÷(ディバイド) / Ed Sheeran

英米ともに記録的なヒットをしているEd Sheeranの最新作。日本でもオリコン5位ですから、ようやく売れてきたかといった印象ですが、海外に比べるとまだまだ小規模すぎて物足りません。
僕自身、彼の音楽はもっと多くの人にシェアされるべきだと思っているのでセールスが気になってしまうわけですけど、正直、今作はどこまでプッシュするほどの内容ではないかな。

世界各国で1位を獲得した「(4)Shape Of You」は、前作からの「Thinking Out Loud」と並んで間違いなくEdの代表曲になる1曲。シンプルながらメロディアスでロマンチックだった「Thinking Out Loud」とは違い、こちらはヒップホップ色の強いトラックで、独特のループとヴォーカルの重なりが印象的で中毒性抜群です。ヒップホップといえば「(1)Eraser」では彼のラップも聴けます。

(4)と同時に公開された「(2)Castle On The Hill」はカントリーテイストの疾走感溢れるアップナンバー。ノスタルジーに包まれるトラックは彼が得意とするものですね。当然のことながら、女性ファンがうっとりできるラブソングも豊富。

一方で、前作で僕のフェイバリットだった「Bloodstream」のような刺激の強い曲はほとんど見られません。「(13)Barcelona」や「(14)Bibia Be Ye Ye」でのカリビアンな音は新鮮でしたけど、僕が求めていたものではなく、全体的には前作よりも落ち着いてしまったような感覚を持ちました。別にアコースティックなサウンドを否定しているわけではないんです。でも、この路線はデビュー作で既にやっているわけですし、もう少しテンポの違う曲が多いとよかったな。中にはMichael Bubleを聴いているような錯覚に陥ってしまう既聴感の強いものもありました。

まぁ、彼の真骨頂はライヴパフォーマンスにあると思っているので、今後ライヴでのアレンジが加えられたり、他アーティストとのコラボでリミックスバージョンが披露されることでアルバム全体の印象が大きく変わってくることは考えられます。

★★★★★★★☆☆☆

◆過去作の評価
「+(プラス)」 ★★★★★★★☆☆☆
「×(マルティプライ)」 ★★★★★★★★★☆

「Castle On The Hill」(US6位、UK2位)と「Shape Of You」(US1位、UK1位)のBrit Awardsパフォーマンス
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テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年2月)

What A Time To Be Alive / Drake & Future ★★★★★☆☆☆☆☆
世界のトップMCの一人であるDrakeとFutureによるミックステープ。
Drakeもアンビエントなトラックが印象的ですけど、本作ではそれ以上に不穏なビートが特徴的で、どちらかというとFuture寄りの音かなという気がします。ま、Drakeも直前のミックステープ「If You're Reading This It's Too Late」では割とコアなトラックが並んでいましたけれど。こんなにダークな楽曲のみで全米1位になるんだから相当な人気だなと感心しながらも、南部系のサウンドは僕の守備範囲外。
そういった音の好みを抜きにすれば、二大スターの競演というだけでも聴く価値はあると思います。今更感はあるものの、両者ともその後のソロ作でもしっかり全米1位を獲得していますし、旬が過ぎる前に聴いておきたい1枚。

「Jumpman」(US12位、UK58位)。PVがないので音源のみ…


4 Your Eyez Only / J. Cole ★★★★★★★☆☆☆
上の二人に勝るとも劣らない人気を誇るJ.Coleの最新作。本作は、大切な家族を残し若くしてこの世を去ってしまった親友について触れた曲が中心で、ストーリーテラーとしての本領が発揮されています。
最初に驚いたのは過去作品に比べて間口がグッと広がっているということ。音自体は相変わらず地味ながらメロディアスなトラックが多く、物語の広がりを感じさせてくれます。キャッチーさでは敵わないものの、アルバムの統一感はKendrick Lamarの「To Pimp A Butterfly」に匹敵するんじゃないでしょうか。個人的にはジャジーな「(4)Ville Mentality」と、女性ヴォーカルを迎えても浮ついていない「(6)Change」が好き。
音だけでもそれなりに楽しめるんだから、詞が詳しく読めればもっと楽しめるはず!とは思うんですが、残念ながら現時点では国内盤のリリース予定はないみたいですね。先述のKendrick Lamarのように対訳と解説で傑作に化けたアルバムもあるだけに、本作も多少遅れても国内盤を出してもらいたいところです。

◆過去作の評価
「Born Sinner」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Deja Vu」(US7位、UK30位)。こちらも音源のみ…

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年1月)

Blackstar(★) / David Bowie ★★★★★★★★☆☆
David Bowieの遺作となったアルバム。David Bowieに対しては食わず嫌いなところがあって、彼の死を知ってから初めてちゃんと聴いてみたんですが、冒頭の「(1)Blackstar」から一気に世界に惹き込まれます。先入観かもしれませんけど、まるで自らを追悼しているかのような重く深い楽曲です。それだけに中盤に差し込まれたパートに温もりが感じられるし、ビデオも一本の映画を観ているかのようで圧倒的。間違いなく2016年のベスト・トラックの一つに数えられるでしょう。
リリース前にKendrick Lamar「To Pimp A Butterfly」の影響を受けたと言われていましたが、個人的にはジャズ要素が強めということ以外に相似点は感じず。それに期待して聴くと肩透かしかもしれません。ただ、全編通して統一された世界観を前にしてはそんなことどうでもよくなりますし、実際ブラック・ミュージックがメインの僕が聴いても楽しめるんだから問題なし。
僕がイメージしていた彼とは全く音が違いますし、David Bowie作品としても異色作のようですが、食わず嫌いをしていてはいけないなと思わされる良作。これで彼の人生が終わったというのは何とももったいないというか、しかし完璧な幕引きというか…。

「Blackstar」(US78位、UK61位)


This Is Acting / Sia ★★★★★★★★☆☆
前作「1000 Forms Of Fear」で世界的にブレイクした遅咲きのシンガー。今回も前作の延長線上で、さすがにヒット性やインパクトでは敵いませんが、手堅くまとまって安心して聴けるアルバムになっています。まぁ、それが言えるのも「(6)Cheap Thrills」が全米ナンバーワンのヒットになったからなんでしょうね。1stシングル「(2)Alive」はPVに日本人の空手少女を起用し、ソウルフルなヴォーカルもよかったんですが、少し物足りませんでした。
今から買うなら後発のデラックスバージョンの方がオススメ。Kendrick Lamarとの「The Greatest」や最新シングル「Move Your Body」などが収録され、どれも必携とまではいかなくてもバラエティに富んだ曲が追加されています。あとはMaddie Zieglerちゃんがビデオで踊っている曲だけをまとめた作品集がリリースされてくれれば嬉しいんですけどね。

◆前作の評価「1000 Forms Of Fear」 ★★★★★★★★☆☆



「Cheap Thrills」(US1位、UK2位)

こちらはSean Paul参加バージョンのリリック・ビデオ

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Starboy / The Weeknd



1stシングルの「(1)Starboy」でDaft Punkと組んだことが話題となった今作のThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)。アルバムで実現したこのコラボは(1)と「(18)I Feel It Coming」の2曲だけですが、この2曲でアルバムをサンドイッチしているため、予想以上にDaft Punkの存在を強く感じることができました。
(1)は典型的な富と名声の詞ながら、未来へ突き進む彼の勢いが感じ取れる一曲。鼻につくくらい成功を自慢しながら後半は内省的な詞も目立つようになりますが、アルバム全般に漂う闇を切り裂くかのようにラストに配置された(18)で最後には晴れ晴れとした気持ちに、そして異常なほど胸を熱くさせられます。
曲単位で見れば(18)と、プロモーションシングル扱いの「(3)False Alarm」は大いに気に入りました。(3)はあの圧倒的な疾走感がクセになります。

Daft Punkを除けば、初期のThe Weeknd作品で貢献していたDoc McKinneyの復活が嬉しいところ。前作のキャッチーさが減退した代わりに主役の個性を強く打ち出すことに成功しているのは彼のおかげかな。
トータルで見ればCashmere Catの存在も大きいですね。本作では4曲に関与しています。最近の話題作では何度も名前を見るようになったプロデューサー、ただ、Kanye WestやTravis Scottのアルバムでもそうだったんですけど、個人的にはいまだに彼の楽曲にピンとくるものがなくて本作でもあまり馴染めていません。Benny BlancoやDiploといった強力な制作陣も主役の個性に負けています。

上に挙げたように制作陣は期待外れな部分もあったものの、その分、The Weeknd自身の魅力を再発見できる内容になっていたので、僕はさほど気にはなりませんでした。そしてゲスト陣は面白いチョイス。ヒップホップからのKendrick LamarとFutureは想定内としても、Lana Del Reyがここまでハマるとは…。

というわけで、前作の大ヒットを受けてリリースされたThe Weekndのニューアルバムは、リピートを促される充実作になっていました。単に充実作といっても近年のKendrick LamarやBeyonceのようなメッセージ性の強さに惹かれるタイプではなく、そのアーティストの音楽のルーツを探ることにワクワクできるタイプ。Kanye WestやDrakeが台頭してきた頃と同じような気分を味わえます。間違いなく彼は今後十年単位でR&B界を引っ張っていってくれるアーティストだと確信させてくれる一作。

★★★★★★★★☆☆

◆前作の評価
「Beauty Behind The Madness」 ★★★★★★★★☆☆

「M A N I A」。楽曲単位でなくアルバム全体の世界観を味わえるビデオです。

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Here / Alicia Keys



Swizz Beatzと結婚し、母親となってからAliciaの心境に変化があったのは間違いありませんが、最近はすっぴんでメディアに登場するなど、より人権や社会問題に真剣に取り組むようになってきました。今年はBeyonceやSolangeがこの路線で高い評価を受けていますけど、Aliciaもまた違う音楽性ながらメッセージ性の強い作品を作り上げてきましたね。
オーガニック・ソウルとまではいかずとも、アーシー(earthy)な香りが全編を覆っています。

最初に衝撃を受けたのは「(5)Kill Your Mama」ですね。アコースティックなサウンドに乗せた痛々しいほどの叫びは以前の彼女のイメージからは程遠いもので圧倒されました。
あとは、数年前に騒がれていた同性愛者疑惑に対する答えともいえる「(15)Where Do We Begin Now」や、混沌とした世界に向けたメッセージソング「(16)Holy War」など、一つ一つの詞に乗る重みが以前とは大きく違います。
重々しいトラックが印象的な「(3)Pawn It All」をはじめとしたヒップホップサウンドが並ぶ前半部は傑作2nd、3rdアルバムのようで、新鮮味はなくてもクオリティは確かですね。

ただ、今回のテーマに最初拒否反応を示してしまったのも事実で…。
通常、この路線になると自然体と言われがちですが、僕はどうしても無理に自然体を装っているように見えてしまったわけです。個人的にも20代の頃の才色兼備のAliciaが好きだったので、その分余計に受け容れるのに時間がかかってしまうのかもしれません。

というわけで最初、今作を星7つ評価としていました。が、このレビューを書くにあたり聴き返してみたら、予想以上に心に沁みてきて驚かされたんですよね。このアルバムの魅力は買い物中や通勤途中で5、6回聞き流すだけでは到底理解できないということなんでしょう。仕事が落ち着く年末年始に改めて聴き込んでみたい1枚になりました。

★★★★★★★★☆☆

◆前作の評価
「Girl On Fire」 ★★★★★★★☆☆☆

「(9)Blended Family (What You Do For Love)」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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