雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

demolition.jpg

有休を使って昨日新宿シネマカリテに観に行ってきました。そういえば、去年も有休を取って同時期に同じ劇場で「ロブスター」を観たな…。

「ロブスター」も相当変な映画でしたが、この作品もなかなかおかしな設定です。
主人公のデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は妻を交通事故で亡くしたにもかかわらず全く悲しみが訪れず、悲嘆に暮れる代わりに奇妙な行動に出るようになります。

その行動の一つが、原題でもある破壊(Demolition)行為。
物騒な話ですけど、別に見境なく壊して回るわけではなく、故障しかけた身近なものを一旦壊し、改めて組み立てようとしているんですよね(劇中では組み立てる姿はほとんど見られませんが…)。

もう一つは、自動販売機の管理会社との文通。
妻を亡くした病院でデイヴィスはチョコレートを買おうとするものの、その自動販売機の調子が悪くて商品が出てこない…。ふとした思い付きで彼は管理会社に報告の手紙を書き、そのついでになぜか自らの身の上も語り出します。そしてその突拍子もないクレームに反応する苦情係のシングルマザー、カレン(ナオミ・ワッツ)。現実にはまずあり得ないこの二人のやり取りが想像力を掻き立ててくれ、物語を引っ張ってくれます。

その物語の中心にいるジェイク・ギレンホールは「ナイトクローラー」とは別のベクトルでハマり役。カレンやその息子、そして義父、相手によって様々な顔を見せながらも不自然さが皆無ですし、中盤突然弾けたように狂い出す彼が不思議と魅力的に見えました。
ただ、防弾チョッキを着た自分に向けて、子どもに銃を撃たせるシーンだけは不快感しか残りませんでしたが…。

破壊行為に関しては、いわゆる断捨離のようなもので、「ファイトクラブ」を彷彿とさせるところがありますね。しかし、破壊の後に見出だすのが自己ではなく、他者との関係というのが大きな違い。じんわり心が温まる結末に向かいます。ただ、彼が最後に何を見つけたのかという肝心な部分が不明瞭。邦題に繋がる車の中の書き置きも、タイトルになるほどのインパクトがなくて不満が残りました。
全体的にいい雰囲気を漂わせながら、あと一歩説明不足だった惜しい作品といったところ。

★★★★★★★☆☆☆

◆ジャン=マルク・ヴァレ監督作品の評価
「ダラス・バイヤーズクラブ」 ★★★★★★★☆☆☆
スポンサーサイト

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

孤独のススメ 他

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ ★★★★★☆☆☆☆☆
自分の期待値や背間の評判が低かったせいか、思っていたほど酷くはなかった印象。容姿端麗で知的だけれど地味でパッとしない主人公が、自信に溢れて傲慢なドSイケメンに見初められ、イケナイ関係に陥ってしまうという、女性の願望を具現化した映画。
女性向けの官能小説が原作ということで、ベッドシーンは美しく描く方に重点が置かれていて、刺激は少なめ。目隠しされて縛られて鞭で打たれて…と直球のSMが浅めに繰り広げられます。超絶イケメンなら変態でもOKという思考がいかにも女性的な気がするものの、確かにキレイに描かれている分不快感はほとんどありません。半面、全く興奮もしませんが。
ストーリー的にも淡々としていて可もなく不可もなくでしたけど、終わり方が唐突すぎて、彼女がどうしてあんな決断をしたのか全く理解できなかったところは消化不良でしたね。どうやらこのラストが続編に繋がるようですが、続きを観ようと思わせてくれるほどのクオリティではないな。

孤独のススメ ★★★★★★★★☆☆
おそらく初めての観賞となるオランダ映画。
事前情報からはおじさん同士の友情物語と捉えていたんですが、海外のLGBT関連の賞を受賞したという話を聞いて「これって同性愛映画として捉えられるのか!?」とビックリしました。
主人公のフレッドは、ホームレスの男テオを自分の家に住まわせる、聖書でいう善きサマリア人のような人間ですが、実はそれが善意ではなく自身の孤独を誤魔化すためのものだということが伝わってきます。しかし、会話すらロクにできないテオとの触れ合いが彼の意識を変えていくことに…。
ジュリエット・ビノシュの「ショコラ」もそうでしたが、余所からやってきた変わり者に対する風当たりは強く普通に不愉快な気分になりましたし、ヨーロッパ的なユーモアがピンと来ないところもあって前半は乗り切れなかったんですが、フレッドが抱える孤独感の背景が見えるにつれ面白さも上昇。「This Is My Life」を息子が歌うのをフレッドが聴いている場面では胸が熱くなりました。現在、もしくは将来の人間関係に不安を抱えている中年には確実に刺さってくるはずです。

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

シェフ 三ツ星フードトラック始めました 他

イット・フォローズ ★★★★★★★☆☆☆
ある男と性的な関係を持ってしまったがために、異形の者が見えるようになってしまった19歳の女の子が主人公のホラー。タランティーノが絶賛!などという謳い文句が前面に出ていて、さぞかし斬新な映画なんだろうと期待していたんですが、実際はさほど驚きもありませんでした。アメリカン・ホラーにありがちなゾンビやサイコな内容ではなくて、霊的な存在を匂わせるところが特徴なのかもしれませんけど、日本人からすれば珍しくもありません。
それ(It)とは何なのか、結末まで観ても謎が残りすぎるのも不満。様々な解釈ができる点が魅力なのかもしれませんけど、どんな解釈をしても腑に落ちないんですよね。Itとはエイズをはじめとする性病のことで、この映画はそれに対する警告だという見方が一般的でしたけど、監督自身がそれを否定したそうですし…。
自分は得体の知れない存在よりも、正気を失った人間の方に恐怖を覚えるタイプなので、期待したほどの怖さはなかったな。それでも、前半の得体の知れないものにじわじわ迫られる感覚はドキドキワクワクしましたし、セックス込みで青春物語としても異色の内容だったと思います。
簡単に言ってしまえば、及第点は超えているものの絶賛するほどではないといったところ。音楽は好みでした。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました ★★★★★★★★☆☆
とにかくキャストが超豪華。監督兼主演のジョン・ファヴローはもちろんのこと、ダスティン・ホフマン、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・ダウニー・Jrまでがちょい役に等しい程度に出演している贅沢な映画です。でも重厚なわけではなく、疲れていてもサクッと観られるのが魅力。
そうさせているのは、中盤以降の舞台となるのがマイアミだからでしょうね。キューバからの移民が多いここのポジティブな空気が、燻っていた主人公が再起を賭けるにはもってこいの地だったと思います。キューバの料理と音楽は何とも魅力的。特に、フードトラックで作られる料理が一流レストランで作られるものよりも美味しく映るのが素晴らしい点でした。観賞後は間違いなく分厚い肉にかぶりつきたくなるはず。
展開自体はありがちなものでしたけど、離婚した妻や微妙に関係が上手くいっていない息子との家族関係、ジョン・レグイザモ演じる相棒とのコンビネーションなど、登場人物がみんな丁寧に描かれているため飽きが来ません。SNSの炎上といった今風の題材も違和感なく取り入れられていました。

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

アリスのままで 他

ストレイト・アウタ・コンプトン ★★★★★★★★☆☆
90年代に爆発的な人気を誇っていたヒップホップグループ、N.W.Aの伝記映画。僕がブラック・ミュージックを本格的に聴き始めたのは1998年頃。その頃にはメンバーは既にソロでのキャリアが始まっていて僕は浅くしか彼らのことを知りませんでした。ギャングスタラップはあまり得意でないので、一昨年購入した同名のアルバムも、Dr. Dreの復活作もピンと来ず。だから、全米の音楽映画の記録を塗り替えたという謳い文句がなければスルーしていたかもしれません。
しかしこれ、音楽映画としても青春映画としても秀逸な掘り出し物でした。まずよかったのはキャストが本人たちにそっくりなこと。グループのファンなら感情移入必至です。レーベルとの衝突、仲間割れ、人種差別といったところも解りやすく描かれていて、なぜこんなに攻撃的な音楽が生まれたのかがはっきり伝わってきました。さすがにヒップホップに興味がない人にまではオススメはしませんが、彼らのファンでなくてもギャングスタラップ入門教材として価値のある一作です。



アリスのままで ★★★★★★★★☆☆
若年性アルツハイマーを扱った映画。
別に好きな女優ではないんですが、これはジュリアン・ムーアなしでは語れないでしょう。この作品は特に彼女の表情がフォーカスされていて、漠然とした不安から徐々に追い込まれていく様子が描かれています。
自宅のトイレの場所も分からなくなってお漏らししてしまうシーンはショッキングでしたね。アルツハイマーになるとあのジュリアン・ムーアまでもがこんなことになってしまうのか!(現実と虚構が曖昧になっている発言…)という事実が強烈に迫ってきて、物語へ強く入り込めました。だからこそ、病気に苦しんでいるのではなく、闘っているという主人公のメッセージが印象に残ります。
ありがちな記憶障害のラブストーリーではなく、発症してからのリアルな問題を描き、それでいてちゃんとフィクションらしさを残している舵取りの巧さが光りますが、観る人によっては中途半端に映るかもしれません。主人公がジュリアン・ムーアでなければきっとここまでの良作にはならなかったでしょう。


テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

ザ・ウォーク 他

マジカル・ガール ★★★★★★☆☆☆☆
余命僅かながら魔法少女になることを夢見る12歳のアリシアと、その父ルイスの奇妙な運命を描いた作品。
スペイン映画がどれもそうとは言いませんけど、やっぱりこのテイストはアメリカやイギリスでは出せないよなぁ。日本人としてはオープニング後に流れる長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」で心奪われるわけですが、その後の展開も滅茶苦茶。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」が代表するようなボタンの掛け違い映画は大好物なので前半はワクワクが収まりませんでしたけど、ルイスがバルバラと出会ったあたりから風向きが変わってきちゃうんですよね。バルバラに関してはとにかく説明不足。最後まで観ても理解できない部分の方が多く、そんな彼女が途中からルイスやアリシアに代わってメインになってしまうために物語に入り込めないまま終わってしまいました。
あと、ラストがブラック・ユーモアで片付けられないほどツラくてねぇ。いくら娘のためとはいえルイスに関しては自業自得なのでいいとして、アリシアに関してはもっと幸せな結末を用意してあげてほしかった…。父親からドレスをプレゼントされた時に暗にステッキまでおねだりしちゃうあざとさもあるけども、病に伏せる無垢な少女に対してこの仕打ちはありませんよ。

ザ・ウォーク ★★★★★★★☆☆☆
あらすじだけ聞いた時は3D映像で見られる綱渡りがメインのアトラクション・ムービーかと思っていたんですが、いい意味で裏切られました。予想以上に重厚な人間ドラマ。
最初に断っておくと、フィリップは決して英雄ではありません。やっていることは犯罪だし、これが実話として観ると手放しで面白いと褒める気分にはなれないんですが、ワールドトレードセンターに忍び込んで仕掛けを張る様子はまるでスパイ映画のようでスリルがありました。やっていることはともかく気持ちは純粋だし、才能もちゃんとある。なので、観賞中は不快感に包まれることが一切ありませんでした。
ただ、小さいテレビで観たせいか、映像面では思っていたほどの迫力は感じられませんでした。これはやはり劇場で、3Dで観るべきでしたね。
などといろいろ書きましたが、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットファンとしては、フランス語を話す彼だけでも観る価値があったというもの。ジョゼフの新たな一面を発見できた作品です。

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
    詳しくはプロフィールページからどうぞ!
最近の記事
カレンダー(月別件数付き)
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


いぬふくの最近観たDVD
いぬふくの今読んでる本
いぬふくの今やってるゲーム