その女アレックス / ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫)その女アレックス (文春文庫)
(2014/09/02)
ピエール ルメートル

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本屋大賞の翻訳小説部門をはじめ、国内外でミステリー関連の賞を7つ受賞したと話題の作品。珍しく日本でも50万部を超えるベストセラーとなっていたため、手に取ってみました。

いきなりアレックスが誘拐されるところから始まります。物語は、檻に幽閉され衰弱しながらも脱出を試みるアレックスと、誘拐事件を追う刑事カミーユの視点で交互に語られる構成。カミーユはともかく、ネズミに喰われるのを待つだけのアレックスに数百ページも読ませるだけのドラマがあるのかと疑問を持っていましたが、第2部に突入するとストーリーが一転。徐々に展開のスピードが上がっていきました。

本作最大の特長は、アレックスという女が被害者になったり加害者になったり、立場がコロコロ変わることでしょう。読み手はアレックスに同情したり、敵意を剥き出しにしたり、心地よい混乱を得ることができます。
さらに、作中に出てくる殺人の手段が残忍なのも作品の興奮度を高める一因。

しかしこの作品、ミステリーとしては稚拙というか、卑怯なトリックを仕掛けています。ミステリーでは誤解を招く表現をあえて使ったり、大切な情報を隠すことで読者をミスリードし、騙される快感を与えることが多々ありますけど、本作は登場人物の心理描写にいくつかの嘘を忍ばせているんですよ。物語の全貌が見えてくると、序盤にこの人物がこういう風に考えるのは明らかにおかしいと思えてくる…。そのせいで、騙されることがただの不快感にしか繋がっていかないんですよね。

その不快感、そして章ごとの統一感のなさが邪魔をして(個々の章としては決してつまらなくないんですけど…)、世間で騒がれているほど評価はできない一冊。
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テーマ : 海外小説・翻訳本
ジャンル : 小説・文学

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