避暑地の猫 / 宮本輝

避暑地の猫 避暑地の猫
宮本 輝 (1988/03)
講談社
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宮本輝に初挑戦。聞いたことのないタイトルだし、実際ファンサイトなどでもほとんど話題に上っていないので、取っ掛かりがこれというのは不安でしたが、これがまた肌にピッタリ合ってしまったようで、あっと言う間に平らげてしまいました。

主人公の久保修平は、布施家の別荘番として働く両親や姉とともに軽井沢に住んでいた。修平が17歳の夏、布施家の夫人が死んだことを境に、この両家族を取り巻いていたものが徐々に彼に見え始め、ついに彼は殺人計画を立てるようになる。ターゲットはそこの主人、布施金次郎だった…。
「避暑地の猫」という爽やかそうなイメージのタイトルとは裏腹に、まるで昼ドラのようなドロドロとした愛憎渦巻くストーリー展開。大好物です!

この作品を読んで、なるほど、まるで軽井沢の霧のような話だなと真っ先に思いました。霧なんて、実は人間の生活において何のメリットもない、むしろ不便を起こさせるためのものなのに、不思議と人を惹き付けますよね。「避暑地の猫」も、人間の悪の部分を取り上げた作品のはずなのに、なぜか恐ろしいほどの純粋さと美しさを秘めているんです。
個人的な意見ですが、17歳というとちょうど、自分と周囲の物事との距離をはっきり感じ始める頃じゃないでしょうか。と同時に、それに戸惑うがゆえに思い込みが強く独り善がりになりやすい時期でもあると思います。様々な歪んだ感情を内に秘める大人たちの中にいる17歳の修平の行動にもまたそういった傾向が見られるんだけども、僕にはとても魅力的に感じられましたよ。
反対に、彼の姉はそういう若さゆえの浅はかさを全く感じず、逆にとても怖い存在でした。

終始ドロドロしているにも関わらず、読後感が悪くなかったのも不思議。これを10代の時に読んでおきたかったですね。どんな感想を持ったんだろう。
唯一、この作品で「猫」が意図しているものが何なのか、それが理解できませんでした…。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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宮本輝:「避暑地の猫」

避暑地の猫posted with amazlet on 06.09.27宮本 輝 講談社 (1988/03)売り上げランキング: 122,991Amazon.co.jp で詳細を見るりょーち的おすすめ度: Google で検索すると「避暑地の猫」のテレビドラマは1988年の9月に放映されたようである。幼少の頃、そのドラマを全話み

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避暑地のにゃんこ!!!

おひさしぶりですv-31

私も読んでますよー!
超びっくりしましたねっ
こんなマイナーくさいヤツ読んでる人が身近にいるなんてv-22

友達がやってきたとき持参してきて、読んだんですけど。宮本輝といえば、泥の川、純文学ってゆーイメージあって驚いたんですが、私もぐいぐい読みましたー。

いぬふくさん、ミステリ系お好きなんじゃないですか?v-105

私の最近のヒットは綾辻行人の「暗闇の囁き」がおもしろかったですよー

おぉ!

お久しぶりですv-37

まさかこれを読んでいる人が身近にいたとは!
数はそれほど読んでいるわけじゃないんですが、確かにミステリ好きかもしれないですねー。
っていうか、かなり好き。
ただ、東野圭吾とかは特にハマっているわけでもないので、「避暑地の猫」のようにドロドロした作品がいいです。
ま、次の宮本輝は爽やかに「青が散る」でいこうと考えてますが…。

綾辻行人も未体験なので、今積んである本が読み終わったらの読書リストに入れておきます。
これからも、オススメ本をよろしくです!

九月になっちゃいましたね!

山積みの本は崩されていっていますか??
町田康は読まれたんでしょうか!
レビューお願いしますよ!!
山田詠美のヤツみたいに、率直にザックリ斬っていく姿勢でひとつ!v-42

山積みの本

v-87少しずつ消化中です。
町田康はまだなんですけど、宮本輝が思った以上にしっくりきてしまったために、先にそっちに手をつけてしまいそうなんですよね~。

山田詠美のヤツって、「僕は勉強ができない」ですよね?
そんなに斬ってましたっけ?
確かにあまり褒めなかった気もするけど、実は割と気に入ってますよ!

くわぁ

v-42v-42v-42v-42v-42v-42


さっきめっちゃムカツクババァから電話がきた!!
一ヶ月ぶりくらいに激高しましたよ!
あまりの怒りに打ち震えましたね!
クソババアよ、呪われよ!!って感じですよ!!!ギャー!


ところで、宮本輝いいですよね!
私の既読は「蛍川・泥の川」と、「五千回の生死」です。
五千回の生死は短編集で、前半特にしみじみと唸る内容となっております。泥の川も素晴らしいと思いましたよー!
こちらも是非読んで感想書いていただきたいです!






ヨーコさん、もしかして仕事中の書き込み?v-217

「五千回の生死」読んだんですか~。
ウチの職場の某君(暴君)も宮本輝作品で読んだ2冊のうち1つがそれだと言ってました。
町田康といい、やっぱり好みが似てるのかもね…。

宮本輝といえば、現在「青が散る」に夢中なのですが、これってテニスをやらない人が読んでも面白いのかなってすごく疑問。
テニスバカの立場から見ると、やっぱりテニスは人生の縮図だなぁなんて思いっ切り感情移入できるんですけどね。
キーワードは「王道より覇道」です!
プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
    詳しくはプロフィールページからどうぞ!
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