1Q84 BOOK3 / 村上春樹

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3
(2010/04/16)
村上 春樹

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長かった1Q84の世界も一応完結。
しかし、まさかBOOK3にきてラブストーリーの色が濃くなるとは! もちろん村上春樹ですから普通の恋愛じゃないし、それほど意外な結末ではないんですが、天吾と青豆の再会が近づくにつれ、気持ちの高鳴りを抑えることができなくなってきました。青豆というキャラクターは特別好きなわけではなかったけど、最後は彼女のことを優しい目で追っている自分に気が付いたんです。冷徹な暗殺者のような青豆も、実は親友を2度も失った過去を持っていて、すごく苦しんでいることを自分は知っている。だからこそ、残された大切なものは失われずにいてほしいと本気で思えたわけです。

というわけで、村上春樹作品にしては珍しく読後感が晴れやかだったこのBOOK3ですが、天吾と青豆のラブストーリーという色が強まりながら、牛河やNHKの集金人など恐怖感を煽る人物が頻繁に登場し、緊張感のあるミステリーとしても機能しているところが見事でした。牛河、青豆、天吾、それぞれが何かを追い求めながら、同時に何かに追われ続ける展開というのも緊張感を持続するという意味でよかったです。
ただ、牛河に関してはBOOK3で初めて主役級の扱いになった割に呆気ない幕切れでしたね。ハッピーエンドを願っていた身としては彼に活躍されては困るんですが、小説を盛り上げるためにはもう少しかき回してほしかったという気持ちも残ります。

全体的には、BOOK2までに漂っていた宗教色は若干薄まり、ずいぶん解りやすい小説になったなという風に思いました。中にはそれを否定する人もいるでしょうが、個人的には大歓迎。彼の作品の中でも特にエンターテインメント色の強い物語になっている分、読みやすさとのめり込み度は異常に高いです。難しい物語を平易な文章で描くって相当なテクニックが要ることだと思うんですけど、この人は何でもないようにやってのけてしまうんですよね。

いろいろなレビューを読んでみましたが、ある人は「まだまだ謎だらけでスッキリしない」と言い、またある人は「BOOK2までの解説書のようで面白味に欠ける」と言う。これだけ意見がはっきり分かれるのも珍しいと思いますけど、自分にとっては「謎だらけで終わったBOOK2のモヤモヤをある程度解消してくれて、それでいて読者の中にある独自の1Q84は壊されていない(種明かしをしすぎていない)」ちょうどいいバランスだったと思っています。

春樹作品の中でベストとは言いませんが、「ダンス・ダンス・ダンス」より後の作品では最も楽しめました。BOOK4の噂もありますけど、個人的にはここで終わってほしいな。それよりも早い文庫化を!

◆シリーズ作品のレビュー
「1Q84 BOOK1」
「1Q84 BOOK2」
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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