舟を編む / 三浦しをん

舟を編む舟を編む
(2011/09/17)
三浦 しをん

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編集部に迎え入れられた男、馬締(まじめ)を中心に、新しい辞書『大渡海』を編纂するために個性的な面々が奔走するストーリー。

名前の通り生真面目な馬締が恋に落ちる香具矢の他、辞書作りを見守り続ける松本先生など、登場するのが温かみのある人物ばかり。それに文章の読みやすさも合わさって、全くストレスなく読み進めることができます。
中でも、最初は単なる賑やかしでしかなかった西岡が、馬締に感化されて徐々に辞書作りに喜びを見出していく様子はとても印象的でした。仕事や勉強は時として目的を見失いがちですけど、きっかけがどこかに転がっているかもと思うと希望が持てますね。

ただ、250ページほどで描いているため、完成まで15年という長い年月をかけたという感覚があまり味わえないのが残念。ヒューマンドラマに重点が置かれすぎて作中では編纂の苦労がほとんど描かれていないんですよね。せっかく辞書作りというオリジナリティのある題材を取り入れているのだから、もっと長編にして深く掘り下げてほしかったところです。辞書にピッタリ合った紙を作るために試行錯誤するところなんか、かなり面白かっただけに…。

それでも、勉強用という堅苦しいイメージの強い辞書にここまで温かい質感を吹き込んだというだけでも大いに評価したいところ。
ライトノベル的だというこの作品が本屋大賞を取ったことに批判的な意見もあるようですが、そもそも本屋大賞に純文学だけを求めること自体がおかしいでしょ。純粋に書店員が売りたい本としては受賞も納得の内容でした。

こうなると、石井裕也監督の手による映画化にも期待したいですね。
ただ、宮﨑あおいの香具矢はいいとしても、松田龍平の馬締はピンと来ないなぁ。同じ三浦しをん原作の「まほろ駅前多田便利軒」での行天のイメージが強く残っているせいかもしれませんが。生真面目で冴えない30代くらいの男に適した俳優がパッと思い浮かばないですけど、瑛太か松山ケンイチの方がイメージに合っているように思います。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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