Music Review (2017年4月Part1)

Gang Signs & Prayer / Stormzy ★★★★★★★★★☆
グライムシーンの新星と言われる23歳のデビューアルバム。北米以外のブラックミュージックには疎く、UKとなると何となく遠ざけてしまう僕ですが、何の気なしにApple Musicで試聴してみたら大ハマり。CDまで買ってしまいました。
「(5)Big for Your Boots」はゴスペル要素を含んだラップソングということで、Kanye Westの「Jesus Walks」を思い出しましたが、Stormzyの場合はその高速ラップが大きな特長。必然的にアグレッシブなトラックの方がハマる気がします。個人的なベストは「(2)Cold」。音やヴォーカルの重なりが増すとともに緊張感と高揚感が右肩上がりに…。
メロウなトラックもかなりの数、収録されています。正直、こちらは少し目新しさに欠けるかなという印象は持ったものの、クオリティはどれも高く、デビュー作とは思えない見事なバランス配分。歌もラップもできるMCは当たり前になっていますけど、ラップのピッチも自在に変えられるのがこの人の強みで、アルバム通して飽きずに聴けるんですよ。
ま、グライムというジャンルがまだよく解っていないんですけど、ヒップホップが好きなら新しいジャンルと身構えることなく入り込めるはずです。日本はおろか全米デビューもまだですけど、間違いなく2017年を代表する作品です。



「Big for Your Boots」(UK6位)


DROGAS Light / Lupe Fiasco ★★★★★★★★☆☆
デビューから傑作を2作続けたものの、その後は迷走気味だったLupe Fiasco。レーベルとの確執や引退発言などネガティブなニュースが続きましたが、インディからながら無事に新作リリースとなりました。しかし、インディでも盟友Soundtrakkとのタッグは続いていてクオリティに問題はなし。バックコーラスを活かした都会的なトラックなど、Lupeらしさがきちんと出たお気に入りの一枚です。
夜明けを想起させる「(2)NGL」からほぼ歌モノの反則すれすれ「(11)Pick Up The Phone」まで、バラエティに富んだ楽曲がズラリと並んでいます。特に(2)はそれだけでアルバム全体を良作認定したくなるほど好きですね。Stormzyもそうですが、2曲目がいいと全体の印象がよくなります。
ただ、復活といえば聞こえはいいですけど、道を外れたところから元に戻っただけなので、デビュー時から進化が見られるかと問われれば肯定もできないんですよね。一応本作は3部作の第一章という位置付けらしいので、今年中に出ると言われている次回作「DRODAS Waves」のリリースでさらに化けることを期待しています。



◆前作の評価
「Tetsuo & Youth」 ★★★★★★★★☆☆

「(5)Jump」
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テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年3月)

7/27 / Fifth Harmony ★★★★★★★☆☆☆
昨年末に人気メンバーのCamilaが脱退したことで5人としては最後のアルバムになってしまった2ndアルバム。
冒頭の「(1)That's My Girl」がまずツボでした。1stシングルの「(2)Work From Home」は個人的にはピンと来なかったものの彼女たちの最大にヒットとなりましたし、その後もStargate曲を中心に及第点超えの佳曲揃い。Kygoらが絡んだEDMもいいアクセントになっていますし、全曲3分台という聴きやすさといい、ポップアルバムのお手本といった感じ。
ただ、その分、5人の個性がまだ見えてこないのが大きな欠点。Beyonceが中心となって最先端のR&Bを作り上げてきたDestiny's Childや、荒削りながら5人のマイクリレーで個性を打ち出した同じようなオーディション出身のSpice Girlsと比べると、明らかにグループとしてのカラーが弱すぎ。ガールズグループはどんな傑作を出しても短命に終わりがちですが、Camilaが抜けた今、残ったメンバーはもう一皮剥けないと厳しそうです。

「That's My Girl」(US73位、UK26位)


I Decided. / Big Sean ★★★★★★☆☆☆☆
ダークな世界観と、それに反するような耳障りのいいラップは前作の流れ。
この人ってルックスもいいし、個性派でもなく、シングルヒット狙いのキャッチーさで勝負するラッパー勢とも違うちょうどいい立ち位置だとは思います。現在ヒット中の「(3)Bounce Back」もまさにそんな彼らしい馴染みのいいトラック。もちろん他の楽曲も悪くはないんですが、やはり個性に欠けるのは否めないんだよなぁ。本作で話題となったEminemとの共演も、案の定主役の座を奪われている感は拭えません。前作もDrakeやKendrick Lamarとリリース時期が被って地味な存在になってしまいましたけど、今回もFutureやStormzyあたりの陰に隠れてしまったかなという印象は受けますね。Drakeの新作もまた出ましたし、リリースから2ヶ月も経っていないのにあっという間に存在感が薄くなってしまったような…。
自分の中では好感度の高いラッパーの一人なので、そろそろ代表曲と呼べる中毒性抜群の曲がほしいところ。

◆前作の評価
「Dark Sky Paradise」 ★★★★★★★☆☆☆

「Moves」(US38位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

÷(ディバイド) / Ed Sheeran

英米ともに記録的なヒットをしているEd Sheeranの最新作。日本でもオリコン5位ですから、ようやく売れてきたかといった印象ですが、海外に比べるとまだまだ小規模すぎて物足りません。
僕自身、彼の音楽はもっと多くの人にシェアされるべきだと思っているのでセールスが気になってしまうわけですけど、正直、今作はどこまでプッシュするほどの内容ではないかな。

世界各国で1位を獲得した「(4)Shape Of You」は、前作からの「Thinking Out Loud」と並んで間違いなくEdの代表曲になる1曲。シンプルながらメロディアスでロマンチックだった「Thinking Out Loud」とは違い、こちらはヒップホップ色の強いトラックで、独特のループとヴォーカルの重なりが印象的で中毒性抜群です。ヒップホップといえば「(1)Eraser」では彼のラップも聴けます。

(4)と同時に公開された「(2)Castle On The Hill」はカントリーテイストの疾走感溢れるアップナンバー。ノスタルジーに包まれるトラックは彼が得意とするものですね。当然のことながら、女性ファンがうっとりできるラブソングも豊富。

一方で、前作で僕のフェイバリットだった「Bloodstream」のような刺激の強い曲はほとんど見られません。「(13)Barcelona」や「(14)Bibia Be Ye Ye」でのカリビアンな音は新鮮でしたけど、僕が求めていたものではなく、全体的には前作よりも落ち着いてしまったような感覚を持ちました。別にアコースティックなサウンドを否定しているわけではないんです。でも、この路線はデビュー作で既にやっているわけですし、もう少しテンポの違う曲が多いとよかったな。中にはMichael Bubleを聴いているような錯覚に陥ってしまう既聴感の強いものもありました。

まぁ、彼の真骨頂はライヴパフォーマンスにあると思っているので、今後ライヴでのアレンジが加えられたり、他アーティストとのコラボでリミックスバージョンが披露されることでアルバム全体の印象が大きく変わってくることは考えられます。

★★★★★★★☆☆☆

◆過去作の評価
「+(プラス)」 ★★★★★★★☆☆☆
「×(マルティプライ)」 ★★★★★★★★★☆

「Castle On The Hill」(US6位、UK2位)と「Shape Of You」(US1位、UK1位)のBrit Awardsパフォーマンス

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年2月)

What A Time To Be Alive / Drake & Future ★★★★★☆☆☆☆☆
世界のトップMCの一人であるDrakeとFutureによるミックステープ。
Drakeもアンビエントなトラックが印象的ですけど、本作ではそれ以上に不穏なビートが特徴的で、どちらかというとFuture寄りの音かなという気がします。ま、Drakeも直前のミックステープ「If You're Reading This It's Too Late」では割とコアなトラックが並んでいましたけれど。こんなにダークな楽曲のみで全米1位になるんだから相当な人気だなと感心しながらも、南部系のサウンドは僕の守備範囲外。
そういった音の好みを抜きにすれば、二大スターの競演というだけでも聴く価値はあると思います。今更感はあるものの、両者ともその後のソロ作でもしっかり全米1位を獲得していますし、旬が過ぎる前に聴いておきたい1枚。

「Jumpman」(US12位、UK58位)。PVがないので音源のみ…


4 Your Eyez Only / J. Cole ★★★★★★★☆☆☆
上の二人に勝るとも劣らない人気を誇るJ.Coleの最新作。本作は、大切な家族を残し若くしてこの世を去ってしまった親友について触れた曲が中心で、ストーリーテラーとしての本領が発揮されています。
最初に驚いたのは過去作品に比べて間口がグッと広がっているということ。音自体は相変わらず地味ながらメロディアスなトラックが多く、物語の広がりを感じさせてくれます。キャッチーさでは敵わないものの、アルバムの統一感はKendrick Lamarの「To Pimp A Butterfly」に匹敵するんじゃないでしょうか。個人的にはジャジーな「(4)Ville Mentality」と、女性ヴォーカルを迎えても浮ついていない「(6)Change」が好き。
音だけでもそれなりに楽しめるんだから、詞が詳しく読めればもっと楽しめるはず!とは思うんですが、残念ながら現時点では国内盤のリリース予定はないみたいですね。先述のKendrick Lamarのように対訳と解説で傑作に化けたアルバムもあるだけに、本作も多少遅れても国内盤を出してもらいたいところです。

◆過去作の評価
「Born Sinner」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Deja Vu」(US7位、UK30位)。こちらも音源のみ…

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review (2017年1月)

Blackstar(★) / David Bowie ★★★★★★★★☆☆
David Bowieの遺作となったアルバム。David Bowieに対しては食わず嫌いなところがあって、彼の死を知ってから初めてちゃんと聴いてみたんですが、冒頭の「(1)Blackstar」から一気に世界に惹き込まれます。先入観かもしれませんけど、まるで自らを追悼しているかのような重く深い楽曲です。それだけに中盤に差し込まれたパートに温もりが感じられるし、ビデオも一本の映画を観ているかのようで圧倒的。間違いなく2016年のベスト・トラックの一つに数えられるでしょう。
リリース前にKendrick Lamar「To Pimp A Butterfly」の影響を受けたと言われていましたが、個人的にはジャズ要素が強めということ以外に相似点は感じず。それに期待して聴くと肩透かしかもしれません。ただ、全編通して統一された世界観を前にしてはそんなことどうでもよくなりますし、実際ブラック・ミュージックがメインの僕が聴いても楽しめるんだから問題なし。
僕がイメージしていた彼とは全く音が違いますし、David Bowie作品としても異色作のようですが、食わず嫌いをしていてはいけないなと思わされる良作。これで彼の人生が終わったというのは何とももったいないというか、しかし完璧な幕引きというか…。

「Blackstar」(US78位、UK61位)


This Is Acting / Sia ★★★★★★★★☆☆
前作「1000 Forms Of Fear」で世界的にブレイクした遅咲きのシンガー。今回も前作の延長線上で、さすがにヒット性やインパクトでは敵いませんが、手堅くまとまって安心して聴けるアルバムになっています。まぁ、それが言えるのも「(6)Cheap Thrills」が全米ナンバーワンのヒットになったからなんでしょうね。1stシングル「(2)Alive」はPVに日本人の空手少女を起用し、ソウルフルなヴォーカルもよかったんですが、少し物足りませんでした。
今から買うなら後発のデラックスバージョンの方がオススメ。Kendrick Lamarとの「The Greatest」や最新シングル「Move Your Body」などが収録され、どれも必携とまではいかなくてもバラエティに富んだ曲が追加されています。あとはMaddie Zieglerちゃんがビデオで踊っている曲だけをまとめた作品集がリリースされてくれれば嬉しいんですけどね。

◆前作の評価「1000 Forms Of Fear」 ★★★★★★★★☆☆



「Cheap Thrills」(US1位、UK2位)

こちらはSean Paul参加バージョンのリリック・ビデオ

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

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いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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