三四郎はそれから門を出た / 三浦しをん

三四郎はそれから門を出た (ポプラ文庫)三四郎はそれから門を出た (ポプラ文庫)
(2010/04/05)
三浦 しをん

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別々の雑誌で連載されていたブックレビューとエッセイが1冊にまとめられた、変わり種の1冊。とはいえ、元々この人は普通のエッセイを書いていても読書ネタを出さずにいられないくらいなので、書評が入れば本への愛も桁外れ。これだけ一つのことにのめり込めるというのも素敵ですが、その魅力を見事な筆力で表現できるというのは本当に羨ましい話です。

最初に不満を挙げてしまうと、著者のイメージと比べて1、2、6章のブックレビューが真面目すぎることですかね。取り上げる作品や文章からは一般的な書評のような高尚さは感じず、漫画やベストセラー本なども多く収録して確実に敷居を下げてはいるんですが、いつものしをん節を期待すると拍子抜けするのは間違いありません。

というわけで、個人的にはやはり純粋なエッセイである3~5章を推したいところ。
3章の「本のできごころ」は本にまつわる様々なエピソードを綴っただけなのに、彼女の文章だと一気に身近な話のようにしっくりきます。続く4章「役に立たない風見鶏」は最新カルチャーを紹介するという趣旨のコーナーだったようですが、本人が書いている通りオシャレさは皆無。しかし、盆栽や歌舞伎、鍾乳洞などあまり馴染みのないものにも魅力が伝わってくるんですよね。

同じエッセイでも、微笑ましい3、4章とは違い、ところどころで爆笑ポイントが用意されているのが第5章の「本を読むだけが人生じゃない」。
鉄板なのは姉弟エピソード。他のエッセイでも度々登場する弟くんですが、作者を「ブタさん」呼ばわりする彼との掛け合いは相変わらずの面白さで、特に弟の羨望の眼差しを得るために中田英寿との結婚を画策(妄想)する著者の様子は、夜中に笑いをかみ殺さずには読み進められないほどでした。一度姉弟ネタ限定のエッセイも読んでみたくなるくらいですけど、そうなると弟から相当な見返りを求められそうですね。

他人を攻撃することなく、自虐性と妄想だけで読者を楽しませることができるこの人はやはり特別。加えて、こういう話でワクワクできる自分もまた幸せだなぁと思えました。
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テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

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しをん研究

三浦しをんの小説はいつ読むんですか、、、
早く読んでいただき、エッセイストとしてではなく、作家としての評価をしていただきたいと切に願います。
彼女の小説は、極端にダーク系とライトノベル系に大別できるわけですが、エッセイストとしての、“誰も不快にさせない、無害”であるという性質が、小説では仇になっていると思うんですよ。ダーク系では反動が出るのか害が炸裂しすぎているし、ライトノベル系では無害すぎて退屈です。
言葉の巧みさも、ダーク系では作品に似合わぬ文語表現に走り過ぎていたり、ライトノベル系では妄想を生かした比喩ばかりで地の文が成り立っている(→まほろ含む。番外地まで読んだ我が忍耐!)印象でした。

エッセイ作家

うむむ、小説ですか…v-404

「まほろ駅前」は作者の理想の友情が描かれているんだろうけど確かに無害すぎて物足りなかったから、なかなか次に手が出せなくて。
今は映画版を観た「風が強く吹いている」を古本屋で探しているところ。
でも、ダーク系もあるとは知りませんでした。
じゃあそっち路線も1つは読まないと小説家としての三浦しをんは語れそうもないね。
よし! 今年中に1冊は読んでみます(読む気配がなかったらプレッシャー掛けてください)。

ま、単純に読みたい小説は山ほどあるけど、読みたいエッセイはそんなにないから、息抜きしようと思ったら彼女のエッセイに逃げてしまうというのもあるんだけどね…。

依頼致します!

いや~、昨年費やした時間を忘れよう、忘れようとしても、こうして記事が上がってくると心の叫びを抑えられないんですよ!!
小説だけで10冊は目を通してるんでね、、ここまで私にさせたのは、エッセイが破格に面白く、本当に読書をしている人だから創作に心から期待したんです。もちろんこの『三四郎~』も読んでます。
ああ、、いぬふくさんにも、せめて私の読んだ半分くらいは読んで欲しい。(本当は全部読んで労力を分かち合っていただきたいんですが、実行してくれないですよね)
でもせっかくやる気を出していただけたようなので、リストにしておきます。
<ダーク>
『月魚』『秘密の花園』
『私が語りはじめた彼は』★
『むかしのはなし』★★
『光』→私が味わった苦痛をいぬふくさんにも味わってもらいたい意味で絶対読んでください!!最後まで。
<ライトノベル>
『格闘する者に○』★★★→ライトノベル系はこれしか読まなくていいです。と、断言したい。
あとは、まほろ2作品、神去なあなあ日常とかです。『風が強く吹いている』これもライトノベル系ですが、本当に古本を買う気ですか!止めておきましょう、図書館にあるじゃないですか。私は数行で読む気が失せました。

キツいノルマ

そんなに読んだんだ!!!
いやぁ、半分も無理でしょ。
小説は2年に1冊の8年払いくらいで勘弁願いたいところです。

「光」は今年か来年あたりに文庫化されそうだから、そしたら読んでみます(でも苦痛なのかぁ…)。
あとはダーク系のリストから、あらすじを読んで決めようかな。

「風が強く吹いている」は文庫で670ページというかなりの長編なので、図書館の貸出期間中に読み切る自信がないのです。
でも今は借りる人もほとんどいなくて、延長もできそうだから、借りるのもありかなと思い始めたよ。

まぁ、どれを読むにせよ暫しお待ちくだされ。
現状待機本が4~5冊と、図書館で予約している本が数冊あるので、次のしをん作品に手を出すのは下半期になると思われます…。
プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
    詳しくはプロフィールページからどうぞ!
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