七人の使者 神を見た犬 / ブッツァーティ



イタリアのカフカと呼ばれるブッツァーティの短編集。
6年前に光文社から「神を見た犬」の短編集が発売されましたが、こちらは岩波文庫から2年前に刊行されたもの。「七人の使者」が収録されたものは絶版になっていたので、未読の人の入門編としては最適でしょうね。ただ、僕は2冊とも読んでいるためカブる話も多々あり、これまでのような衝撃や興奮は味わえませんでした。そのせいか、15編というボリュームをやや多く感じたりも…。10編くらいのボリュームで2冊出してくれたら間違いなくコレクションにしたんですけども。

「七階」は何度も読んでいるエピソードですが、ブッツァーティらしい不条理の世界が集約された出色の短編。自覚症状や周囲の前向きな発言とは裏腹に、いつの間にか死に近づいている焦燥感が描かれていて、恐怖とともに静かな興奮が沸いてきます。
「護送車大襲撃」や「マント」は理不尽さの中に感動すら覚える結末が待っており、「なにかが起こった」や「山崩れ」は静かな展開ながら主人公に見える世界と、周囲の人間が見ている世界に大きな隔たりがあって、独特の面白さがあります。

彼の短編に共通しているのは、本人が目や耳にしているものが必ずしも真実とは限らないということ。自分が当たり前だと思っている世界が、見方を変えると全く違うものになる。本作は決して明るいストーリーではありませんけど、一筋縄ではいかないところに人生の面白味が凝縮されているように思います。

◆ブッツァーティ作品のレビュー
「タタール人の砂漠」
「神を見た犬」(光文社文庫)
「七人の使者」(河出書房)
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テーマ : 海外小説・翻訳本
ジャンル : 小説・文学

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