無花果少年と瓜売小僧 / 橋本治



久々の桃尻娘シリーズ。5→1→2→3と読んできて、これがシリーズ4作目の作品になります。
今回は桃尻娘こと、榊原玲奈はほとんど登場しません。その代わり、全編に渡って磯村薫(無花果少年)と木川田源一(瓜売小僧)の関係に焦点を当てています。「木川田といっしょに暮せないかな~」などと考えた磯村くんが高幡不動で一人暮らしを決意。父親と喧嘩した木川田くんが転がり込んでくる形となって、上手いこと同棲生活が始まるんですが、二人とも内面では様々な葛藤があって…。

木川田くんは真性のゲイだけど、本命の先輩がいて磯村くんに特別な感情は抱いていない様子。逆に、普通に女の子が好きだったはずの磯村くんの方が木川田くんに片思いをしているように見えます。磯村くんの場合、特に何も考えていないんですよね。男が好き、女が好き、という感情に囚われているわけではなく、木川田くんが好きなわけで、ある意味最も純粋に愛情表現ができているタイプなのかもしれません。
今回面白かったのは、当初思い描いていた磯村くんと木川田くんの性格が反対だったことですね。木川田くんはゲイであることをカミングアウトしていて、堂々と生きているイメージ。磯村くんはルックスに恵まれているのにいつもウジウジ悩んでいるイメージだったんですけど、むしろ逆でした。木川田くんはゲイであることを自覚して初体験するところまで描かれている実質本作の主役なので、今作で彼のファンがかなり増えたんじゃないかな。

男同士だからといって色物っぽさは感じず、80年代の純愛小説といった風で、生々しい描写はあるものの感情移入はしやすい佳作。二人の関係が一気に揺れ動く中盤以降は、グイグイ惹き込まれました。
ただ、続く5作目の最初の章もそうでしたけど、三人称の文体は嫌いです。特にこのシリーズは文章にクセがあるので、余計に引っかかってしまうんですよね。ところどころで冗談っぽい文章が差し込まれると、何か意味もなく言い訳されているような気にさえなりました。

◆橋本治作品のレビュー
「帰ってきた桃尻娘」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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