はゴスペル要素を含んだラップソングということで、Kanye Westの「Jesus Walks」を思い出しましたが、Stormzyの場合はその高速ラップが大きな特長。必然的にアグレッシブなトラックの方がハマる気がします。個人的なベストは「(2)Cold」。音やヴォーカルの重なりが増すとともに緊張感と高揚感が右肩上がりに…。
メロウなトラックもかなりの数、収録されています。正直、こちらは少し目新しさに欠けるかなという印象は持ったものの、クオリティはどれも高く、デビュー作とは思えない見事なバランス配分。歌もラップもできるMCは当たり前になっていますけど、ラップのピッチも自在に変えられるのがこの人の強みで、アルバム通して飽きずに聴けるんですよ。
ま、グライムというジャンルがまだよく解っていないんですけど、ヒップホップが好きなら新しいジャンルと身構えることなく入り込めるはずです。日本はおろか全米デビューもまだですけど、間違いなく2017年を代表する作品です。



「Big for Your Boots」(UK6位)


DROGAS Light / Lupe Fiasco ★★★★★★★★☆☆
デビューから傑作を2作続けたものの、その後は迷走気味だったLupe Fiasco。レーベルとの確執や引退発言などネガティブなニュースが続きましたが、インディからながら無事に新作リリースとなりました。しかし、インディでも盟友Soundtrakkとのタッグは続いていてクオリティに問題はなし。バックコーラスを活かした都会的なトラックなど、Lupeらしさがきちんと出たお気に入りの一枚です。
夜明けを想起させる「(2)NGL」からほぼ歌モノの反則すれすれ「(11)Pick Up The Phone」まで、バラエティに富んだ楽曲がズラリと並んでいます。特に(2)はそれだけでアルバム全体を良作認定したくなるほど好きですね。Stormzyもそうですが、2曲目がいいと全体の印象がよくなります。
ただ、復活といえば聞こえはいいですけど、道を外れたところから元に戻っただけなので、デビュー時から進化が見られるかと問われれば肯定もできないんですよね。一応本作は3部作の第一章という位置付けらしいので、今年中に出ると言われている次回作「DRODAS Waves」のリリースでさらに化けることを期待しています。



◆前作の評価
「Tetsuo & Youth」 ★★★★★★★★☆☆

「(5)Jump」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年3月)

7/27 / Fifth Harmony ★★★★★★★☆☆☆
昨年末に人気メンバーのCamilaが脱退したことで5人としては最後のアルバムになってしまった2ndアルバム。
冒頭の「(1)That's My Girl」がまずツボでした。1stシングルの「(2)Work From Home」は個人的にはピンと来なかったものの彼女たちの最大にヒットとなりましたし、その後もStargate曲を中心に及第点超えの佳曲揃い。Kygoらが絡んだEDMもいいアクセントになっていますし、全曲3分台という聴きやすさといい、ポップアルバムのお手本といった感じ。
ただ、その分、5人の個性がまだ見えてこないのが大きな欠点。Beyonceが中心となって最先端のR&Bを作り上げてきたDestiny's Childや、荒削りながら5人のマイクリレーで個性を打ち出した同じようなオーディション出身のSpice Girlsと比べると、明らかにグループとしてのカラーが弱すぎ。ガールズグループはどんな傑作を出しても短命に終わりがちですが、Camilaが抜けた今、残ったメンバーはもう一皮剥けないと厳しそうです。

「That's My Girl」(US73位、UK26位)


I Decided. / Big Sean ★★★★★★☆☆☆☆
ダークな世界観と、それに反するような耳障りのいいラップは前作の流れ。
この人ってルックスもいいし、個性派でもなく、シングルヒット狙いのキャッチーさで勝負するラッパー勢とも違うちょうどいい立ち位置だとは思います。現在ヒット中の「(3)Bounce Back」もまさにそんな彼らしい馴染みのいいトラック。もちろん他の楽曲も悪くはないんですが、やはり個性に欠けるのは否めないんだよなぁ。本作で話題となったEminemとの共演も、案の定主役の座を奪われている感は拭えません。前作もDrakeやKendrick Lamarとリリース時期が被って地味な存在になってしまいましたけど、今回もFutureやStormzyあたりの陰に隠れてしまったかなという印象は受けますね。Drakeの新作もまた出ましたし、リリースから2ヶ月も経っていないのにあっという間に存在感が薄くなってしまったような…。
自分の中では好感度の高いラッパーの一人なので、そろそろ代表曲と呼べる中毒性抜群の曲がほしいところ。

◆前作の評価
「Dark Sky Paradise」 ★★★★★★★☆☆☆

「Moves」(US38位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

÷(ディバイド) / Ed Sheeran

英米ともに記録的なヒットをしているEd Sheeranの最新作。日本でもオリコン5位ですから、ようやく売れてきたかといった印象ですが、海外に比べるとまだまだ小規模すぎて物足りません。
僕自身、彼の音楽はもっと多くの人にシェアされるべきだと思っているのでセールスが気になってしまうわけですけど、正直、今作はどこまでプッシュするほどの内容ではないかな。

世界各国で1位を獲得した「(4)Shape Of You」は、前作からの「Thinking Out Loud」と並んで間違いなくEdの代表曲になる1曲。シンプルながらメロディアスでロマンチックだった「Thinking Out Loud」とは違い、こちらはヒップホップ色の強いトラックで、独特のループとヴォーカルの重なりが印象的で中毒性抜群です。ヒップホップといえば「(1)Eraser」では彼のラップも聴けます。

(4)と同時に公開された「(2)Castle On The Hill」はカントリーテイストの疾走感溢れるアップナンバー。ノスタルジーに包まれるトラックは彼が得意とするものですね。当然のことながら、女性ファンがうっとりできるラブソングも豊富。

一方で、前作で僕のフェイバリットだった「Bloodstream」のような刺激の強い曲はほとんど見られません。「(13)Barcelona」や「(14)Bibia Be Ye Ye」でのカリビアンな音は新鮮でしたけど、僕が求めていたものではなく、全体的には前作よりも落ち着いてしまったような感覚を持ちました。別にアコースティックなサウンドを否定しているわけではないんです。でも、この路線はデビュー作で既にやっているわけですし、もう少しテンポの違う曲が多いとよかったな。中にはMichael Bubleを聴いているような錯覚に陥ってしまう既聴感の強いものもありました。

まぁ、彼の真骨頂はライヴパフォーマンスにあると思っているので、今後ライヴでのアレンジが加えられたり、他アーティストとのコラボでリミックスバージョンが披露されることでアルバム全体の印象が大きく変わってくることは考えられます。

★★★★★★★☆☆☆

◆過去作の評価
「+(プラス)」 ★★★★★★★☆☆☆
「×(マルティプライ)」 ★★★★★★★★★☆

「Castle On The Hill」(US6位、UK2位)と「Shape Of You」(US1位、UK1位)のBrit Awardsパフォーマンス

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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