Music Review (4月Part2)

All Of Me / Estelle ★★★★★★★★☆☆
度重なる延期はあったものの、こうやって新作を手にできたことに喜びを感じています。ハスキーで心に染み渡るヴォーカルは健在ですし、Chris BrownやTrey Songzを迎えた「(2)International (Serious)」でも決してヒット狙いの無難な音にしないあたり、やはり彼女の非凡さが窺えました。
アルバムで最初に惹かれたのは、メロディアスでどことなく哀愁漂う「(4)Love The Way We Used To」と、テクノっぽい音を敷きながらも質感の柔らかい「(5)Cold Rush」。この2曲からインタールートを挟んでの「(7)Break My Heart」は、最初にシングルとして聴いた時には驚きがなくて物足りなかったんですが、アルバムの流れで聴くと最高に心地よい1曲でした。「(10)Wonderful Life」、「(12)Back To Love」といったところも非常に好みです。
これと同時期にに他に何枚かアルバムを購入したこともあり、最初のうちは合い間に聴く程度だったんですけど、いつの間にかヘビロテになっていました。全15曲のうちインタールードが5曲なので42分というコンパクトな内容。しかしながら捨て曲はありませんし、もう少し聴きたいというタイミングで終わるので、ついついリピートしてしまいます。国内盤やiTunesでは本編に収録されなかったシングル「Freak (feat. Kardinal Offishall)」や「Fall In Love (feat. John Legend & Nas)」も収録されているので、そちらもオススメですよ。

◆前作の評価
「Shine」 ★★★★★★★★☆☆

All of MeAll of Me
(2012/02/28)
Estelle

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「Break My Heart」(US R&B30位)


Stronger / Kelly Clarkson ★★★★★★☆☆☆☆
2ndアルバム「Breakaway」はなかなかの良作でしたが、続く「My December」でヘビーな路線にシフトしてからはすっかり興味を失い、従来の路線に戻って評判のよかった前作も買い逃してしまいました。というわけで、かなり久々のケリクラです。
全米ナンバーワンになった「(2)Stronger」は一聴して惚れた割にはすぐに飽きてしまいましたが、1stシングルの「(1)Mr. Know It All」は対照的に地味ながら長く聴ける佳曲。本作はこういう、地味だけどじわじわ好きになれる楽曲が揃っていますね。
ただ、1曲1曲は充実していて2ndアルバム並には楽しめるものの、彼女の新たな一面を求めると物足りなさが残ります。17曲入りのデラックス・エディション(通常盤は13曲)でも60分程度と収録時間は決して長くないのに、似たような曲調が多かったり他のアーティストの影がチラついたりして後半ダレるのも不満点。
「(5)You Love Me」などはいいアクセントになっているんですけども…。

◆過去作の評価
「Breakaway」 ★★★★★★★☆☆☆

「Mr. Know It All」(US10位、UK4位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review (4月Part1)

Nothing / N*E*R*D ★★★★★★☆☆☆☆
最近はほとんどPharrellのみとなっていた曲作りにChadの介入度が増し、さらに一旦は完成したアルバムの収録曲を白紙に戻して、一から作り直したという話まであったくらい力が入っているのに、それでも薄味になっているのはなぜ?
聴く側がN*E*R*Dの世界に慣れてしまったこと、「She Wants To Move」や「Everyone Nose (All The Girls Standing In The Line For The Bathroom)」のようなシングル向けの曲がないことなど、要因はいろいろ考えられますが、もしかしたら単にクオリティが落ちただけなのか…。
と言いつつも、やはり彼らの音は好みです。ホーンの音が目立つなどファンク色がかなり強くなったのが印象的ですね。収録曲の中では特にファンキーで勢いのある「(5)Perfect Defect」がダントツで好き。「(1)Party People」やNelly Furtadoの声がいいアクセントになっている「(10)Hot N' Fun」あたりも耳に残ります。TPOによっても印象が変わってきそうなので、もう少し寝かせてみると評価が上がるかもしれません。

◆N*E*R*D作品の評価
「Fly Or Die」 ★★★★★★★☆☆☆
「Seeing Sounds」 ★★★★★★★★☆☆

「Hot N' Fun」(UK49位)


Here I Am / Kelly Rowland ★★★★★★☆☆☆☆
先行シングルがなかなかヒットせず、「(3)Motivation」がR&Bチャートを制したことでようやくリリースに漕ぎ着けた3rdアルバム。「Dilemma」の大ヒットで急遽発売されたデビュー作とは対照的ですね。
最初はクラブ系になるという噂がありましたけど、David Guettaの「(9)Commander」と「(16)Forever & A Day」が大きなヒットにならなかったせいか、結果的に個性的な楽曲を揃えて振り幅の広いアルバムになったんじゃないでしょうか。アルバムの流れというものがないのでとっ散らかった印象も受けるものの、様々な表情が楽しめるおもちゃ箱のような作品で悪くないです。
制作陣もTricky StewartにJim Jonsin、Rodney Jerkinsをはじめとする豪華メンバーが集結。個人的には「(1)I'm Dat Chick」のような攻撃的なアップも気に入っているんですけど、前作を聴いていても感じたように、この人の魅力は柔らかさだと思うんです。「(7)All Of The Night」のようなしっとりと聴ける楽曲もありますし、エレクトロでも(16)では伸びやかなヴォーカルが堪能できるので、次作はもっと控えめな女性らしさをアピールしたアルバムを聴いてみたいところです。
ちなみに、国内盤は16曲入りながらリミックスが4曲で魅力を感じなかったので、今回は後発のインターナショナル・バージョンを購入しました。こちらはリミックスは1曲に止めつつ全17曲収録。US盤には未収録のシングル「(14)Rose Colored Glasses」や(16)もしっかり入っているので、これから買うならこちらをオススメします。

◆前作の評価
「Ms. Kelly」 ★★★★★★★☆☆☆

「Forever & A Day」(UK49位)

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Pink Friday Roman Reloaded / Nicki Minaj

ロマン・リローデッド(初回生産限定特別価格盤)ロマン・リローデッド(初回生産限定特別価格盤)
(2012/04/11)
ニッキー・ミナージュ、ビーニ・マン 他

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あっという間に女性ラッパーの頂点に立ってしまったNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)。勢いそのままにリリースした2ndアルバムは多様な彼女のキャラクターがはっきり出た作品になっているんですが…。

アルバムは、奇天烈なラップを披露する彼女のオルター・エゴ、Roman Zolanski(ロマン・ゾランスキー)が大活躍する前半と、彼女の最大のヒットとなった「Super Bass」の流れを汲んだポップな後半に大きく分けることができます。Chris Brownをフィーチャーした「(8)Right By My Side」や、サビのBobby Vのヴォーカルが耳に残る「(9)Sex In The Lounge」のようにR&B色の強い曲もあるにはありますけど、インパクトは弱いか…。
中心となっているのは「(10)Starships」から4曲続くRedOneプロデュース曲か。(10)はサビの部分が一番つまらないのには閉口しますが、直後の間奏が異常に盛り上がるあたり、Black Eyed Peasの「The Time (Dirty Bit)」に近い作りですね。残り3曲も新鮮味に欠けるものの、Pitbullの最新作に通ずるようなクラブ仕様で純粋に楽しいです。

「(1)Roman Holiday」や「(2)Come On A Cone、」、(10)に「(12)Whip It」など惹きつけられるフレーズはあるけども、1曲通して好きと言えるものがいまだにないのが減点ポイント。ポップサイドのNickiが好きなら満足度も高いのかもしれませんが、前作のベストが「Roman's Revenge」だと思っている自分には今作はコミカルさが出すぎていて馴染めませんでした。彼女って元々は個性的で実力のある女性MCという感じで出てきたんだと思っていたんですけど、いつの間にかLady GaGaと同じような立ち位置になっていて、どうしても違和感を覚えるんですよね。器用な人なんだから、1曲の中で歌とラップを行ったり来たりして、複数のキャラが入れ代わり立ち代わり登場させるような曲とか聴いてみたいんですが…。

国内盤を買ったのに、輸入盤(デラックス盤)と比較してボーナストラックなし、歌詞・対訳が3曲のみということでお得感がないのも不満です。昨年のRihannaも同じような仕様でしたけど、これだったら1780円くらいでドカンと売りにいってもよかったんじゃないかなぁ。

この人に掛ける期待が大きいだけに、どうしてもマイナス点ばかり書き連ねてしまいました…。しかし、不思議とリピートが苦にならないので、この世界に順応できたらまた評価が変わるものと期待して、もう少し聴き込んでみようと思います。

★★★★★★☆☆☆☆

▼前作の評価
「Pink Friday」 ★★★★★★★☆☆☆

「(19) Stupid Hoe」(US59位、US R&B53位)

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review (3月Part2)

The Sea / Corinne Bailey Rae ★★★★★★★★☆☆
2008年にCorinneが最愛の夫を亡くしたというニュースを聞いた時、もう彼女の晴れやかな歌声は戻ってこないかもしれないなと本気で淋しくなりました。だから本作がリリースされてもなかなか聴く気になれなかった…。しかし、聴いた今はもっと早く買っておけばよかったと後悔するくらい、衝撃的だった前作からさらに深化した彼女の世界を堪能できました。
まず、冒頭の2曲が涙なしに聴くことができません。まず、「あなたはここにいるのね?」と亡くなった夫に語りかける「(1)Are You Here」。詞も然ることながらそのタイトルフレーズ「Are you here? 〜♪」を絞り出すような歌声が耳から離れなくなります。「(2)I'd Do It All Again」は夫の生前、大喧嘩した直後でありながら「この人と添い遂げようという自分なりの決意表明」を書いたものだそうで、詞を知らなくても淋しさと力強さの共存が解る1曲。
正直、この曲が好きすぎるために現時点ではアルバムとしての正しい評価ができていないようにも思えますが、前作よりもロック色が強まり、新しい一面を見せることには確実に成功していますね。飽きるどころか、購入直後よりも今の方がよく聴いています。
このアルバムを作り上げたことで彼女が悲しみを乗り越えたとは思いません。しかし、それを背負いながらも生きていこうという強い意志が感じ取れ、同時に、人は何があっても前進するチャンスが残されているんだと思わせてくれる作品でした。

◆前作の評価
「Corinne Bailey Rae」 ★★★★★★★★★☆

あの日の海あの日の海
(2010/01/20)
コリーヌ・ベイリー・レイ

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「I'd Do It All Again」


Pulse / Toni Braxton ★★★★★★★☆☆☆
「Secret」や「The Heat」のヒットも遠い昔の話。それから自己破産や難病発症などいろいろありましたが、こうやってアルバムを聴くことができるのは嬉しい限りです。
ブランクがあっても独特のアルトヴォイスは健在。1stシングル「(1)Yesterday」も派手ではないけどドラマチックで胸に沁み入る良曲で、残念ながら噂のお相手Trey Songz参加バージョンは国内盤やiTunesに限られてしまいますが、Toni単体でも十分すぎるでしょう。個人的には8曲目以降の静かな曲調も大好きで、特に「(8)Hero」と「(10)Pulse」は彼女の声でなければここまで魅力的にできなかったんじゃないかなと思わせてくれるレベルです。
「(2)Make My Heart」のようなアップにも最初は驚かされたものの、どれもアルバムの世界をぶち壊すようなものではなく、楽しく聴けました。「(6)Lookin' At Me」だけは違和感がありますが…。
ただ、流行に無理矢理乗った感じはしないし、安定感もあるんですが、若干の物足りなさも残るんですよね。良曲揃いではありますけど、名曲クラスが欲しかったというのは贅沢でしょうか。

◆前作の評価
「Libra」 ★★★★★★★☆☆☆

「Yesterday」(US R&B12位)のTrey参加バージョン。Toniはショートカットにすると和田アキ子か奈美悦子にしか見えないな…

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

MDNA / Madonna

MDNAMDNA
(2012/03/26)
マドンナ

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まず初めに、今作は多数のバージョンが存在するので購入時にはよく吟味を…。日本で流通するのは主に輸入盤の通常盤とデラックス盤(iTunesでもこの2種類)、そして国内盤の3種類でしょうね。
ただ、今回はiTunesで先行予約キャンペーンが行われていたんです。予約をすると「Love Spent」のAcoustic Versionも収録された全18曲入りバージョンを1500円で手に入れることができ、さらに先行シングルの「(5)Give Me All Your Luvin'」が予約時点でダウンロードできるという様々な特典に惹かれて、そちらを購入しました。気に入ったら中古でCDを買って手元に置いておけばいいし…。

さてこの新作、2ndシングルである「(1)Girl Gone Wild」が、音の面でもゲイ・カルチャーを意識したPVの面でも最もMadonnaらしい曲だと思います。プロデューサーのBenny Benassiは「(3)I'm Addicted」でも刺激的なトラックを披露していますね。
しかし、制作陣のメインとなるのは傑作「Ray Of Light」を作り上げたWilliam Orbitと、新進フランス人プロデューサーMartin Solveig。
William Orbitは通常盤では半分の6曲をプロデュースしていますが、「Ray Of Light」の圧倒的な世界を期待するとやや拍子抜け。それでもどの曲も及第点越えのクオリティですし、「(10)Love Spent」や「(11)Masterpiece」といった地味な曲でもいいなと感じさせてくれるあたりはさすがです。
Martin Solveigの方は好き嫌いがはっきり分かれそうですね。デラックス盤や国内盤には6曲収録されているのに、本編とも言える通常盤には3曲のみにとどまっていることも、彼の起用が結構な冒険であることを物語っているように思えます。実際、デラックス盤で追加された3曲にはピンと来ず。でも、Nicki Minajをフィーチャーした「(8) I Don't Give A」はベタで古臭い構成なのに中毒性は異常に高いです。朝、この曲のラストが頭の中で流れて目を覚ました日もあったくらい。新鮮味のないエレクトロながら「(4)Turn Up The Radio」も割と気に入っています。

(5)でかなり無理をしている印象を持ったので、リリース前は不安だらけだったんですが、アルバムは従来のファンが満足できるものに仕上がっていると思います。(5)を1stシングルにしてしまったことでファンをかなり混乱させたよなぁ。
しかし一方で、もっと驚きが欲しかったという気持ちは残りました。シングルヒットが狙える突出した曲がないですし、かと言ってはっきりとしたコンセプトが見えるアルバムというわけでもない…。新しいプロデューサーを発掘したりはしているものの、結果的にMadonnaにしては無難な内容になってしまったのがかなり残念です。

★★★★★★★☆☆☆

◆前作の評価
「Hard Candy」 ★★★★★★★★★☆

「Girl Gone Wild」

テーマ : アルバムレヴュー
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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