Man Of The Woods / Justin Timberlake



Justin Timberlakeの4年半ぶりとなる新作は、盟友Timbalandやソロデビュー作「Justified」以来となるThe Neptunesという強力な布陣で、1stシングルの「(1)Filthy」こそフューチャリスティックなトラックながら、全体的には彼の出身地であるテネシー州メンフィスを思わせるカントリー色漂うアルバムでした。

彼がこれまで1stシングルとして送り出してきたのが「Sexyback」や「Suit & Tie」のような個性的かつ分かりやすい曲だったのに対し、今回の(1)は非常に難解でいまいちノレなかったんですよね。続く「(7)Supplies」も地味で中毒性がなく、3rdシングルでシンガーソングライターのChris Stapletonを招いた「(9)Say Something」でようやくしっくり来た程度だったので期待値は下がっていたんですが、実際はいい方向に裏切られました。

今回印象に残ったのは70~80年代を彷彿とさせるソウルサウンドと彼のファルセットの相性。「(2)Midnight Summer Jam」や「(12)Montana」あたりにその特徴がはっきり現れていますね。「(5)Higher Higher」なども非常にクセの強い曲ながら不思議な中毒性を備えています。そしてファルセットのインパクトが強いためにJustinの地声もさらに魅力的に聴こえるマジック。

大半をThe Neptunesが手掛けているせいか、「Justified」を思い出す瞬間もありますが、トータルではやはりこれまでの彼の作品とは全くの別物。先行シングル「Filthy」に惹かれた人や、一昨年大ヒットした「Can't Stop The Feeling」のポップ性を期待しているには物足りない内容かもしれません。しかし、ポップアイコンではなく、ヴォーカリストとしての才能を発揮した今作は今後キャリアを築く上で重要な一枚になるはずです。欲を言えば「Midnight Summer Jam」をシングルカットして、キャッチーなビデオを撮ってほしいところですけどね。

★★★★★★★★☆☆

◆前作の評価
「The 20/20 Experience」 ★★★★★★★★☆☆
「The 20/20 Experience 2 of 2」 ★★★★★★★★☆☆

「Say Something」(US9位、UK24位)

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テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review(2018年1月)

Revival / Eminem ★★★★★☆☆☆☆☆
Eminemの4年ぶりの新作。リリース前に公開したトランプ大統領を批判したビデオが話題になったために、社会派アルバムかという予想もしましたが、実際はBeyonceやEd Sheeran、Alicia KeysにP!nkといった人気アーティストと組んだ豪華な内容。ただし、社会的だったり内省的だったりという曲もあり。
ただ、はっきり言ってしまうと今回のアルバムは全く面白くありません。全体的にトラックがダークな上に工夫がないんですよね。昔ならコミカルな曲を先行シングルにして、それとはタイプの違う曲を次々とシングルカットしていったものですが、今作は過去作からシングルを抜いたかのような地味で単調な展開。ゲスト陣も新しい面が見えるわけでもないし、主役のEminemにも新鮮味はなし。豪華客演陣を目立たせるのならもっと華やかな曲を揃えてもらいたかったところです。

◆前作の評価
「The Marshall Maters LP2」 ★★★★★★★★☆☆

「Walk On Water」(US14位、UK7位)


No_One Ever Really Dies / N.E.R.D ★★★★★★★☆☆☆
前作「Nothing」はあまり聴きませんでしたが、基本的に彼らの制作するトラックは好物で、特に「Seeing Sounds」は今でもたまに引っ張り出してくるほど。
ファンクやロックを取り入れたヒップホップという彼らのカラーは今回も変わっておらず、Rihannaをフィーチャーした1stカット「(1)Lemon」からもう尖っています。メロディアスなラインからKendrick Lamarの高速ラップに繋がる「(5)Don't Don't Do It」は、2016年に起きた警官による黒人男性射殺事件にインスパイアされた曲。パーティソングのようでいて、実は強いメッセージが込められているという懐の深さ。
クセは強いので今のところまだヘビロテにはなっていないものの、相変わらず限定的な音数でこれだけのバリエーションを出してくるところなど感心しますし、ゲストが豪華なのは上のEminem同様ですが、こちらの方がアーティストの個性を活かしたり、新たな一面を引き出すことに成功しているな、と。

◆過去作の評価
「Seeing Sounds」 ★★★★★★★★☆☆



「Lemon」(US40位、UK31位)

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年12月Part2)

Ctrl / SZA ★★★★★★☆☆☆☆
グラミー賞で新人賞をはじめ4部門でノミネートされ、アメリカでは各誌の年間ベストに選出されるなど、大注目の新人アーティスト。
なるほど、通好みの実力派ですね。独特の訛りのある個性的なヴォーカルに、Frank OceanやSolangeの最新作からの流れにある2010年代のオーガニックソウル。ジャズやヒップホップの要素も取り入れつつ、独特の浮遊感とキレのよさを両立させています。
まぁ、僕は先の二人のアルバムもピンと来なかった口なので本作も評価は辛口ではありますが、シングルカットされた「(2)Love Galore」や「(6)The Weekend」には確かに光るものを感じますし、Maroon 5とコラボするなどジャンルレスに活躍できるところも証明しているので、末永く聴いていきたいシンガーではあります。

「The Weekend」(US29位、US R&B1位)


Reputation / Taylor Swift ★★★★★★★☆☆☆
前作「1989」で大胆な路線変更に成功したTaylor Swiftは、今回もMax MartinとShellbackコンビを制作の中心に据え、ポップ路線をさらに強めてきました。EDMやヒップホップの色が濃く、いきなり「(1)...Ready For It?」ではラップを披露するなど、もはやデビュー当時のカントリー少女の面影はありません。一度で惹き込まれるような感じではなくなったものの、今までにないダークな雰囲気は好みです。
個人的なベストトラックは、Ed SheeranとFutureを迎えた「(2)End Game」。Taylorのヴォーカルは比較的抑えめなんですけど、それが客演の二人との絶妙なバランスに繋がっていて心地よい1曲に。その点では「(11)Dancing With Our Hands Tied」も同様ですね。
前作の先行シングル「Shake It Off」ほどのインパクトがない分、あそこまで長く聴けるかは分かりませんが、昔のカントリーテイストを期待しなければ十分なクオリティを持ったアルバムだと思います。

◆前作の評価
「1989」 ★★★★★★★☆☆☆



「...Ready For It?」(US4位、UK7位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

Music Review(2017年12月Part1)

Heartbreak On A Full Moon / Chris Brown ★★★★★★☆☆☆☆
多作なアーティストであるChris Brownの8thアルバムは、何と2枚組45曲という大ボリューム。しかもクリスマス前にはさらに12曲ものボーナストラックを収録したデラックス盤までリリースしてきました。本来ならそのサービスを歓迎するべきなんでしょうが、自分は否定派。収録曲はどれも及第点は超えているもののこれまでの彼のイメージを覆すようなインパクトはないし、決め手にも欠けるんですよね。バラエティに富んだ楽曲を揃えてはいても、アルバムとしての流れがなくとっ散らかった印象が残ります。これを一気に聴くのはかなりキツい…。
サンプリングネタも2pacの「California Love」やKevin Lyttleの「Turn Me On」などの有名曲を含んでいるんですけど、この人は過去に自身のイメージにピッタリのMichael Jackson「Human Nature」なども使っていますしね。
近年のアルバムを聴くたびに、僕の中でのChrisの最高傑作「F.A.M.E.」を引っ張り出してしまうんですけど、あの作品はアップもミッドも隙がない奇跡の一枚だったんだなぁと今頃になって気付かされてしまいました。

◆前作の評価
「Royalty」 ★★★★★★★☆☆☆

「Party」(US40位)


The Thrill Of It All / Sam Smith ★★★★★★☆☆☆☆
衝撃のデビューを飾ったSam Smithの2nd。多くのアーティストがそうであるように、彼もバラエティ豊かなお披露目作品の後に、個性をより強めて作風がはっきりした新作を送り出してきましたね。
ただ、個人的にはそれが肩透かしでした。
前作は「Money In My Mind」や「La La La」をはじめ、意外とアップが多く、どれもただのダンスミュージックに終わらない独自性を持っていました。だからこそ胸が締め付けられるような悲しいラブソングもより引き立ったわけです。しかし、今作はそのどちらにも属さない落ち着いた楽曲が大半を占めています。これが彼の成長の証しなのかもしれませんけど、今のうちはもっとドラマチックなアルバムを聴かせてもらいたかったというのが本音。
とはいえ、一つ一つの楽曲のクオリティは非常に高く、そのヴォーカルの力はまるで賛美歌を聴いているように神聖な気分にもさせられました。旬の音楽ではなく、普遍的なサウンドを求める人なら一度は聴いておくべきアルバムです。

◆前作の評価
「In The Lonely Hour」 ★★★★★★★☆☆☆

「Palace」

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ジャンル : 音楽

Music Review(2017年11月Part2)

Beautiful Trauma / P!nk ★★★★★★★★☆☆
安定のP!nk。
政治的なメッセージを込めた「(4)What About Us」を1stシングルにしたことで路線変更も予想しましたが、アルバムには従来の私的なリリックも多く、しかしそれをキャッチーなポップソングに仕立てることでリピートしたくなる中毒性も兼ね備えています。今のところ(4)がずば抜けて好きですけど、明るい幕開けの「(1)Beautiful Trauma」や疾走感が気持ちいい「(9)Secrets」など、耳に留まる良曲揃いです。
不満点は、やはり代わり映えのなさでしょうか。アルバム中ではバラエティに富んでいてマンネリにならない工夫がされているんですが、P!nkの曲としては過去に聴いたことがあるような雰囲気の曲も多くあり、驚きというものは全くありませんでした。まぁ、これは彼女の個性の強さが仇となっている部分もあるんでしょうけど。

◆前作の評価
「The Truth About Love」 ★★★★★★★☆☆☆



チャニング・テイタムとの共演が話題の「Beautiful Trauma」(US95位、UK29位)


Meaning Of Life / Kelly Clarkson ★★★★★★★☆☆☆
耳馴染みのいい曲を揃えながらも、彼女の歌唱力もじゅうぶんに味わえる良作。第一子が成長し、母親としての成熟性が表に出てきた感じでしょうか。シングルの「(2)Love So Soft」が代表するように、パワフルかつ包容力に溢れたヴォーカルが心地よし。
個人的には彼女の代表作である2nd以来の完成度だと思います。声の魅力は増し、ところどころで散見されるレトロな音使いもこのヴォーカルと相性抜群。
上のP!nk同様、大人でも聴けるポップスに仕上がっているんですが、P!nkやAdeleほどの個性がないのが惜しいところ。ミッド~スロウならP!nkより上だと思いますし、控えめな歌い方の楽曲もあるにはあるものの、トータルで声を張っているような印象が残ってしまうのは表現力の問題なのかな。

◆前作の評価
「Stronger」 ★★★★★★☆☆☆☆

「Love So Soft」(US47位)

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

プロフィール

いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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