無花果少年と桃尻娘 / 橋本治

無花果少年(ボーイ)と桃尻娘 (講談社文庫)無花果少年(ボーイ)と桃尻娘 (講談社文庫)
(1991/06)
橋本 治

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友人に勧められていた1冊。刺激的なタイトルに若干引きながらも、古本屋で安く売っていたので手に入れました。
500ページもあるのでそこに対する抵抗もありましたけど、適度に行間を空けていたり、中には1ページに1文字しか書かれていない箇所もあったりするので、大ボリュームという印象はそれほど受けませんでしたね。文章自体は難しい言葉がそれほど使われていないし、特に中盤以降は好きなシーンが増えてきたこともあって、驚くほど短時間で読み終わりました。

ただね、これはシリーズの5作目なんですよ。友人はここから読み始めても大丈夫と言っていましたが、主人公の無花果少年(磯村薫)と桃尻娘(榊原玲奈)を取り巻く人間関係が複雑なので、理解するのはかなり大変でした。冒頭に出てくる磯村くんと木川田くんの関係がまず理解できない。
男の子同士の間で「好き」という言葉が飛び交っている様もそうですけど、それ以上に違和感があったのは、これを同性愛の話と受け取っていいのかどうかと思うくらいの微妙な関係です。彼らの言う「好き」が恋愛感情なのか、親密な友情なのかが判らないんですよね。恋人と呼べるような深い関係ではないのに身体の関係を持ってしまったり、でもお互いを強く想い合っていたり…。
この関係は過去の出来事が強く影響しているようなので、結局シリーズ作品をさかのぼらないといけないのかな。
磯村くんはその後登場する田中くんといっしょに暮らし始めるんですけど、ここの関係もまた謎。

逆に桃尻娘、榊原のエピソードは明快で面白かったです。
彼女は利倉という男と付き合っているのだけど、彼女が最終的に求めたのは彼との結婚ではなく彼の実家で女中として働くこと。この突拍子もない発想がどこから来たのかというのを書き始めると長くなるので省きますが、相手が引いても「私は平気だもん!」精神で突き進んでいく様はなかなか痛快でした。磯村も榊原も明るい未来を予感させるような結末を迎えるんですけど、思いっ切り自らの力で切り拓いていった榊原のエピソードの方が気持ちよく読み終えることができましたよ。

なんていろいろ言っていても、本作で一番好きな人物は磯村なんだよなぁ。木川田といっしょの磯村、榊原と話している磯村、田中と距離を縮める磯村、母親への不満をぶちまける磯村…。シーンごとに様々な面を見せる彼はなかなか興味深い存在でした。個人的には磯村&榊原&田中の3人が繰り広げる不思議なやり取りが好きです。川越を中心にした東武東上線と西武新宿線のエピソード、あれも面白かった!

ところで、ほとんど一人称なのに最初の章だけ神の視点で描かれたのはなぜなんでしょうね。
個人的にはあれに拒絶反応を示してしまいました。上に挙げたように磯村くんと木川田くんの複雑な関係を描いたパートだっただけに、特に二人のベッドシーン(?)はやたらと生々しく感じられてキツかったです。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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橋本

こんにちは、ホモ小説にはまったしんちゃんです。

この本(5作目)は、自分が普段ぼんやり男女が恋愛することに対して思っていたことを、男と男が恋愛するところを描いてくれたおかげで、自分の頭で考えるきっかけを与えてくれた、そんな印象です。v-23

僕はやっぱりこういう前向きなはなしがすごく好きですね。
なんだかんだいっても、やっぱり前向きであることは大切ですよ。

磯村

どうも、あまりに天気が良かったから電車に乗って出掛けたのに、結局途中にあったBOOK OFFに寄ってしまったいぬふくです。

自分にはあれが恋愛なのかどうかも分からなかったよ…。
もしかしたらああいう友情もあるのかなと思えてしまったし(まぁ、肉体関係がある時点で普通の友情ではないんだけどv-23)。
混乱したまま読み終わってしまったので、あの前向きなラストを読んでも自分は前向きな気分になれなかった。

でも、この本に会ったのはなかなか刺激的で面白い経験でした。
磯村くんのエピソードはもっと読んでみたいから他の作品も買ってみようかなー。
プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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