葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
(2007/05)
歌野 晶午

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2003~2004年のミステリーで特に高い評価を獲得したと評判の作品だったので、期待も大きく読み始めましたが、終盤に差し掛かってもあまり盛り上がってくる気配がない…。登場人物もちっとも好きになれない。そう思っているところで、最後の最後に大きなトリックを仕掛けているのです。

僕も見事に騙されました。
ミステリー=犯人探しと考える人には物足りない内容かもしれません。自分も犯人自体は途中で薄々勘付いてしまいました。でもそれ以外に仕掛けがちゃんと隠されているんですよ。どんなトリックが待っているのかと構えているのに、予想していたところとは全く違ったところから攻められる驚きはなかなかのもの。そして人間の先入観を巧みに利用した設定。読み終えても必ずもう1度読み返したくなる作品ですし、読み返すと納得できる点が多々あって感心させられました。計算され尽くした文章を改めて読んでいくと、頭の中に浮かぶ光景が全く違うものになるんです。序盤から主人公の成瀬将虎だけでなく、その妹や8つ年下で高校生の後輩を登場させたのも上手かったですね~。

10代の恋愛小説を思わせるようなタイトルも、今思えば大きな仕掛けだったんですね。これもまた、改めて考えてみると第一印象とは違った意味で内容にピッタリ合ったものだったと思います。

ただ、そんな驚きと同時に彼ら登場人物に魅力を感じられなかった理由も判りました。詳しく書いてしまうと確実にネタバレになってしまい作品の魅力を損ねてしまうのでやめておきますが、他人に対してやけに上から目線の将虎や、覇気がないのに嫉妬深さだけは相当持っているヒロインのさくらなど、誰一人好きになれなかったんですよね。トリックのために物語としての面白さを犠牲にしてしまったように思えて、すごく残念でした。

400ページを超えるとは思えないほど読みやすい文章ですし、純粋に巧妙な仕掛けを楽しみたい人にはピッタリな1冊ではないかな。自分が好きなタイプではなかったものの、こういう新鮮な驚きを得られる作品はどんどん支持していきたいものです。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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