127時間

127hours

2009年のベスト・ムービーに選んだ「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督作品。全米公開時から観たくて仕方なかったんですが、そんな大きな期待にもしっかり応えてくれる傑作に仕上がっていました。

谷底で岩に挟まれているシーンが中心になるため、映像に動きがなくて退屈するんじゃないかという不安もあったんですが、自然や回想の映像を要所要素に織り交ぜて、しかもそれがいちいちスタイリッシュなので、飽きるどころかずっと興奮しっぱなし。
ダニー・ボイル作品お約束の疾走シーンもちゃんとあり、序盤は特徴のあるカット割やカメラワークにより映像に躍動感があった分、身動きが取れなくなってからの孤独感や不安感が余計に強まっていました。実話の映画化というのは展開が平坦になりがちですけど、この作品は本当によくできています。

主演のジェームズ・フランコは「スパイダーマン」シリーズはもちろん、「ミルク」での好演があったので期待も大きかったんですが、期待を裏切らないどころかそれを上回る素晴らしさでした。ほとんど彼の一人芝居で進行するにもかかわらず、わざとらしさもなく、感情の細かい移り変わりまではっきり感じられるんです。ビデオカメラを活かしてテレビ番組風の遊びを混ぜたところもかなり気に入りました。

そして登場人物がほぼ一人しかいない分、自分自身を彼に投影しやすくなっているんですよね。
自由気ままに活きてきた主人公が、死に直面して大切なものに初めて気づかされる。文章にすると平凡なテーマも、今の自分の心にはとても響いてきました。自分が何に支えられているのかという、解っているようで普段はなかなか意識しないことを改めてゆっくり考えさせてくれます。

ただ、多くの人が目を逸らせたくなったであろう終盤の"痛いシーン"は、う~ん…。
実話なので変更はできないとしても、あそこまで直接的な描写が必要だったのかという疑問はあります。この作品の場合、脱出の手段は全く重要でなく、なぜ彼がそうまでして助かろうとしたかという心理的な表現の方に重きを置いていると思うんですよね。せっかく深く考えさせられる映画なのに、あのシーンの衝撃が強すぎて観賞後も胸にしこりができたような気分になりました。
海外では失神者も出たという話がありますし、グロ耐性のない人はそのシーンだけ目を瞑っておきましょう…。

書き忘れていましたが、BGMも文句なしですよ。映像と同様に静と動の使い分けが見事。
持っていたはずなんだけど、いつの間にか行方が分からなくなっていたダイドのデビュー作、映画帰りに100円で発見したので買い直しちゃいました。

★★★★★★★★★☆

◆ダニー・ボイル監督作品の評価
「スラムドッグ$ミリオネア」 ★★★★★★★★★☆
「サンシャイン2057」 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
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テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

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No title

ついでにSigur Rosも買ってあげちゃってください。

この映画面白かったですね~。

痛いシーンはもちろん下を向いてましたが(笑)、
あのシーンがあるからこそ、
彼の下した決断の重さを強く感じるし、
観ている側にも最高の解放感が感じられるのではないかと思ったので
監督が妥協しなかったことを高く評価したいです。

痛すぎ!

ANDREくんのレビューも観賞後に読んだよ!
Sigur Rosって名前しか知らなかったけど、知るいい機会になりました。

あの痛いシーンに関しては、重要だから削除はできないけど、もう少し観客の想像で補う形にしてくれても…と感じたな。
まともに見られない人がたくさんいるのなら、あんなにはっきり描写する必要はなかった気がするんだよね。
自分は見逃すのがもったいない気がしちゃって凝視してましたが、それまで涙腺が緩みかけていたのが、あれで吹き飛んでしまいました…。

でも作品としては本当に面白かった!
パッケージ化されたら欲しいけど、もう一度あのシーンを見るのは勇気が要るなぁ。
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いぬふく

  • Author:いぬふく
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