怒り 他

アイアムアヒーロー ★★★★★★☆☆☆☆
最近よく見かける漫画原作の実写化ながら、「バイオハザード」をハリウッドに奪われた日本が、ようやく本格的なゾンビ映画を作り上げたと話題になった作品。確かに特殊メイクやCGのクオリティは高く、よく知っている俳優たちがゾンビ化するのを見るという楽しみ方はできますね。特に、片瀬那奈の壊れっぷりは一見の価値あり。それに棒高跳びZQNの怖さはなかなかのものでした。
ただ、ユーモアのセンスは肌に合いませんでした。大泉洋が主演を務めたのは正解だったと思いますけど、ZQN(ゾキュン)というウィルスのネーミングセンスといい、要所要所に挟まれるコミカルな掛け合いといい、笑いがことごとくハマっていないのが残念。ストーリーもありがちではあるし、ヒロインの比呂美も途中から存在感を失ってしまいます…。あれだけの弾数をどこから調達したのかや、そもそもなぜ英雄は感染しないのかなど、細かいところをツッコむのは野暮というものなのかもしれませんけど、全体的には「称賛されるほどか?」というのが本音です。

怒り ★★★★★★★★☆☆
原作を忠実に映像化するという意味では見事な仕上がりですね。
八王子の夫婦殺人事件の犯人が顔を変えて逃走中。その犯人に顔がそっくりと言われているのが松山ケンイチ、森山未來、綾野剛が演じる3人の男。モンタージュ写真や防犯カメラの映像は3人の誰にも似ているという巧妙な作りをしていますし、原作の印象的なシーンはそのまま映画でも印象的なシーンとして描かれています。
それ以上に素晴らしいのがキャスト陣。映画化を知ってから原作を読み始めたので、その時点で登場人物のイメージは固まっているし、映画を観る段階では真犯人も知ってしまっていたんですけど、演技に違和感を持つような俳優が一人もいなかったおかげで物語に没頭できました。主要キャストはもちろん、チョイ役の池脇千鶴や高畑充希に至るまで、よくここまで実力のあるところを揃えたなぁ。その実力者たちに全く引けを取らない広瀬すずにも感心させられました。
忠実に映像化した弊害で、異様なほど夢中になった原作には及びませんが、正統派で重厚な日本映画としては久々のヒットです。

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テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

湯を沸かすほどの熱い愛 他

湯を沸かすほどの熱い愛 ★★★★★★★★☆☆
余命僅かと宣告された双葉(宮沢りえ)が、休業状態だった銭湯の再建や、娘(杉咲花)の学校でのいじめ問題解決などに奮闘する話。「死ぬまでにしたい10のこと」あたりを思い出すあらすじですけど、宮沢りえの肝っ玉母ちゃんっぷりがなかなかハマり役。宮沢りえに杉咲花、そして子役の伊東蒼に至るまで、女優陣の奮闘が光る作品でした。
中でも杉咲花は圧巻の演技。TVドラマ「夜行観覧車」の頃から素晴らしい演技力は見せていましたけど、いじめられている時の弱々しい表情からそれを克服する場面、そして(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)中盤の某シーンで泣く場面では、顔の歪ませ方から感情がダイレクトに伝わってきて、恥ずかしながら大号泣してしまいましたよ。
ストーリー自体は割とありがちなものですし、問題の結末も個人的にはあまりピンと来ないところもありましたけど、先の女優陣の他、オダギリジョーや松坂桃李を含め、全員が見事な演技を見せてくれたことで見応えたっぷりでした。



葛城事件 ★★★★★★★★☆☆
1月に観た舞台「世界」で演出をしていた赤堀雅秋が監督を務めた作品。「世界」では市井の人々の日常が描かれていて、彼らが抱える問題も身近なものとして捉えることができましたが、本作は家族の中から殺人犯が生まれているわけで、全編に渡って重いです。
映画は、次男が起こした通り魔殺人事件を中心に、家庭崩壊の過程が中心に描かれています。父親の抑圧的な教育により、次男は引きこもり、長男も自分の意見を言えない性格に育ってしまうんですが、長男が会社をリストラされたことがきっかけとなって徐々に歯車が狂い出す…。
新井浩文は長男で事件を起こした役じゃないんだ…という失礼な驚きもあったものの、その新井浩文がまたいいんですよね。そしてクズ親を演じた三浦友和が憎たらしくて…。中華料理店でクレームをつける場面とか、こういう見栄っ張りで傲慢なヤツ本当にいるよね、とゲンナリ。でも完全にクズとは片付けられなくて、「この人にも大きな理想があったんだよな。それに固執しすぎた結果なんだよな」と同情してしまう面もあるんです。ちょっと友人の家庭を思い出してしまいました。
観賞後は確実に嫌な気持ちになりますが、クオリティは確かですし、いろいろ考えさせられる良作です。

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

脳内ポイズンベリー 他

脳内ポイズンベリー ★★★★★★★★☆☆
何といってもテンポのよさが光ります。ストーリー自体は、タイプの違う二人の男の間で揺れる女心を描いたありがちなものなのに飽きさせないのはそのテンポのおかげ。越智と早乙女という二人の男も解りやすく対照的でいいですね。特に、噛ませ犬的なポジションで登場してきた越智が、中盤以降も意外なほど存在感を出してきたのが面白かったな。
そしてもちろん、本作最大のウリである主人公、いちこ(真木よう子)の中で繰り広げられる脳内会議が面白いです。誰でも脳内でポジティブとネガティブが葛藤することはあるはずで、その結果、どうでもいい着地点に落ち着いて後悔した経験も理解できるはず。正直、真木よう子と西島秀俊の演技力には懐疑的なところもかなりありましたし、そのイメージが完全に払拭されたわけではありませんけど、全体的にコメディタッチだったためか違和感なく楽しめました。とはいえ、MVPはネガティブ池田を演じた吉田羊ですけどね。
別に観なかったところで損もしませんが、軽いタッチの映画を観たい時などは選択肢に入れておいてほしい一作です。



バクマン。 ★★★★★★★☆☆☆
昨年のTVドラマ「重版出来!!」では脇役だった漫画家の方にスポットを当てた作品。
主演の佐藤健、神木隆之介ともに好きな俳優ではないんですけど、二人ともハマり役だったと思います。脇を固める面子も実に個性的かつ自分好みで魅力的だったんですが、中でも染谷将太は別格。オタクっぽさを全開にしつつも可愛げがしっかりあって、こんな天才いそうと思わせる説得力を持っているんですよね。本当にこの人の多才さには脱帽です。
さらに、プロジェクションマッピングを利用した躍動感のある映像、紙の上をペン先が走る時の音など、演出面にも力が入っており、まだまだこんな見せ方があったんだなと感心。
しかし、ストーリーは王道すぎていまいち。前半は勢いで見せてくれるんですが、独特の演出に慣れた後半は一気につまらなくなってしまいました。

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

言の葉の庭 他

今回は新海誠監督作品2本立て。結局「君の名は。」はDVD待ちになってしまいそうなので、過去作から観てみました。

秒速5センチメートル ★★★★★★☆☆☆☆
とにかく景色の美しさが印象的。桜の花びらや雪が画面を舞う様子は10年も前のアニメとは思えないほどです。
対照的に、人物は画的にも話し方にも魅力が感じられず、心情が丁寧に描かれているにもかかわらず感情移入できませんでした。話がとにかく暗いんですよね。暗い物語は割と好きなはずなんですが、どんなに苦しい中でもユーモアを生み出せるくらいの強さがないと周りにはストレスを与えるだけだと思います。実際、観賞中も観賞後もずっと憂鬱でしたね。
ただ、雪で電車が止まり、何時間も車内に閉じ込められる絶望感は携帯電話で頻繁に連絡が取れる現代ではなかなか味わえない感覚で、40代以上なら共感できるんじゃないでしょうか。このシーンだけは大いに響いてしまいました。

言の葉の庭 ★★★★★★★☆☆☆
舞台となっているのが新宿御苑だけあって、「秒速5センチメートル(以下、秒速)」同様に静かな作品。ただ、年上女性に恋する高校生男子の気持ちは今でも鮮明に蘇ってしまうくらい細やかに描かれていて、感情移入度はこちらの方が圧倒的に上でした。「秒速」はセリフも少なく展開も控えめ、むしろ風景描写の方が心に残るという完全なる雰囲気映画で、「言の葉の庭」も共通する部分はありますけど、あちらよりは展開がはっきりしています。
風景描写の細やかさも見事。今回は雨がキーワードになっていますが、雨が降りしきる新宿御苑でタカオがユキノの足のサイズを測るシーンは官能的ですらあります。近年、アニメやドラマの聖地巡礼というのがよく話題になりますけど、これまで全く興味が沸かなかった僕でも雨の新宿御苑には行ってみたくなりましたね。
だからこそ、舞台が御苑を離れて学校やユキノの家になってしまうと物語自体も平凡なものになってしまいました。ラストはやっぱりすっきりしないんですけど、まぁ、15歳の青年と27歳の女性の恋物語ですから分かりやすくハッピーエンドになりようもないし、これは仕方ないかな。

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

この世界の片隅に

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昨日観てきました。評判はよかったので期待はしていましたが、今年一発目の映画館でいきなり傑作と出会えて幸先いいスタート。

特筆すべきは、動く絵本と呼びたくなるくらい温かみのある映像と主役の声優を務めた"のん"の完璧なハマり具合。のんは他の出演作をまともに観たことがなくて、演技力がどうとか語れるレベルではないんですけど、この役に関しては彼女以外に考えられないほどです。ボーっとして周囲にツッコまれたり、それでいて意志が強そうだったり、セリフの端々から主人公すずの思いが溢れていて微笑ましくなりましたね。
最近は事務所移籍や改名騒動もあり、女優活動と関係ないところで名前を見ることが増えていましたが、才能のある人にはちゃんと輝く場所が与えられるものなんだなと思えました。

物語の方は予想に反して明るかったのに驚かされました。戦時中だから当然生活は苦しいんですけど、すずたちは配給で得た少ない食料を工夫して調理してみたり、裁縫や絵を描く姿も楽しそう。そこで気付かされるんですね。これは現代にも繋がる話なんだな、と。ちょうど今、日本人の大半が震災に怯えながらもそれを乗り越えて(もしくはどこか他人事として)日常生活を送っているように、戦時中でも同じような工夫とユーモアが活きた人々の生活があった。その事実が心に沁みるわけですし、だからこそそこに襲い掛かる空襲の残酷さが余計に伝わってくる…。
すずを英雄にも被害者にもせず、ニュートラルな立場に描いたことが他の戦争映画とは全く違うテイストになった一因でしょう。

行きたかった川越スカラ座が連日満員で、仕方なく近くのシネコンで観たんですけど、それでも大方埋まっていましたね。両隣に人が座っていなかったらきっと涙腺崩壊していたことでしょう。一回だけ堪えられずに「ウグッ」と言ってしまいましたもん。

★★★★★★★★★☆

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

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いぬふく

  • Author:いぬふく
  • 趣味は多数。テニスは主にWTA(女子テニス)、音楽はアメリカンR&BとHIPHOP、ゲームと映画、読書はジャンル問わず。
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