ソロモンの偽証 第3部 法廷 / 宮部みゆき



いよいよ裁判に突入。
当然ながら本作で最も盛り上がるはずのパートで、実際に上手く話はまとめられていくのですが、同時に食い足りなさも残る第3部でした。

最も残念だったのは、第2部までに目立っていた脇役たちが一気に存在感を失ってしまったこと。
憎たらしかったテレビ局記者の茂木悦男は? 森内恵美子と垣内美奈絵の間に起きたトラブルは? どちらも一応3部で登場するものの、ここまでの盛り上がりを考えると見事なくらいの抹殺っぷり。垣内美奈絵は三宅樹里の暗部を描くためだけの存在だったんでしょうか。
序盤では重要人物のように出てきた藤野涼子の父親も、ここでは名前が登場するだけで細かい描写は一切なし。妹たちも含め、涼子のキャラクターを語る上では必要だったのかもしれませんが、正直あれだけの尺を割く必要はなかったように感じました。

藤野涼子本人も終盤は脇に追いやられてしまいましたね。
代わりに主役の座に躍り出たのは神原和彦。他校の生徒であるにもかかわらず率先して裁判に絡んでくるということは、何かしら情報を知っているはず。もしかしたら柏木卓也殺しの真犯人なのかも!と、2部までで最も謎の多かった彼は期待通りの役目を果たしてくれました。彼の証言は事件の真相に迫るだけでなく、精神的に揺れやすい中学生ならではの心情を表現していたと思います。というわけで、読後のお気に入りは彼と、無口な廷吏、山崎晋吾に…。

前述のように、2部までとは人物の重要度が変わってくるため、誰に、そしてどのエピソードに興味を持っているかで満足度は大きく違ってくるでしょう。学校裁判というイベントを用いて多様な中学生を描いたところはさすがでしたが、3,000ページという大長編にすれば自然とハードルも上がってしまうもので、真相が見えても費やした時間に見合った満足感は得られませんでした。

◆1部、2部のレビュー
「ソロモンの偽証 第1部 事件」
「ソロモンの偽証 第2部 決意」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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