火花 / 又吉直樹



ベストセラーになっただけでなく、芥川賞まで受賞してしまったピース又吉の処女作。図書館で予約し順番が廻ってきたのがちょうど賞の発表直前だったのですが、やはり話題になっている作品の感想を先入観なしで書くのは難しいですね。
結論から言えば"芸人にしては"面白いと言える内容。過去に劇団ひとりや太田光らの小説を読みましたが、それらと比べても最もストレートな文体や物語だったと思います。読書家という括りもこの文章を読めば納得できるんじゃないでしょうか。
対して、"芥川賞受賞作にしては"という捉え方をすると、そこまでの深みを感じないというのが率直な意見。純文学でもありながら、エンターテインメント色も強く感じてしまうんです。

そうなってしまうのも、本作の内容が私小説に近いから。
主人公の徳永は売れない若手芸人。ある時、他事務所の先輩芸人である神谷と出会い、彼を師と仰ぐようになるわけですが、真偽のほどはさておき、作者のことを知る人ならどうしても徳永と又吉を重ね合わせてしまうことでしょう。頭の中で映像化された徳永は長髪(若い時の又吉の髪型は知りませんけども…)で物静かな男。ここまで簡単に画が浮かんでしまうと、読書の楽しみの半分は奪われてしまいます。又吉の筆力とは関係なく、そこが少し残念。

ただ、身近だったこの題材だからこそのリアリティがあるのも事実で、自分の価値観と迷いが同居する、こんな人いるよなと思わせる神谷の存在が面白くて一気に読み進めることができました。その分、神谷の出番が減るラストは駆け足で無理矢理終わらせた感があり、消化不良な面もありましたが。

あとは早くも2作目の内容が気になるところですね。
次はもう芸人を主人公にするわけにはいかないでしょうから、全く未知の世界を描いても読みやすく興味深い世界に仕上げられるか、はたまた学生目線の物語にするのか。予想以上の成功で本人のプレッシャーも相当なものでしょうが、設定は楽しみに待とうと思います。
ま、読むかどうかは今の時点では何とも言えませんけど…。

◆芸人の著作(小説)のレビュー
「陰日向に咲く / 劇団ひとり」
「文明の子 / 太田光」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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