さよなら、愛しい人 / レイモンド・チャンドラー

さよなら、愛しい人さよなら、愛しい人
(2009/04/15)
レイモンド・チャンドラー

商品詳細を見る

「ロング・グッドバイ」が2008年のベストに選ぶほど気に入り、その勢いで読み始めたものの、途中で挫折を2度繰り返し、最終的に2年かけて読み終えました。

いやぁ、ホントに読み進めるのが大変でしたよ…。
とにかく、比喩が多いせいで物語が把握しづらいんですよね。こういうタイプの比喩は嫌いじゃないんですけど、ただでさえ登場人物が多くて大変なのに、細かい表現が入るせいでなかなか物語が頭に入ってきませんでした。
物語自体も、メインとなるはずのマロイがほとんど登場せず、「ロング・グッドバイ」のテリー・レノックスのように存在を匂わせることもあまりなかったのが物足りません。結末が切なくて余韻を残るものだっただけに余計に残念。展開次第ではもっと感動的だっただろうな。テリーは読後もずっと頭から消えませんでしたから。

しかし、主人公のマーロウの魅力は健在です。
「ロング・グッドバイ」の過去の話ということで、マーロウも若くて無鉄砲。いつも一言余計で女性をムッとさせてばかりの彼に村上春樹がどれほど影響を受けたかよく理解できますね。怒らせると知りつつも皮肉を言わずにいられない…、解るな~。
明らかに危険だろという事件にもついつい首を突っ込んで、結果見事にボコボコにされるマヌケさタフさもまたかっこいい。こうなりたいとは思わないけども、男としては心のどこかで憧れてしまう部分があります。現代版の映画化も実現させてもらいたいところですけど、マーロウ役にハマリそうな俳優が思いつかないんですよねぇ。ヒース・レジャーが演じていたら面白そうだったんですけど…。

ところでこのタイトル、清水俊二訳の邦題「さらば愛しい女よ」があまりに定着しすぎているために、どうしても安っぽく感じてしまいます。確かに他の邦題が浮かんでこないし、「ロング・グッドバイ」のように原題の読みそのままの「フェアウェル、マイラヴリー」では様にならないので仕方ないとは思いますが、訳者を知らずに2冊が並んでいたら、迷わず「さらば愛しき人よ」の方を手に取っていたでしょう。翻訳家としての村上春樹も好きなだけに、このタイトルはとにかくもったいない…。
邦題はさて置き内容自体は、読みにくい表現をある程度削った清水訳に対し、村上訳の方は読みやすさを犠牲にしてでもチャンドラー節をできる限り残した補完版とも言えるものになっているとのことなので、両方読んで比較してみるのも面白そうです。

◆レイモンド・チャンドラー作品のレビュー
「ロング・グッドバイ」
スポンサーサイト

テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
    詳しくはプロフィールページからどうぞ!
最近の記事
カレンダー(月別件数付き)
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


いぬふくの最近観たDVD
いぬふくの今読んでる本