地下鉄(メトロ)に乗って / 浅田次郎

地下鉄(メトロ)に乗って (講談社文庫)地下鉄(メトロ)に乗って
(1999/12)
浅田 次郎

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映画版を先に観てしまいましたが、あれは原作に忠実に映像化しているんですねぇ。忠実な分、腑に落ちないラストも変わらず。でも、今回はあらかじめ結末を知っていた分、すんなり受け入れることができました。慣れてしまえばこういう喪失感も嫌じゃないです。

ベースはよくある父と息子の確執を描いた話。雰囲気は全く違うものの、ファンタジーの世界を通じて父親の別の一面を知り、理解に繋がっていくというのは映画「ビッグ・フィッシュ」を思い出させますね。過去にタイムスリップするというのもありがち。ただ、こちらはそれによって過去を変えられるわけではなく、そういう意味では「流星ワゴン」に近いか。
自分は父親との確執は全くないので真次と同じ立場でものを考えることはできませんでしたけど、力強い文章がグイグイ引っ張っていってくれたおかげで登場人物との距離を感じることもありませんでした。それに舞台となった路線に思い入れがあるのもプラスに働いたかな。実は僕も今通勤で地下鉄を使っていて、しかも通勤先の駅が真次と同じなんです。なので、時代こそ違うものの地名が登場するとパッと光景が浮かんできて簡単に入り込むことができたんですよ。某駅の地下道を通るたびに「この通路のどこかに真次の勤め先があったんだ…」と思ってしまいます。

ベストシーンは、やはり地下鉄の中で満洲へ行くための父親の素顔を知るところでしょう。
この衝撃のシーンを読んだのがたまたま仕事からの帰宅中で地下鉄に乗っていた時だったので、感情移入度は最高潮に! 映画版でストーリーを知っているはずなのに頭が混乱してしまうし、胸はバクバク言うしで、もしかしたら真次以上に真次になり切っていたんじゃないかと思うほどでした。父親の見方が変わった一瞬、この一瞬の描き方が実に素晴らしかったですね。

ただ、みち子が映画版ほど印象に残らなかったのは不満。出番やセリフはむしろ原作の方が多かったくらいなんですけれど、魅力的だった岡本綾のみち子を先に見てしまうと、こちらはやや出しゃばりすぎに思えました。
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テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

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