ドリアン・グレイの肖像 / ワイルド

ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)
(2006/12/07)
ワイルド

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古典というと難解なイメージが常に付きまとってしまうんですが、これは昼ドラのような劇的な要素をふんだんに盛り込まれており、続きが気になってワクワクしたままラストまで到達してしまいました。解りやすい中にも教訓めいた部分も持ち合わせているという点では童話的でもありますね。

前半はドリアンと画家のバジル、その友人であるハリーの3人の会話を中心に話が進んでいくんですが、ドリアンが徐々に悪に手を染める後半はやりすぎなくらいの盛り上がりなんです。ぜひ実際に読んでもらいたいので詳しくは書きませんが、ドリアンが悪の世界に足を踏み込むほどに物語がドラマチックになっていくのが最高。まさかこの人までがこんな結末を迎えるとは!という先が読めないドキドキ感というのを久々に味わったような気がします。彼に近づく人間の多くが悲劇的な結末に直面するので緊張感も最後まで保たれました。

ドリアンが絵の変化に気付き、自分の罪を知りつつ堕落していく様は、まるでアダムとイヴがエデンの園で善悪の木の実を食べた時のよう。無垢な存在が汚されていくのは悲しくもあるけど、人間はこういう悪の部分に堪らなく惹かれてしまう存在でもあるんですよね。純粋な心に黒い影が忍び込む描写は見事で、だからこそこの本が名作と呼ばれるんだなと強く思わされました。
アダムとイヴを唆した悪魔の蛇の役は図らずもハリーが担うことになってしまうんですけども、本作で最も魅力的だったのもハリーだったように感じます。終盤一気に脇役に追いやられてしまうのが残念でしたが、ドリアン堕落のきっかけ作りだけでなく、皮肉たっぷりの会話や実はすべてを見抜いているのではと思わせるような鋭いセリフなど、見せ場たっぷりで魅了されました。

それにしても、本作は悪を魅力的に描いたという点で限りなくフランス作品的な雰囲気が漂っているんですが、オスカー・ワイルドだから実際はイギリス作品なんですよね。
個人的には、これまでに読んだ光文社の古典新訳文庫の中でベストと言えるほど夢中になれた作品でした。冒頭で昼ドラを例に挙げたように、古典と言われなければ気がつかないほど現代にもマッチした展開でもあるので、ドラマチックなストーリーを求めている人にはぜひとも手に取ってもらいたいと思います。
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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

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