困ってるひと / 大野更紗

困ってるひと困ってるひと
(2011/06/16)
大野 更紗

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ビルマ(ミャンマー)難民と出会ったことをきっかけにNGOでの活動に没頭。そんな中、20代半ばにして筋膜炎脂肪織炎症候群という難病を発症し、自らが難民になってしまったという女性のエッセイ。

病気をテーマにした本や映画は大抵お涙頂戴で終わってしまうんですが(もちろんそれが悪いとは思いませんが)、これは文章が全体的に軽いタッチで、同情を誘うような書き方は一切なし。それでいて、最初から最後までずっとそのパワーに圧倒されっぱなしでした。

多くの人は「自分は大丈夫」と健康に根拠のない自信を持ちながら生きているし、健康に気を遣っている人は「これだけやっているのだから…」と安心している。一度や二度大きな病気をしても、回復してしばらくすれば辛さを忘れてしまう。だから、本当に病気の怖さを知っているのは、病気が現在進行中の人だけだと思います。
麻酔なしで筋肉を切り取る手術というものがどれほどのものか想像もつかないし、お尻大爆発事件は面白可笑しく書かれているもののその様子を思い描くと地獄絵図だし、病気のエピソードは読んでいるだけで呼吸困難に陥りそうになるものばかり。
でも、頑張り続けるんですよね、彼女は…。

著者を100%立派だとは思いません。医師に対しての不満などは、実名を伏せているとはいえこんなことを書いちゃって平気なのか?とハラハラするほど。しかし、少々ワガママに思えるほど感情的になるところは、苦境に立たされた人間らしさに思えます。
「悲観も、楽観もしない。ただ、絶望は、しない」
彼女なりに病気を受け入れ、生きていく方法を探し求める姿が逞しく、こちらも清々しい気分になりました。それと同時に、自分自身、生きていることがいかに奇跡的なことなのか痛感させられます。これから重い病気に苦しむかもしれないし、もしかしたら明日死ぬかもしれない。しかし、生きているだけでラッキーなんだから絶望することはないんだと妙な力が湧いてきました。
また、著者の目線で書かれたものでありながら、医師の大変さも不思議と伝わってくる本でもありました。彼女を診ている医師たちはみんな人間臭くていい人たちですね。

文章のセンスは独特なので、そこに拒絶反応を起こす人も大勢いるでしょう。でも、それで投げ出すのはもったいない!

ただ、彼女が関心を寄せていた難民の話と、自身の闘病との繋がりが無理矢理な感があること、そして恋愛や引越しの要素が絡む終盤に面白さが失速してしまうのが残念。闘病記ではないと著者は謳っていますが、純粋に病気についてだけを綴ったほうが面白いものになったんじゃないかという気はします。ただ、それだとこんな軽い空気感は出せないのか…。
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テーマ : 読書感想
ジャンル : 本・雑誌

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