さよなら快傑黒頭巾 / 庄司薫

さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)
(2002/10)
庄司 薫

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出版順では「赤頭巾ちゃん気をつけて」に続く薫くんシリーズ第2弾ですが、時系列では「白鳥の歌なんか聞えない」よりも後の第3弾。
今回は兄の知人であり医者の卵でもある山中の結婚式に招かれるところから始まります。呑気に出かけていったけれど、会場はただならぬ雰囲気…。敵前逃亡の裏切者扱いされた山中と、数合わせのために駆り出されて祝う気すらない人々による、形だけの結婚式。学生運動の時代ならではの複雑な事情に薫くんが直面し、定番のお悩みモードに突入します。

学生運動については知識がほとんどないので、それがはっきり描かれている中盤はピンと来ない部分も多々ありました。
しかし、それをすべて吹き飛ばすラストの余韻。いつまでも夢を見続けるわけにもいかないし、だけど諦める時には大袈裟な理由や儀式が必要になるし、男というものは本当に面倒臭くて滑稽な生き物だけれど、それもまた魅力的じゃないですか。人はみんな妥協を重ねて生きるが、誠実でい続ければ負けっぱなしにはならない。そして時には敗北も美しい。ほろ苦さと同時に清々しさも覚え、前に進むパワーを与えてもらった気分です。この気持ち、「赤頭巾ちゃん~」でも味わったな…。とことん悩み抜く十代の薫くんが青臭く感じながらも、何だか微笑ましいんですよね。

ノンちゃんとアコという個性的な女の子も登場して、由美不在の淋しさを感じることもありませんでした。まぁ、元々由美がそれほど好きじゃないというのもあるかもしれませんけど。
それに、薫の兄貴がかっこいいじゃないですか。
僕は4人兄弟の一番上なので、中学時代などは兄や姉という存在に憧れがありました。大人になってそんな気持ちも薄らいでいたけど、こんな歳の離れた兄貴がいたら自分の目に映る世界も違っていたんだろうなと妄想が止まりませんでしたよ。

さて、これで薫くんシリーズも完読です。
これだけ読み応えがあって考えさせられる作品に出会えたことに感謝しつつ、順位を付けるとしたら
「赤頭巾」>「青髭」≧「黒頭巾」>>「白鳥」
かな。読んだ順番も影響しているでしょうし、どの作品もまだまだ理解が足りていないので、いずれまた最初から読み返したいです。
そして、明日は新潮文庫版の発売日! 前2作同様素敵な表紙が店頭を飾るかと思うと今から楽しみで、明日は本屋を覗いて帰ろうと思います。

◆庄司薫作品のレビュー
「赤頭巾ちゃん気をつけて」
「白鳥の歌なんか聞えない」
「ぼくの大好きな青髭」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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