悪人 (上) / 吉田修一

悪人(上) (朝日文庫)悪人(上) (朝日文庫)
(2009/11/06)
吉田 修一

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映画はキネマ旬報ベスト・テンの日本映画第1位になり、監督賞、脚本賞も受賞、日本アカデミー賞では作品賞と監督賞こそ逃したものの、主演、助演の俳優賞を総ナメするなど、高い評価を得た作品。
これまで「パレード」「横道世之介」を読んできて、吉田修一作品のイメージと映画の重苦しい雰囲気がどうしても結び付かなかったんですが、原作自体も相当に重い…。読みやすさは健在ながら、宮部みゆきの社会派サスペンスのような序盤の文体が新鮮に映りました。

石橋佳乃を殺害した主人公の清水祐一に関しては、上巻の時点では事件を気にする素振りは見せるものの、犯行に及んだ動機や心情などはほとんど描かれていません。様々な人間の目線で描かれている本作ですが、どの角度から見ても清水祐一に悪人の要素はありませんね。
むしろ、逃走中の大学生、増尾圭吾の方が遥かに怪しく映るし、石橋佳乃が見栄っ張りすぎて、殺されたにもかかわらず同情できないなど、主人公以外の方が悪人に見えてしまう方が面白い。祐一の悪人の面を垣間見たくて、自然とページが進みます。

動きの少ない前半の中で最も面白かったのが、佳乃の殺害が報じられてからの友人や同僚たちの困惑ぶりですね。
最初は気にも留めていなかったニュースなのに、その後被害者の特徴が流されてからそわそわし始め、身元が判明すると一気に現実感を失ってしまうという流れが妙にリアル。ショックは受けるけども、同時に非現実的な世界に飛ばされたことによる興奮も湧き上がっているような印象を受けました。

上巻の祐一は、作品のキーパーソンである馬込光代に出会ったところで終了。映画の予告編で見たシーンのほとんどは下巻まで持ち越しみたいですね。ここまでも夢中になって読んでしまっていますけど、下巻はこれ以上の盛り上がりが期待できそうで楽しみです。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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