夏の名残りの薔薇 / 恩田陸

夏の名残りの薔薇 (文春文庫)夏の名残りの薔薇 (文春文庫)
(2008/03/07)
恩田 陸

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山奥のホテルで毎年開催するパーティーで巻き起こる変死事件。しかし、死んだはずの人物は次の章で何事もなかったかのように登場する。果たしてあれは夢だったのか、それとも…。

とにかく不思議な物語でした。
登場人物も年老いた三姉妹(彼女たちがパーティーのホスト)にその親類、女優をしている姪のマネージャーなど、実に様々。さらに近親相姦や不倫といった複雑な関係が入り乱れ、誰が誰を恨んでいても不思議ではない状態のため、ミステリーとしての設定は完璧に準備されていると言っていいでしょう。

さらに登場人物が一癖も二癖もあってみんな魅力的。女性陣にゴージャスなイメージが漂うのは恩田作品ならではですが、本作では男たちがよかったです。
時光や辰吉、冷静に状況を見つめる天知、何より最も平凡な人間という印象を持っていた隆介が思わぬ秘密を抱えていたことが終盤に明らかになり、魅力が倍増しました。

しかし、話自体はかなり難解です。
理由の一つは、複数の人間が一人称で語るということ。当然自己紹介をするわけではないので、ある程度読み進めないと誰がその章の主役なのか見えてきません。誰がどの事件の犯人なのか読み手を撹乱させることが目的なら、それも達成していると言えますが、犯人以前に誰が語り手なのかを考えながら読まなくてはならないのでは、なかなか内容が入ってきません。

二つ目が要所要所に挿入される映画「去年マリエンバートで」の脚本の引用。
これがまた唐突な上に、本編との繋がりが解りづらいんですよね。理解できないと悔しさも募るんですが、じっくり読み込むだけの気力が湧かず、後半のこのパートは流し読みをしてしまいました。読了後、他の人の感想も読んでみたんですけど、このパートを読み飛ばしていた人も相当数いました。

読み終わっても謎が残るので、2度、3度読み返せばどんどん新たな面が見えてくるんでしょうが、実際に読み返すかというと難しいです。
これまでに読んだ恩田作品がどれもよかっただけに、今回は残念。

◆恩田陸の長編作品のレビュー
「チョコレートコスモス」
「夜のピクニック」
「ライオンハート」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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