Music Review(2017年9月)

Harry Styles / Harry Styles ★★★★★★★☆☆☆
僕がHarry Stylesという名前を知ったのはTaylor Swiftと交際していた時期で、そのせいで1Dの中でも最もアイドル然とした人というイメージが強かったんです。しかし、先行シングルの「(2)Sign Of The Times」は、昨年David Bowieを初めて聴いてUKロックを再評価した自分には衝撃的な一曲でした。彼のヴォーカルがこんなにハスキーでこんなに力強さと哀愁を感じさせるものだとは全く知りませんでしたし。
アルバムも(2)が突出しているとはいえ、アコースティックな良曲あり、「(3)Carolina」や「(7)Kiwi」のように現行ダンスロックに挑んだ曲ありで、驚きのクオリティ。個人的には、音に重みのある「(9)Woman」も心地よく聴けました。
まぁ、あくまで1Dメンバーのソロ作として見た場合の意外性というだけで、今後もこの路線でソロ作を作り続けるのならもう少し強烈な個性がほしいところですけどね…。

「Sign Of The Times」(US4位、UK1位)


Flower Boy / Tyler, The Creator ★★★★★★★★☆☆
「Goblin」のダークな作風しか知らなかったので、安易に手が出せないアーティストといったイメージがついてしまっていましたが、こんな世界観も作り出せるとは…。ゲストはR&B勢が目立ち、温かみのある歌モノアルバムとなっています。同じOdd FutureのFrank Oceanの他、EstelleやPharrell Williamsといった個性的なヴォーカリストたちの助けもあって楽曲のバリエーションも豊富。これがまたどれも心地良いんですよ。
かと思えば「(5)Who Dat Boy」ではTylerらしい不穏なトラックとラップが炸裂するなど、飛び道具的な役割&従来のファン向けの曲も用意されているのにも驚き。ずっとこれまでキャラ勝負のアーティストだと思っていたんですけど、意外と計算高く制作できる人なのかもしれません。
昨年世間で絶賛されたFrank Oceanは、個性が強すぎて個人的にはのめり込めなかったんですよね。そういう意味では、このタイミングで良質な歌モノが出てきてくれたのは本当に嬉しいです。

◆Tyler The Creator作品の評価
「Goblin」 ★★★★★☆☆☆☆☆



「Who Dat Boy」
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テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年8月)

Grateful / DJ Khaled ★★★★★★☆☆☆☆
全米1位を獲得したDJ Khaledの最新作。Calvin HarrisやAviciiらと同様、コンピレーションアルバムのような作りで、Justin BieberにChance The Rapper、Quavo(Migos)、Lil Wayne参加の「(4)I'm The One」を筆頭に、とにかくゲストアーティストが豪華なのが特徴です。
(4)に惹かれなかった僕も、BeyonceとJay-Zの「(2)Shining」にまず惹き込まれ、続く「(3)Wild Thoughts」にノックアウトされました。(3)はRihannaとBryson Tillerが参加し、Santanaの「Maria Maria」をサンプリングということで、それだけでも話題性は抜群なんですが、ラテンフレイヴァ―満載のトラックとRihannaの妖艶なヴォーカルがベストマッチ。際どい詞でも下品に感じられないのはさすがです。
この手のアルバムにありがちな欠点として、全体的なまとまりに欠け、曲ごとにクオリティに差があるのは否めませんけど、好きな曲があるのでついついアルバムごと聴いてしまうパワーはありますね。

「Wild Thoughts」(US2位、UK1位)


Lust For Life / Lana Del Rey ★★★★★★★☆☆☆
デビュー作のタイトルが「Born To Die」だったのに、今回は「生への欲望」ですか。ドラマ性の強さは変わらずですが、今回は違う畑とのアーティストとのコラボが見られるのが最大の特徴でしょうか。
「(2)Lust For Life」ではThe Weekndを迎え、制作陣にはMax Martinが名を連ねています。一見、相性の悪そうな組み合わせですけど、Lanaの魅力が一切削がれることなく新規のファンを取り込めるキャッチーさを備えていてかなりの好印象。A$AP Rockyとのタッグもこれだけハマるとは思いもしませんでした。
装飾過多な点が苦手という人も確実にいるとは思います。しかし、Lana Del Reyというオルター・エゴを起用しての短編映画と捉えればこういう手法も納得できるんじゃないでしょうか。
ただ、アルバムのクオリティとは全く関係ないんですけど、個人的にこの人は多作すぎるように思えるんですよね。アルバム以外にもサントラなどに曲を提供したりもしていますし、何よりメジャーデビュー作がいまだに飽きずに聴けている以上、もう少し渇望感を持った状態で新作に臨んでみたいなぁ…というのは贅沢な要求なんでしょうが。

◆前作の評価
「Honeymoon」 ★★★★★★★☆☆☆



「Lust For Life」(US64位、UK38位)

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4:44 / Jay-Z



Beyonceの最新作「Lemonade」で言及された夫Jay-Zの不倫問題。もちろんフィクションの可能性も考えつつも、あまりにも具体的すぎる内容に「噂は本当だった!」と世界中で騒ぎになったものです。そこで気になったのは、Jay-Z自身はこのアルバムをどう受け止めているのかということ。この一年間、Jay-Z側からのリアクションがなかっただけに新作の発表はこれまで以上に注目を浴びましたが、本作は予想を上回るほど真摯な謝罪アルバムでした。

1曲目の「Kill Jay-Z」から生々しい告白。ネットで出回った、(浮気がバレて)彼がSolangeに殴打された事件にも触れ、「(度重なる浮気で離婚することになった)Eric Benetのようになるところだった」、「(Futureの息子が元妻Ciaraの新しい夫であるアメフト選手と遊んでいるのを受けて)将来、他の男が自分の息子とアメフトしているなんて…」とすっかりしおらしくなっていますね。
「(3)Smile」では母親がレズビアンだったことも告白するなど、話題性も持たせながら改めて家族の大切さを確認しています。

ただ、本作を聴いての僕の率直な感想は「Jay-Z、カッコ悪いな」でした。
結果的にこの方向性は世間を納得させるには最適な手段になったのかもしれませんが、かつてはヒップホップ界でキングと呼ばれた男が、家庭内で力を失う瞬間を見せられたような、淋しい感覚に陥ります。まぁ、彼は今やハスラーではなくビジネスマンですから、下手に世間を刺激するアルバムを作るわけにもいかないんでしょうけどね。
詞がこれでもトラックに刺激があれば楽しめたんでしょうけど、それもありません。Beyonceが家庭問題から社会問題までテーマを広げてジャンルレスな作品を作ってくれたのに比べると雲泥の差で、あくまで「Lemonade」あっての本作なんだということを痛感させられました。

フィジカル盤ボーナストラックの「(12)Blue's Freestyle/We Family」のように、素晴らしいとまではいかなくともじわじわ好きになるトラックなどもあるので、決して駄作とは思わないものの、ここ数年のKendrick LamarやDrakeの活躍を見ている側としては、消化不良なのは否めません。

★★★★★★☆☆☆☆

◆前作の評価
「Magna Carta... Holy Grail」 ★★★★★★☆☆☆☆

「4:44」(US35位)

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年7月)

Witness / Katy Perry ★★★★★★★★☆☆
前作はパワフルでありながらも2ndアルバム「Teenage Dream」の後追い感が否めず、聴き手としてはこの方向性に行き詰まりを感じていたんですが、今作はEDM色を強めて、それでありながらも少し内省的で社会的なテーマを持った作品になっています。
先行シングル「(9)Chain To The Rhythm」、「(11)Bon Appetit」、「(4)Swish Swish」はどれも気分が高まるトラックで個人的には好感触でしたけど、全体的には少しテンポを落とした曲が目立ちました。本音を言えば、先行シングルがよかっただけにもう少しアップが欲しかったところ。特に(9)が流れるまでの前半は平坦な印象さえ残ってしまうんですよね。まぁ、個人的にはシングルの3曲だけでもアルバムを聴く価値があると思えるくらいですけども。
楽曲のインパクトが軽減したためか、本作はKatyのメジャーデビュー以降初めて全米1位曲のないアルバムになってしまいそうですが、その分統一感は過去作を上回り、長く楽しめそうな気がします。

◆前作の評価
「Prism」 ★★★★★★☆☆☆☆



「Swish Swish」(US46位、UK40位)。SNLでのパフォーマンス動画です


Melodrama / Lorde ★★★★★★☆☆☆☆
デビュー作「Pure Heroine」は2014年のベストアルバムに選ぶほど気に入り、今作からの先行シングル「(1)Green Light」はその大胆な路線変更に戸惑いつつも次第にのめり込んでいったわけですが、アルバムに関してはまだ魅力を見出せていません。
サウンドもヴォーカルも相変わらず個性的だし、前作は今聴いてもいいと思えるから、この音に慣れや飽きが来たわけでもないはず。なのに、前作を聴いた時のような高揚感が得られないんですよね。何が不満なのか自分でも断言はできないんですが、単純にプロダクションとヴォーカルの相性なのかもしれません。
本作ではfun.のギタリストであるJack Antonoffがほぼすべてのトラックに関わっています。Taylor Swiftの最新作などで存在感を示した人ですけど、Lordeに合わせたアレンジが個人的な好みとは違うというのは確かかな。シンプルなトラックだからこそヴォーカルが映えるというのが一般的な見解だとは思うんですが、僕は(1)のような強烈なトラックをも突き破ってくるLordeに酔いしれたかった…。
それでも、20歳になったばかりの彼女が既にこれだけの引き出しを持っていることには驚きを隠せませんし、詞を含めればまだまだ新しい側面も見えそうなので、評価は暫定的なものということでもう少し聴き込むつもりです。

◆前作の評価
「Pure Heroine」 ★★★★★★★★★☆

「Green Light」(US19位、UK20位)。PVも好きですが、やはりSNLのパフォーマンスが衝撃的です

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年6月)

Strength Of A Woman / Mary J. Blige ★★★★★★★☆☆☆
Mary J. Bligeの2年半ぶりのオリジナル・アルバム。2014年に2作リリースをしましたけど、あちらはサントラとロンドン収録の異色盤だったので、かなり久々感があります。
シングルカットされた「(1)Love Yourself」と「(2)Thick Of It」は方向性こそ違うものの、90年代のヒップホップソウルを思い起こさせる曲。この2曲をはじめ、アルバム全体が原点回帰と言える内容になっていますね。ただ、同じ方向性なら全盛期の20代の頃に及ぶはずもなく、どこか物足りなさが残ります。
個人的にピンと来たのはジャジー・ソウルの「(3)Set Me Free」や、アップの「(12)Telling The Truth」あたり。若い頃から貫禄のあった人ではありますが、年齢を重ねることで温もりが増しました。傑作2ndアルバム「My Life」の頃の質感が漂う「(6)U + Me (Love Session)」もいいですね。
愛聴盤とまではいかないかもしれませんけど、DJ CamperとB.A.M.といった新しいプロデューサーと組みながらも時代に流されず自身の音楽を追求する彼女の姿勢は今後も支持していきたいところ。

◆前作の評価
「The London Sessions」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Thick Of It」(US R&B47位)


Back 2 Life / LeToya Luckett ★★★★★★☆☆☆☆
いきなり清涼感溢れる「(1)I'm Ready」で幕を開けるLeToyaの8年ぶりとなる新作は、前作同様彼女の歌にスポットを当てた王道R&B作品。古臭くはあるものの、今の時代にこのシンプルなトラックはかえって心地よく、R&Bの魅力を再確認できる一枚になっています。この流れでAshantiあたりにも久々に新作を届けてもらいたいものですね。
嫌悪感を抱く要素は一切なし。しかし、同時に他のアーティストとの差別化を図れていない点も相変わらずです。「(9)Worlds Apart」のようなベタベタなスロウを歌わせると歌唱力の弱さも見えてきてしまいますし、「(10)Weekend」あたりは捨て曲っぽく思えてしまったんですが、LeToyaのヴォーカルに工夫があればもう少し魅力が出てきたかなと思えてしまうんです。
彼女の声を活かすなら、いっそのこと軽めのミッドで固めて春~初夏仕様のアルバムというのもありかな。ちょっと聴いてみたい気もします。

◆前作の評価
「Lady Love」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Back 2 Life」

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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