ブルックリン 他

グッバイ、サマー ★★★★★★☆☆☆☆
ミシェル・ゴンドリー監督の自伝的青春映画。
女の子のような顔立ちで背が小さく、"ミクロ"と呼ばれるダニエルが、変わり者の転校生テオと親しくなり、手作りの車で旅に出ることになります。
所詮は子どもの冒険なので大規模なものではないし、ほとんど成功しないんですけど、二人が真面目に計画を立てている様子は微笑ましくもあります。多くの大人が自分の青春期と重ねて甘酸っぱい気分を味わったり、ほろ苦い気分になったりできるんじゃないでしょうか。
僕もダニエル側の人間で、ひょんなことからタイプの違う友人と出会って新しい世界を垣間見た経験があります。大人の目線からだと顔をしかめたくなるような関係性だったし、理由があったのか思い出せないほど自然に付き合いもなくなってしまったんですが、今でも時折思い出すことがあるくらい印象的な友人でした。観賞中はずっとそんな思い出に浸ってしまいましたね…。
ただ、微笑ましさはあれどハラハラ感はないので、中盤以降はダレてしまったりも。これならもっとコメディ色が強くてもよかったな。

◆ミシェル・ゴンドリー監督作品の評価
「ムード・インディゴ うたかたの日々」 ★★★★★★★☆☆☆

ブルックリン ★★★★★★★★☆☆
アカデミー賞の作品賞にまでノミネートされながら、あまり興味が沸かなかった作品。しかし、いざ観賞してみればノミネートも納得の良作でした。この年の作品賞ノミネート8作品のうち6作を観たことになりますが、個人的には「マッドマックス 怒りのデスロード」に次いで好きです。
主人公は母や姉と暮らしていたアイルランドを離れ、ニューヨークのブルックリンに移住することに…。最初はホームシックで泣き暮れていたものの、仕事に慣れ、目標や恋人もできて、次第に新しい生活を楽しめるようになります。手紙のやり取りから感じられる姉妹の絆や、善人にも悪人にも見えるリアルな登場人物たちが作品に最高の質感を与えてくれています。主人公が田舎育ちの素朴な女性というだけでなく、彼女のしたたかさやいやらしさまでも描かれているので、共感も反感も抱けるのもいいですね。10代の頃から演技に定評があったシアーシャ・ローナンの魅力が最大限に発揮されています。
それにしても、淡々とした地味な映画なのになぜこれほど深みがあるんだろうと思っていたら、「アバウト・ア・ボーイ」などの原作者、ニック・ホーンビィが脚本を務めているんですね。ニックは「17歳の肖像」の脚本も手掛けていたし、僕好みの作家だなぁとつくづく思わされました。

◆ジョン・クローリー監督作品の評価
「BOY A」 ★★★★★★★★☆☆

スポンサーサイト

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

ベイビー・ドライバー

babydriver.jpg

今年7本目の劇場観賞。年内は他にどうしても観たいと思えるほどの作品がないので、早くも見納めかもしれませんが、年間に7回も劇場に足を運ぶのは2012年以来のことですし、良作多めで満足しています。

というわけで、「ダンケルク」に続く2週連続の映画館は「ベイビー・ドライバー」。最初はノーマークでしたけど、ネット上での評判があまりによかったので観てきました。

何といってもゴキゲンな音楽に乗せて繰り広げられるカー・アクションが魅力的。冒頭の銀行強盗のシーンからテンションは最高潮に達していますし、その直後、主人公がカフェにコーヒーを買いに行くシーンだけでもこんなに見栄えのするものに仕上がるなんて!
幼い時に遭った交通事故の後遺症で耳鳴りが止まず、音楽を聴いている時だけそれが収まるという設定も素晴らしいですね。これによって、ミュージカルが批判される際に時折言われる、日常の中に突然歌が入り込む不自然さも解消されています。
「Tequila」に合わせて繰り広げられる陽気な銃撃戦は問答無用にテンションが上がりますし、バリー・ホワイトの「Never, Never Gonna Give Ya Up」のムーディーな曲とは全く異なる緊張感溢れるシーンなど選曲も絶妙で、よく引き合いに出されている「ラ・ラ・ランド」よりは、「パルプ・フィクション」をはじめとするタランティーノ作品との共通項をたくさん見つけました。

キャストもケヴィン・スペイシーとジェイミー・フォックスくらいしか知らなかったんですけど、主演のアンセル・エルゴートは犯罪組織に属する善人というキャラクターがしっくりきてよかったです。女優陣はヒロインのリリー・ジェームズよりも、セクシー且つクールなエイザ・ゴンザレスのインパクトの方が上回っていました。

正直、ストーリー性は少し弱く、アクションが少ない中盤はダレるというこの手の作品にありがちな問題点も抱えてはいるんですけど、終盤の盛り上がりに助けられて後味はかなり良し。コアな映画ファンに支持される監督というイメージだったエドガー・ライトも、今作で一般層にも浸透したんじゃないでしょうかね。次回作にも注目していきたいと思います。

★★★★★★★★☆☆

◆エドガー・ライト監督作品の評価
「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」 ★★★★★★★☆☆☆

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

ダンケルク

dunkirk.jpg

クリストファー・ノーラン監督はほとんど観ている僕も、苦手な戦争映画なのでDVD待ちにしようかという考えもよぎったんですけど、大画面、しかもIMAXで観た方がいいという意見を目にして劇場へ足を運ぶことを決意。さすがにIMAXとまではいかなかったものの、できるだけ大きなスクリーンで…ということでTOHOシネマズの大型スクリーン、TCXで観てきました。

確かにこれは大画面と大音量で体験しないと魅力が伝わりづらい作品かもしれません。「インターステラー」のような解りやすい壮大なドラマ性や、「インセプション」のような映像やストーリーの仕掛けを求めると肩透かしを食らうでしょう。人間ドラマや戦争の残酷さを強く描いているわけでもないので、序盤はその淡々とした展開に確かに戸惑いました。しかし、空・陸・海、それぞれの戦場の様子を客観的に描くことに終始していているからこそ味わえる緊迫感というのは確かにあって、慣れていくと「よくわからんけど、なんかすごい!」という感覚に支配されるようになります。
その点だけでも新しい戦争映画であることは間違いありません。

じゃあ、画面の迫力だけで魅せる映像作品かというと、全く違います。
トム・ハーディにキリアン・マーフィー、ケネス・ブラナーといったメジャーどころも出ているものの、彼らの出番やセリフは決して多くなく、全体的には無名の若手俳優が多数起用されている印象。クリストファー・ノーラン作品と考えると驚きのキャスティングですけど、それがかえって作品のリアリティを高める一因になっているように思えましたね。ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズにしても客寄せ的な意味合いは一切なく、見事に溶け込んでいました。
個人的には、イギリス空軍のパイロット役で出演していたジャック・ロウデンがかなりよかったです。この人、戦闘機に乗っている時と、濡れた髪で船に乗っている時の印象が全く違うから、不思議と気になってしまうんだなぁ。別の作品でも演技を見てみたいものです。
それと、陸軍兵士役のアナイリン・バーナードも好きな系統の顔じゃないはずなのに好感を持てました。

自宅の小さなテレビ画面でも楽しめるかどうかは微妙ですけども、新しい映像表現と若手俳優の発掘を楽しめただけでも価値のある作品でした。

★★★★★★★★☆☆

◆クリストファー・ノーラン監督作品の評価
「インターステラー」 ★★★★★★★★★☆

テーマ : 戦争映画
ジャンル : 映画

スパイダーマン:ホームカミング

spiderman.jpg

トム・ホランドを主演に迎えて、再びのリブート・スパイダーマン。
トビー・マグワイアもアンドリュー・ガーフィールドも、僕はスパイダーマンになる前から好きだったので、特に「アメイジング・スパイダーマン」が2作で打ち切りのような状態になってしまったのはとても残念だったんですが、本作はそんなファンをも納得させるような大胆な路線変更。
ピーターがスパイダーマンになる過程や、叔父を失い自らが背負う責任と葛藤するエピソードは完全に省略され、代わりに、アイアンマンことトニー・スタークとの絡みを主軸に置き、アベンジャーズとのクロスオーヴァ―作品として蘇らせています。

まずは、トム・ホランドが予想外によかったです。
「アメイジング・スパイダーマン2」でもだいぶ軽妙な語り口が印象的だったんですけど、今回はさらにそのキャラクターが強まっていますね。冒頭でアベンジャーズが戦っている様子を自撮りしてはしゃぐ姿はいかにも高校生ヒーローといった感じで、呆れつつも微笑ましく見られます。
敵キャラではマイケル・キートンが「バットマン」、「バードマン」に続いて再び鳥男として登場するのが興味深く、洋楽ファンとしては、ゼンデイヤやドナルド・グローバーが重要な役で出演しているのが嬉しいポイント。配役は脇役に至るまで文句なしです。

半面、ストーリー性は薄いように思えました。
理由はやはりエピソードを端折ったことにより主人公の葛藤や成長が感じられないこと。そして、トニー・スタークとの絡みが増えたことでスパイダーマンが他人のフィールドで戦っているように見えてしまうことです。その点では、スパイダーマンファン向けというよりも、マーベルファン向けの内容かもしれません。これから観賞予定の方は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」だけは観ておいた方がいいでしょうね。

アクション面もクオリティは確かでもさすがにこれだけシリーズ化されていると新鮮味はありませんし、単体で見ると特別秀でている作品ではありませんけど、「アメイジング~」も1作目は同じような物足りなさを抱えていたところ2作目で面白くなりましたし、「ホームカミング2」も長期的な視野で大切に育ててもらいたいところです。

★★★★★★★★☆☆

◆スパイダーマンシリーズの評価
「アメイジング・スパイダーマン2」 ★★★★★★★★★☆

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

ルーム ROOM 他

ルーム ROOM ★★★★★★★★☆☆
オールド・ニックに7年間監禁されている母子。5歳の息子は納屋で生まれ、外の世界を知りません。ついに我慢の限界に達した母親のジョイは脱出計画を実行し、見事それを成功させるんですが…。
監禁生活から逃れることができて「めでたしめでたし」ではないのが本作の特徴。後半の、好奇の目に晒される母親の苦悩や、未知の世界に戸惑う息子の感情描写が素晴らしく、それをセリフではなく人物の微妙な視線の行方や景色などで表しているのに感心してしまいました。特に、息子のジャックがトラックの荷台から見上げた広い空は、まるで自分まで初めて見る光景に思えて気分が高まりました。
ブリー・ラーソンはもちろん、子役のジェイコブ・トレンブレイの演技も満点でしたし、世界が広がることが幸せに直結するわけではない、でも成長するには世界を広げなくてはいけない時もあるというメッセージには深く考えさせられたりも…。
しかし、よく出来た映画=面白い映画とはいかないわけで、クオリティの高さの割に後に残るものが少ないのが残念でした。個人的には同じレニー・アブラハムソン監督の「FRANK」の方が粗削りだけど好み。

◆レニー・アブラハムソン監督作品の評価
「FRANK」 ★★★★★★★★☆☆



お嬢さん ★★★★★★★★☆☆
韓国人監督としては一番好きなパク・チャヌクの最新作ということで劇場公開時から楽しみにしていた作品なんですが、いやぁ、相変わらずの変態性で安心しました。この人はエログロと言っても割とグロ寄りのイメージが強かったんですけど、前作の「イノセント・ガーデン」が官能的な雰囲気を持った作品で、今作はそれに輪をかけてエロティックになっています。
ただ、単にエロを目的としたものではなく、お嬢さんと詐欺師の男、侍女の騙し合いといったサスペンス要素、さらに官能小説を日本語で読ませる奇妙さなど、緩急をつけた構成が本当に見事。これ、3部構成なんですけど、全貌が見えてくる2部から俄然面白くなってきます。ビジュアル面でも見所が盛り沢山。僕はレズビアンのセックスシーンってどちらかと言うと苦手だったんですが、お嬢さんと侍女のそれは本当にキレイでした。貝合わせ中の二人の絶頂の表情も演技とは思えないほどリアルでしたしね。
逆に、最も残念だったのは、登場人物たち(特に男優陣)の日本語が聞き取りづらかったこと。この作品は韓国人の俳優が至るところで日本語を話していて、それが魅力となっているんですけど、片言なので難しいんですよ。何度もDVDで巻き戻してしまったせいで没入感を削がれてしまった部分もありました。せっかく日本人だからこそ楽しめる名言(迷言)もあるだけに、韓国語セリフにしか字幕がないのは残念だなぁ。

◆パク・チャヌク監督作品の評価
「JSA」 ★★★★★★★★★☆
「イノセント・ガーデン」 ★★★★★★★★☆☆

テーマ : 映画★★★★★レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
    詳しくはプロフィールページからどうぞ!
最近の記事
カレンダー(月別件数付き)
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


いぬふくの最近観たDVD
いぬふくの今読んでる本