夢を与える / 綿矢りさ
![]() | 夢を与える 綿矢 りさ (2007/02/08) 河出書房新社 この商品の詳細を見る |
3年前、史上最年少で芥川賞を受賞した綿矢りさももう22歳。デビュー作の「インストール」からは5年以上経っているので当然なんですが、ずいぶん成長したのだなぁというのが率直な感想です。ただ、これはいい意味だけではなく…。
彼女の作品といえば、社交的だとか器用だとかそういった言葉からかけ離れた主人公が、同じようなはみ出し者の仲間と出会うことで開ける世界が特徴だと思っていました。しかし、本作の主人公夕子はそれとは正反対と言ってもいいくらいの女の子。何たって、人気タレントですから。
夫婦仲の不和が原因なのか、子役モデルとして働き始める夕子を熱心にサポートし続ける母親。夕子は、そんな母親に反抗したり負担に感じることもなく、順調にスター街道を歩んでいくのですが…、という話。
これまでの、「テンションは低いながらもどこか幸せ」な世界はそこにはなく、天真爛漫で素直だった子役が大人になるにつれ、次第に堕ちていく様子。夕子に恋人ができて、肉体的な関係に陥り、そこからスキャンダルに発展していく。物語としてはありきたりすぎるし、これを綿矢作品では読みたくなかったな…。
最近、喫煙や妊娠で世間を騒がせた元アイドルグループのメンバーや、海外に目を移せばカイリー・ミノーグやドリュー・バリモアの例もあるように、若いうちから一線で活躍した芸能人がこういった落とし穴に陥りやすいのは、大抵の人間が認識していることでしょう。ありきたりな展開に持っていくのなら、彼女の心情をもっと事細かに描いてほしかったです。個人的には、多摩との繋がりが大きな影響をもたらすと期待していたので、そこがあっさりしすぎていたのが非常に残念。
(「インストール」のレビューはこちら)





