Nのために / 湊かなえ

Nのために (双葉文庫)Nのために (双葉文庫)
(2014/08/23)
湊 かなえ

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湊かなえ作品はどれもそこそこ面白いんだけど、「告白」しかり「白ゆき姫殺人事件」しかり、映像化した方が魅力的に仕上がるのはいいことなのか悪いことなのか…。はっきりとした理由は出てこないんですが、この人の作品には斬新な仕掛けに追いつくだけの展開力がないということなんでしょう。

肉付けされたTVドラマ版は、2010年代を代表する秀作に仕上がっていました。その要因は三浦友和演じる高野茂という、原作にいない人物に物語の進行役を務めさせたことで、作品のテンションがフラットに保てたことでしょう。重い要素を多分に含みながらも、それを見守る人物が存在することで、高校生の恋愛や、古いアパートでの共同生活など、初々しい青春群像劇も輝いたわけです。

原作の方は西崎の視点が多めで、彼のトラウマの元になっている幼少期の出来事が大きく取り上げられているせいか、全体的なトーンが暗めなんですよね。それに対し、ドラマ版で最大の見所だった(杉下)希美と成瀬の高校時代の描写はかなり少ないです。家庭問題を抱えた高校時代の希美が希望を失わずにいられたのは、罪の共有相手である成瀬がいたからだと思うんですけど、原作の希美は無機質でその関係があまり伝わってきません。

さらに、タイトル通り、本作の登場人物は"N"のために行動するわけですが、正直、闇を抱えた全員が自分の欲求を満たすために動いているだけに見えるんです。ドラマ版はそれでも誰かに共感できるように作られていたんですけど、原作はそれもなし。想像を膨らますにも圧倒的に描写不足。

そんなわけで、焦点が定まらずぼんやりとした印象ばかりが残ってしまう作品でした。サクッと読めるし、読めばそれなりに楽しめるんですが、これなら時間をかけてでもDVDを借りてドラマを観るのをオススメします。

◆湊かなえ作品のレビュー
「白ゆき姫殺人事件」
「少女」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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