クラウドナイン

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池袋の東京芸術劇場シアターイーストで観劇。新しい劇場で観たいと思っていたこともチケット購入のきっかけになったんですが、行ってみれば既視感バリバリ。それもそのはず、4年前にやましげの朗読劇を観た場所でした…。

そんなわけで劇場という面では少し残念だったものの、作品はそれとは全く違う、見たことのない作風で新鮮でした。
イギリスの植民地だった時代のアフリカを舞台に、その土地を管理するためにやってきたイギリス人一家の物語を描いています。作品は2部構成で、1部と2部の間では100年もの時間が経過していますが、登場人物は25歳しか年を取っていません。設定だけ聞くと複雑そうでしたが、実際はそんな背景はあまり関係なく、不倫、同性愛、少年愛、乱交といった倒錯した性が中心に描かれています。しかもキャストは年齢も性別もミックスさせていて、三浦貴大や正名僕蔵は女装姿まで披露するカオスな世界。

しかし、すごいのが誰一人として浮いている役者がいないこと。
高嶋政宏は1部のクライヴは本人のイメージと変わらない役でしたけど、中性的な同性愛者である2部のエドワード役が出色。1部で少年エドワードを演じた平岩紙はリアクションがいちいちかわいくて会場の爆笑を誘っていましたし、顔は知っているけど名前は知らなかった正名僕蔵と宍戸美和公も個性が炸裂してすごくよかったです。
個人的には入江雅人が予想外にハマりました。1部、2部ともにタイプの違うクズではあるんですが、救いようのない男ではなくて、欲望に抗うことができなかったり、妻の気持ちを全く理解できずに怒らせたり、共感できる部分も多い人間臭い役でしたね。
1部では地味だったものの、2部で眼鏡をかけると色気が出て魅力倍増の石橋けいも印象的で、帰宅後に彼女がゲスト出演した「深夜食堂」をNetflixで観返してしまったほど。

僕は今回(観た人にだけ解る)池の中の席だったんですが、そこだと役者が自分の方に身を乗り出してくるサービスシーンもあったりしますし、コメディタッチで下ネタ満載ながらも最後の最後は伊勢志摩さんの独白でホロリとさせてくれるなど見せ場が多くて、3時間という長尺も全く退屈せずに楽しめました。
これ、もしかしたら今まで観た舞台でもベスト級だったかもしれません。
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テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

世界

世界

最近気になっていた和田正人と鈴木砂羽を目当てに渋谷のシアターコクーンで初観劇。初日からインフルエンザによる4公演中止で不安いっぱいでしたが、何とか上演に漕ぎ着けることができて一安心。
ずっと小劇場&最前列付近が続いていましたけど、今回は1階席ながらやや後方。そのため初のオペラグラス持参でしたが、後方でも舞台との距離を感じることもなく、非常に観やすかったです。

「世界」というとスケールの大きな作品を想像しがちですけど、本作は市井の人々を描いたミニマムな舞台でした。工場を経営する家族とその従業員、行きつけのスナックの人々や一見関係ないように思える人々も登場し、それぞれがどこかで交わっています。
町工場もスナックも馴染みはありませんが、登場するのはみんなすぐ身近にいそうな人間ばかり。熟年離婚の危機に晒されているのに意地になって家族を振り回したり、スナックの客のふりをしながらママとW不倫していたり、デリヘル嬢に恋をしてしまったり、ダメ人間の集まりだなぁと笑いながら、でも気が付いたら自分を重ねながら反省モードに突入してしまうんですよね。このあたりの感情移入度の高さが本作の面白さなんだな。

ただ、物語の方は回収されない部分が多いのが気になりました。不倫カップルの行く末とか広瀬アリスが見せた涙の理由とか、観客の想像力で補うには描写が足りないんですよ。観賞後に友人とその後のストーリーを語り合うにはよさそうですが、独りで観劇した自分は答えが出ずモヤモヤしたまま帰宅することに…。

メインキャストと言える風間杜夫と大倉孝二はさすがの安定感で存在感も抜群でしたね。この二人はカラオケシーンもたくさんあるので、ファンならそれだけでも観る価値があるかと思います。
鈴木砂羽はイメージそのままのスナックのママ役で、色気満載なのは満足しましたけど、意外性がなかったのは残念。和田正人の役は出番が最も少なく物足りなかったです。でも、役的には最も感情移入しやすいですね。お人好しすぎる点にイライラしつつも、あの間の悪さ、運の悪さは他人事とは思えませんでした。土佐弁が聞けたのも得した気分に!

全体的にはやはりメインの二人を含め、梅沢昌代や福田転球といったベテランの演技に魅せられましたね。特に、気になっていながら手が伸びなかった舞台に何作も出演していた福田転球さん、かなり好きな演技でファンになりました。今後の出演作もぜひ観てみたいです。

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

僕∉∉君(僕は君にぞくぞくする)

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昨年、「いいひとバスターズ」で旗揚げした劇団マカリスターの公演。
今回は客演なし。昨年の公演を観ているとはいえ、「本能のイノベーション」から3度目となる井上テテ、宮澤翔以外にはさほど思い入れもないのですが、初日に全員に配付されるという「いいひとバスターズ」のDVDに釣られて行ってきました。

あらすじ

人間の集合Zができると、Zの中に一人邪魔者Xが生まれてしまうという法則があります。
Zの中にXが生まれた場合、そのXを排除するとします。
その結果できたのが集合Yだとすると、今度はYの中にXが出るという、
集合があれば常にXが生まれるという、要は集合には常にXが現れるという法則です。
そのため、人間の集合を円滑にするために、
そのXの身代わりを生み出す研究がすすめられてきました。
そして満を持して、その身代わりが生まれたのです。


解りづらいあらすじですが、要するにどのグループにも一人は邪魔者扱いされてしまう人間がいて、そんな人間を生み出さないためにどうするかということ。
ただ、ストーリーはあってないようなもので、今回の目玉は一人一人が複数のキャラクターを演じ分けているところでしょう。役者が舞台袖にはけて切り替えるのではなく、舞台上に隠してあったり、無造作に置いてあったりする小道具を使って別人になり切る様子はものまね芸人のようで、まさに演劇ならではの手法だなと感心させられました。喫茶店での奥様トークは爆笑しましたし、中でも蓮舫ネタには噴き出さずにいられないほど。

そしてこの気恥ずかしいタイトル。"属する"という意味の記号"∉"が使われているように、実は他人に属する、または他人に属されることを真っ向から描いているんですよね。他人が自分に属しているかのようにワガママに振る舞う人間に対しての皮肉がいっぱいでなかなか痛快。それでいて、終盤の「僕は君に属しているのさ!」というセリフが心を楽にしてくれます。さらに最後の最後には背中を冷たい汗が伝うような気分にもさせられるなど、相変わらずボリューム満点の内容でした。

ただし、不満点もいくつかあって…。
演出面では本作の最大の目玉と言えるレーザー光線。小劇場であの演出は珍しいようですけど、今回の座席はまたしても最前列ど真ん中だったため、客席の最後列まで発せられるレーザーがほとんど確認できずすごさが確認できませんでした。
あと、作品の出来関係なく気になったのが観客のリアクション。冒頭で登場人物が出てきた段階から爆笑が起きるんですよ。その笑いが盛り上がる前から起きてしまうので、事前情報なしで臨んだ身としては逆に冷めてしまうところがありました。こういう小規模の作品を観に来る人は劇団に馴染みのある人が多く、キャラクターが見えた時点で理解できる部分もあるんでしょうけど、極端に盛り上がりすぎるとこちらのアウェイ感が強まってしまうんですよね。個人的に「いいひとバスターズ」ほどハマれなかったのはそれが理由かもしれません。

テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

やましげ春のしげ祭り本公演 ~主演 山崎樹範~

主演 山崎樹範

赤坂RED/THEATERにて、初観劇となるやましげの一人芝居。演出はマンボウやしろ、脚本はやましげと親交のある著名人6名が手掛けています。
初めてのRED/THEATERはキレイで居心地のいい劇場でしたが、出入り口が一ヶ所しかない上に、前後の空間に余裕がないため、反対側への移動がかなり大変。劇中に体調を崩したら最後ですね。

作品の方は予想以上にバリエーション豊かで、冒頭の「小天狗」から惹き込まれました。
腐れ縁の元力士についてひたすら喋り倒すやましげ。途切れることのない一人喋りでも一切噛むことなく、笑いながらも感心しっぱなしでした。小天狗のポエムの場面で、松村武さん脚本だと気づきましたよ。膨大なセリフ量をこなせるのは長年カムカムに所属していた成果なんでしょう。個人的には6編の中で最も好きなエピソードでした。

「小天狗」後にMCが挟まる…と思いきや、実は劇団ひとり脚本の「マリオネット」だと判明。冒頭の下ネタで客席の空気が一瞬固まるも、実は劇団ひとりの悪ふざけに翻弄されているというオチで、徐々に雰囲気も緩んできました。結構ベタな内容なんだけど、そこに持っていくまでの巧さや、最終的に大沢あかねの名前まで引っ張り出してあの一発ギャグをやってしまう強引さも含め、劇団ひとりのネタ作りは好きだなぁ。

ただ、最初の2つが好きだっただけに、徐々にトーンダウンしてしまった部分もありました。やっぱり自分はヘタレなやましげが見たかったようで、シリアスな話ではところどころ睡魔に襲われたりも…。最初の2編以外では「抱き枕のつぶやき」の抱き枕役が異常にかわいく、女性ファンが悶絶するのがそこかしこで確認できました。終盤には抱き枕姿で客席を一周する場面もあり、ファンサービスはピカイチ。

シリアス系の中では「煙突の上」が抜きん出てよかったです。
これは陸前高田で被災した米沢さんの体験談で、米沢さんが憑依したやましげが煙突の上で淡々と語るだけなんですけど、これまで見たことがないほどの重いトーン、そして独特の東北訛りまで再現されていて、圧倒されます。震災から5年経ち、至るところで特集を見かけましたが、こんなアプローチもあるのかと目から鱗が落ちました。

2時間で6役、待機時間もないのにコロコロと表情を変えられるやましげを堪能し、やはりいい役者だと再確認。そしてどんな役を演ろうとどんなセリフを吐こうと、客席からも温かい空気が漂っていて、結局ここにいるみんな、やましげのことが大好きなんだなと感じた2時間。幸せでした。自分は通ってこなかったんですけど、ラジオ「SCHOOL OF LOCK!」やドラマ「天体観測」でファンになった人にはピンとくる選曲だったみたいですね。
4月のコメディも観に行きたいけど、金銭的な問題もあるし、繁忙期にも入ってしまうということで断念。秋くらいに再度小さなハコで舞台に立ってほしいです。

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

>(ダイナリィ)

ダイナリィ

カムカムミニキーナの劇団旗揚げ25周年記念作品。今回はやましげこと山崎樹範が2年ぶりに出演、しかもカムカム公演では初の座長ということで即SSSシートのチケットを入手。

このSSSシートというのが本作最大の特長でしょう。
通常であればステージに向かって正面に席があるはずなんですが、今回は何と両サイドにも席が用意されています(座席表参照)。これがSSSシート。ここからなら、普段見ることのできない舞台下で待機や準備をしている役者も確認できるというわけです。斜め後ろからになってしまうからか、各列の1~4番は使われていなかったので、実質54席だけの特別席ということになりますね。
横からの観劇ということで見づらさは心配だったものの、杞憂でしたね。重要なシーンは多方向に見せるように演出されていますし、役者が舞台の周辺をぐるぐる回る場面も多く、横からという感覚は予想以上に小さいものでした。
加えて、舞台下で着替えたり、小道具を用意する役者もじっくり堪能できます。やましげが目の前で飲み物を補給したり、他の役者と小声でことばを交わしているのを見た時はテンション上がったなぁ。舞台下でもいい顔じゃないかと思っていたら、キメ顔していたことがアフタートークで判明(笑)。
ただ、舞台上、その周囲で動き回る役者、舞台下の役者、とここまで視界に飛び込む情報量が多いとますます混乱するのも事実。これもまた、現実と虚構の境がなくなる感覚を味わえるという演出の一部なのか。物語を理解するために前方からも観たい、とリピート欲を促されたのも松村武氏の策にハメられたということなんでしょうか。

というわけで、いろいろなところに目移りしまくったせいか、物語は正直、2~3割しか理解できなかったような気がします。一つ一つの話はシンプルなはずなのに、劇中劇を挟んだ多重構造になっているために、自分の置かれている場所を把握するだけでも精一杯。しかし、理解しようなんて考えずに、ダンスやマスゲームを見るくらいの気持ちで臨めば、通路まで使っての息の合ったパフォーマンスに終始圧倒されます。ここまで完成されたパフォーマンスが最前列で見られるなんて最高の贅沢。

キャストも旗揚げ当初から在籍する劇団員から、夕輝壽太と莉奈の美男美女ゲストに至るまで見せ場があってよかったです。中でも、劇団の座長である松村さんが演劇を全否定するシーンが、ベタな笑いでありながら最高! 蓄音機役(笑)から食いしん坊実業家までこなす佐藤恭子さんも好きだわ~。この劇団は魅力的な人が多すぎて、目がやましげを追い切れません。
とにかく、ドラマや映画にはない生で観てこその魅力を存分に詰め込んだ傑作なので、時間とお金に余裕がある人には一般席とSSS席の両方で観てほしいものです。

今回は座長ということでやましげ関連のグッズも豊富でしたが、金欠のためパンフレットしか購入できず。しかし、やましげ責任編集のパンフは、キャスト紹介やカムカムの歴史だけでなく、やましげが実家でご両親と対談なんていう企画まで収録された充実の一冊でしたよ。

◆カムカムミニキーナ公演の感想
「クママーク」

テーマ : 演劇・劇団
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いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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