かわいそうだね? / 綿矢りさ

かわいそうだね?かわいそうだね?
(2011/10/28)
綿矢りさ

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住む場所がないことを理由に恋人の家に元カノが居ついてしまう話。
滅茶苦茶な設定のようで、近い状況に立たされた経験のある人は実は結構多いんじゃないのかな。自分は男ですけど、隆大は理解できなくても、樹理恵やアキヨの立場は理解できるような気がします。

主人公の樹理恵は一言で言えば都合のいい女で、その状況に対しておかしくない?と思いつつも見事に丸めこまれてしまいます。まぁ、樹理恵としては同棲を認めないなら別れると彼に言われてしまっているので、選択肢がない…。ズルいと思いながらも妥協するしかないから、無理矢理自分を納得させている部分もあるんでしょうね。

ラストだけは強引にまとめにかかった感じで好きになれなかったんですけど、それ以外は文句のないクオリティでした。
女性作家らしく、女同士のバトルや男のズルさは極端なほど解りやすく描かれているし、樹理恵が隆大の携帯を覗き見する場面はワクワクとハラハラが共存する絶妙なスリル。20代の恋愛を女性目線で描くとこうなんだろうなと納得させられっぱなしで本当に楽しかったです。
また、英会話学校の講師との会話など、コメディの面でも秀逸。

同時収録の「亜美ちゃんは美人」も表題作に負けないくらいの力作でした。
主人公サカキの親友は、人目を引く容姿の持ち主で誰からも愛されている亜美。サカキだって美人なのに、隣に並んでいるとAのそばに張りつくAダッシュになってしまう。そのせいか、親友のはずなのに全面的に亜美に好意を持てない。ところが、あることをきっかけに彼女は亜美を理解し、支えになると誓うことになる…。

この話の後味のよさは抜群ですよ。単なる女の友情物語でなく、そこに嫉妬や孤独感を巧みに忍ばせ、それでも最後には自分の本心に気付かされてしまうという見事な構成。仲良しだからといって常にポジティブな感情で満たされているとは限らない、そんな当たり前のことに気付かされて温かい気持ちになりました。

2編とも主人公は平凡な女の子なんですよね。女性向けではあるけども、女同士の関係や心情を垣間見るという観点で、男でも十分に楽しめます。
純文学と呼ぶにはライトな作品ですが、芥川賞のプレッシャーに若い作家が潰されてしまったようにも思えた「夢を与える」時代を乗り越えて、エンタメ小説家として復活を果たした綿矢りさにますます目が離せなくなりました。
次回作も楽しみです。

◆前作のレビュー
「勝手にふるえてろ」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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