永い言い訳 / 西川美和



津村啓という名前で活躍する作家、衣笠幸夫は不倫の最中に妻をバス事故で亡くす。しかし、大きな喪失感も後悔もないままマスコミには悲劇の渦中にある人物として扱われ、かえって居場所を失いつつあった彼は、同じく被害者家族である大宮陽一と出会い、彼の子どもたちの世話を申し出る…。

配偶者が事故で死んだ時、本人は不倫相手と会っていたという設定は映画「ブローン・アパート」に似ていますが、こちらはもっと静か。妻がもう自分を愛していなかったということを彼女の死後に知った時も大きく乱れることなく、むしろ感情が死んでいく様が妙に生々しくて惹き込まれます。
そんな幸夫が他者の家族と触れ合うことでようやく前進できたというのが、自分に重ね合わせることができる点。人間は生きている限り、何かにつれ言い訳をし続けるものだとは思うんですが、何かが欠けていて失敗を繰り返していてもその中から光を見出すことはできるんだということを考えされましたね。

大宮家の人々もみんなよかった! 特に父親の陽一には惹かれました。性格的に自分は幸夫側の人間だと思うので、だからこそ、熱く感情的な陽一が魅力的に映ったんだと思います。

原作の満足度が高かったのでぜひ映画の方も観てみたいんですけど、個人的に主人公のイメージは本木雅弘ではないんだなぁ。もっと朴訥としたような男、例えば西島秀俊あたりの方がピンと来そうではあるんですが、まぁ、幸夫はテレビに出演するような人気作家ですから、シュッとした感じなんですかね。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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