すべて真夜中の恋人たち / 川上未映子



『天才が紡ぐ繊細な物語に超感動、美しい表現はもはや言葉の芸術』
と書かれた、爆笑問題、太田光の帯が鮮烈に印象に残った一冊。嘘をつけなさそうな彼がここまで絶賛する小説とはどんなものなのかという興味から、思わず買ってしまいましたが、個人的には、美しいというよりも生々しいという気持ちの方が強く残りました。

主人公の冬子は30代の独身女。真面目で孤独なフリーの校閲者ですが、ある時ふらりと向かったカルチャースクールで三束(みつつか)という50代の物理教師に出会い、光についての話を何度か聞いているうちに恋に落ちていきます。光の煌きも空の青さも物理で語られてしまうものだから、ロマンチックな要素なんか一切なし。それでも、冬子の心の動きは痛いくらい伝わってくるし、年齢にそぐわないほどのプラトニックな関係でも違和感を持ちませんでした。

冬子には、唯一友人と呼べる聖(ひじり)という存在がいるんですけど、彼女は村上春樹作品に出てきそうな奔放で強い女性。好きかどうかはともかく、かなり印象に残りました。
明るい聖とは対照的に冬子自身はまさに真夜中のようなんですが、闇の部分が広いだけに余計に光が輝いて見えるんですよね。彼女が自身の光を少しずつ見つけていく様子は何だか安心できます。
ただ、個人的には話が進むにつれ馴染めなくなってしまいました。作中には「おっ」と飛びついてしまうキーワードがたびたび出てきますし、冬子の性格は自分にも共通している部分があると思うんですが、残念ながらその共通項は自分が好きな要素ではないんです。それだけに、男の目線で見ると共感できる相手というよりはイタい女に映ってしまい、後味はいまいちです。

◆川上未映子作品のレビュー
「乳と卵」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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