R.P.G. / 宮部みゆき

R.P.G. (集英社文庫)R.P.G. (集英社文庫)
(2001/08)
宮部 みゆき

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7~8年前にはかなり読み漁った宮部作品なので、久しぶりに触れるとかなり懐かしい気分で楽しめました。
登場人物の話し方などはまさに宮部節。とことんシリアスなんだけど読みやすい文章にもホッとできました。「模倣犯」の武上刑事や「クロスファイア」(こちらは未読)の石津刑事の再登場など、宮部ファンへのサービスも用意されていて抜かりない作りです。

本作は、殺人事件の被害者の男を巡り、その家族と彼がネット上で作っていた疑似家族との関係を探りながら真犯人を探すストーリー。
被害者の所田良介は自分の理想とする父親像をネット世界に求めた結果、現実の家族との溝がどんどん深まっていってしまい、これが結果的に事件へと繋がってしまいました。大きな疑似家族というと非現実的で特殊な世界に感じられるかも知れませんが、現実世界で見せられない部分をネットでは出せるという人も少なくはないわけで、それを2001年の時点でここまで描いたのは見事としか言い様がないです。
もちろん、粗がないわけではないんです。登場人物の描写はあっさりしていて物足りないし、本作の主軸になっている家族の部分に"絆"が全く見えないために読後感がものすごく悪い。しかし、宮部作品の中でも社会派サスペンスは基本的に設定重視で温度の低さが特徴でもあるので、そこは受け入れなくてはならないポイントなんでしょうね。

犯人自体は途中で何となく読めてしまったので、推理モノとして読んでいくと底が浅く感じられるかも知れません。が、ラストの一撃には降参。はっきり言ってミステリーとしては反則とも言える手法なんですが、あまりに見事に騙されたのでかえって気持ちよかったです。作者のトリックにハメられた悔しさと同時に、作者とともに犯人を罠にハメた快感が同時に得られる不思議な感覚。タイトル通り"R.P.G. (ロール・プレイング・ゲーム)"という役割を演じる遊びを上手く利用した手でした。
宮部作品の中では特に優れているわけではないものの、短時間でサクッと読める割に読み応えのある内容で満足度は高いです。ただ、上にも書いたようにファンサービス的な要素もあるため、「模倣犯」や「クロスファイア」を読んだ後の方がより楽しめるんでしょうね。

<宮部みゆき作品の感想:「誰か」
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テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

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